第1215話 課外授業⑦実践
『来るぞ』
防御のカーテンを突破して人が飛びこんできた!
暗闇に目立たない色の甲冑をつけてる。もふさまがふたりに噛みついて払った。
5分。
5分もたせれば応援がくる。
魔法が飛んできたようで、防御カーテンが揺れる。
ドラゴンちゃんたちは眠っていたけど、騒ぎで起きてきて、瞬時に戦闘体制になった。最前線にいる、もふさまの元に向かおうとするから、わたしは振り返る。
すぐ後ろにいたリキに、前線に出ると伝えた。
すると、援護すると言ってくれて、他の3人もうなずいた。
わたしはライトの魔具を夜空に飛ばす。
これで少しは戦いやすくなるはず。
ドラゴンちゃんがもふさまのそばに飛んでいき、入ってくる甲冑の人たちに攻撃を仕掛けてる。
その合間から入り込んできた輩を剣が斬った。剣を振るったのはニヴァ公爵子息だ。
それを見て、剣を持った男子たちが掻い潜ってきた輩に攻撃を仕掛ける。
打ち合いになる。思わず悲鳴をあげ耳を塞ぎうずくまる女子が続出。
こちらは少年から青年になろうとしている子たちだから、剣に重みがない。それがハンデになってる。
「プラス、剣の軌道に重みを!」
水属性の魔法で戦う子に、泥鉄砲をプラス!
アマディスに夜でも見える視界をプラス!
イシュメルに跳躍をプラス!
プラスして回る合間に、動けなくなっている子たちの周りに防御を張る。
首根っこを引っ張られ、後ろにガクンとなると、今までわたしがいたところに矢が刺さっていた。
引っ張ってくれたのはリキだ。お礼を言ってから、リキにパワーをプラス。
新しく備わった力に振り回されたところがあるのはご愛嬌だ。
5分。楽しい時はあっという間なのに、こういう時ジリジリと時は過ぎる。
皆の消耗が激しい。
歌のエリア展開で回復させようかと思ったけど、わたしの魔法以外の力や底上げのやり方など、外に知らしめたくないのが現状。
いざという時はやるとしても、今は5分乗り切れば応援がくる。
魔法より力で押す方が確かだと思った輩が、すごい速さで挑んできた。
乱戦だ。
こうなると生徒たちが圧倒的に不利。
その時、輩たちを追い立てるように後ろから来た勢力があり。
先頭はオス公子。
「生徒たちに襲いかかる不埒な輩をひっ捕えろ!」
と鼓舞して、後ろにいた白い甲冑で固めていた人たちはそれに声を上げた応える。
やられた! これが狙いだったのか!
白い甲冑の人たちが生徒たちに襲いかかった輩を次々と屠っていく。
その光景に生徒たちは言葉を失くす。
と、ライト以外にも現れた白い何か。
魔法兵と思った時には、魔法兵が奇襲してきた屠られた者や、屠った白い甲冑の者たちを残らず捕まえていた。
オス公子は曲がりながらも生徒だからだろう、魔法兵に捕まえられはしなかった。
「この者たちは離してください。見たでしょう? 彼らは助けたのです」
「いや、どちらもセインの方のようですが?」
そう言った時のクラク先生は迫力があった。
「何を証拠に?」
「鑑定結果を出しましょうか?」
さーっとオス公子の顔色が青くなっていく。
嫌だな、クラク先生鑑定持ってるの?
「留学生のおふたりは一緒に来てもらいますよ?」
ヒンデルマン先生だ。いきなりの登場にみんな驚いている。
先生は魔法兵の出動には教師が持ち回りでついていて、たまたま今日は自分が当番なんだと言って、みんなを納得させている。
「僕は違います。僕は関係ありません」
アネリストの王子がそう言った。それは正しいと思うけど。
クラク先生はピシャリという。
「他国からの攻撃ですので、ユオブリアの生徒と同じ場所にはご案内できません。ご理解ください」
そう言ってアネリストの王子も連れて行った。
魔法兵がどんどん消えて、オス公子も連れていかれ、もふさまも子犬に戻った。
危険は去った。
とんだキャンプとなった。
「怪我人はいるかー?」
先生が尋ねる。
誰もひどい怪我はしなかったみたい、よかった。
それよりあれはなんだとA組がわたしに群がる。
ほとんどの生徒にプラスして回った気がするからね。
D組の子は知ってるけど。
わたしの支援のスキルなんだと言えば、みんな驚きながらもお礼を言ってきた。
すっごく戦いやすくなり、ダメージを大きくできていたと。
へへ、それならよかった。
課外授業はてっきり模擬戦みたいなのだと思ったから、そこでプラスして回って、みんなのレベルを底上げしたかった。でもキャンプだったので、どうしようと思ってたんだ。思っていたのとは違うけど、みんなにプラスすることができた。
これが少しでも終焉の時のみんなの助けになるといい……。
先生はそこから襲撃に関しての総評を言った。
先生も戦っていた。あの混乱した中、先生はみんなのことをちゃんと見ていたんだ。やっぱり凄い。
次の日。襲われることはおそらくないけれど気を引き締めていけと先生からの言葉。学園側はわたしたちが寝ている間も彼らを問い詰めていただろうから、少しは何かわかったのだと思う。
だっていくらなんでも、また襲撃がありそうだったら、課外授業は取りやめになるだろうから。
そして今回の襲撃はきっと〝セイン〟と限定されたのだと思う。
オス公子はきっと今回の行きの襲撃のことはバレないと踏んでいたんだ。
けれど、こちらがわかっているぞとアピールしたし、あの時誓いもしなかったから、危機感を持ったんだろう。
学園に帰ってしまえば聖樹さまの守りの中に入り、生徒に何かすることはできなくなる。でもって警戒されてもいる。
行きの襲撃を失敗したら、帰り道また襲撃させるつもりだったのだろう。わたしと同じ班になって、助けた名目で何かを要求するつもりだったのかもしれない。
でもそれも雲行きが怪しくて、わたしというピンポイントじゃなくて、誰でもいいから学生が狙われたってことにすれば、自分は容疑者から外れるって思ったのかもしれない。そしてそれを助ければ英雄だ。
どうして助けられたか、助けられる味方を引き連れていたのはなぜか。そこらへん問い詰められると思っていなかったのなら、頭の中がお花畑だ。
とにかく襲撃して助けて恩を売るのが、オス公子の目的だったんだと思う。
わたしが思うぐらいだもん、大人たちも、ひと例として思いついているだろう。
言い出しっぺのケイトが班かえの取りやめを希望したので、班の編成は元のままになった。
もちろん何事もなく下山することができ、転移門のところでわたしは皆を見送った。




