エピローグ
(あれから、どれくらい経ったのだろう……)
その魂は、見慣れた道をゆっくりと歩いていく。
(普通の魂になったから……身体が重いな……)
かつては特異体質。
余命力が常に消費される代わりに、身体強化された状態で生きていた。
(あれはあれで……便利だったのかな……?)
だが今は違う。
現世で死に――
純粋な“魂”として、魂楽界へ戻ってきた。
(前は余命力でアラサーくらいの姿になってたけど……)
今の姿は、
(死んだ時のまま……だいたい二十歳くらいか……)
病室で眠り続けていた身体は痩せ細っていた。
そのため、魂の姿を形作る際に、ほんの少しだけ整えている。
(これくらいなら……普通だよな……)
見慣れた街並みを通り過ぎる。
そして――
目的の場所が見えてきた。
(お……まだ家はあるな)
(まだ……住んでるのかな……?)
家の前に立つ。
静まり返った空気。
(静かだな……)
少しだけ躊躇いながら――
チャイムに手を伸ばす。
ピンポーン――
しばしの静寂。
そして――
「は〜い」
ガチャ――
扉が開く。
「……よう。久しぶり……」
「……そーちゃん……?」
「あぁ」
「紗羅ー!! そーちゃんだよ!! 早く来てー!!」
「ミチル、声でかいな……」
「そーちゃん!!」
ガバッ――
勢いよく抱きつかれる。
「ミチル? 誰が来たって……蒼!?」
「よっ! ただいま……」
「何でこっちに戻ってくるのよ!!」
ガバッ――
三人は玄関先で、強く抱き合う。
「やり残したことを、してきたんだよ」
「何よ、それ……」
紗羅の目から、涙が溢れる。
「そーちゃん……もうどこにも行かない?」
「これからは――ずっと一緒だ」
「わ~い!」
ミチルの目にも、キラリと光るものが浮かぶ。
そして――
「よーし! こっちの世界では生き抜いてやる!」
蒼はいつでも前を向いている。
「現世で出来なかったことは、こっちで楽しむぞ!」
「おー!」
「おー!」




