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3/3

勘違いから始まった可愛い幼馴染みの私へのざまぁは成功するのでしょうか?成功しかありません

ブックマーク登録、評価、感想などありがとうございます。

心より感謝しております。

 目を開けるとベッドの上でした。

 すぐに保健室だと分かります。

 自分の手に違和感があり確認すると、こーちゃんが私の手を握って可愛い寝顔を見せて寝ていました。


「可愛い」


 私は起き上がり、こーちゃんの頭を撫でました。

 こーちゃんは嬉しそうに笑っています。


「どんな夢を見てるの?」

「ヒメちゃんが出てくる夢だよ」


 寝ていたはずのこーちゃんは私の問いかけにゆっくりと目を開けて上目遣いで言いました。


「起きてたの?」

「寝てたけどヒメちゃんに()れられると僕はドキドキして目が覚めちゃうんだ」

「寝てるのに私が()れているのが分かるの?」

「分かるよ。ヒメちゃんの手は優しくて温かくて僕より小さくて柔らかいからね」

「それは女の子みんなそうでしょう?」

「僕は何年、ヒメちゃんに()れられていると思ってるの? ヒメちゃんの手は間違えないよ」


 こーちゃんは自信満々に言いました。

 可愛いこーちゃん。


「ところで、私はここまでどうやって来たの? 覚えていないのよね?」

「僕がお姫様抱っこをしてここまで運んだよ」

「お姫様抱っこ? こーちゃんが?」

「そうだよ。ヒメちゃんには秘密にしてたけど最近、筋トレしてるから筋肉はついたよ」


 そう、こーちゃんは言って自分の腹筋を私に見せます。


「えっ、その綺麗に割れた腹筋は本物なの?」

「本物だよ。触る?」


 こーちゃんはそう言って私の手を腹筋に当てます。

 硬い腹筋に私は驚きです。

 可愛い顔のこーちゃんに腹筋があるなんて想像なんてしたこともありませんでした。


 秘密で筋トレしていたからエリザベスに私が引っ掻き傷をつけられた日、帰ってきてすぐにカーテンを閉めたの?

 そういえば筋トレ道具があったのが見えたかも。

 それを隠す為にカーテンを閉めたんだね?


「こーちゃんも男子なんだね」

「ヒメちゃん。僕に惚れた?」

「腹筋には惚れたよ」

「僕じゃないの?」


 こーちゃんは落ち込みながら言います。


「ねぇ、こーちゃん」

「何?」

「私、後悔してるよ」

「何を?」

「どうしてこんな格好いいこーちゃんに今まで気付かなかったんだろうって」

「えっ」

「こーちゃんは格好いいよ。好きな人の為に男らしくなろうと変わろうとするこーちゃんは格好いいよ」

「ヒメちゃん?」

「だから自信持っていいよ。こーちゃんは絶対、好きな人に好きって言ってもらえるよ」

「ヒメちゃん。どうして泣くの?」

「えっ」


 こーちゃんは私の頬に流れた涙を親指で拭います。

 私、泣いているみたいです。

 こーちゃんが誰かのモノになるのが嫌です。

 ずっと私の隣にいて欲しかったです。


「ヒメちゃん。僕はヒメちゃんの涙を見る為に男らしくなろうと思ったんじゃないんだよ?」

「あっごめんね」


 私はそう言って自分の手で涙を拭おうとしましたが、その手をこーちゃんが阻止するように掴みます。


「ダメ。ヒメちゃんの涙は僕のモノなんだから」


 そう、こーちゃんは言って私の涙に唇を当てます。


「こっ、こーちゃん?」


 私は顔が真っ赤だと思います。

 恥ずかしいです。


「ヒメちゃんのモノは全部、僕のモノなんだよ」


 こーちゃんはそう言って笑いました。

 でもその笑顔はいつもと違って色っぽく小さく笑って口角を片方だけ上げています。

 まるで小悪魔のようです。


「こーちゃん?」

「ヒメちゃんは僕のモノ。ヒメちゃんは僕の好きな人なんだよ?」

「私が?」

「ヒメちゃんは僕のモノだよね?」


 こーちゃんが小悪魔に見えて仕方ありません。

 小悪魔のこーちゃんには逆らえません。


「うん。そうだよ」

「よくできました」


 こーちゃんはそう言って私を抱き締めました。

 私はベッドに座り、こーちゃんは立っているからいつもの少しだけ私の高い身長差がなくなっています。

 こーちゃんの腕の中は温かくて、硬い胸は男子と言っても過言ではありません。


 あれ?

 可愛いこーちゃんは何処にいったの?

 可愛い笑顔のこーちゃんを見たくて私は顔を上げてこーちゃんを見上げます。


「こーちゃん」

「ひっ、ヒメちゃん。僕は男の子なんだよ?」

「うん。知ってるよ?」

「それならそんな顔はしちゃダメだよ」

「顔?」


 こーちゃんが何を言っているのか分かりません。

 だって私の顔は自分じゃ見えないのですから。


「ヒメちゃん。キスしてもいい?」

「えっ」

「ヒメちゃんが悪いんだよ?」

「それならこーちゃんが悪いんだよ。こーちゃんが男の子だから私が好きになっちゃったじゃん」

「好きだよヒメ」


 こーちゃんは私を呼び捨てにしてキスをしました。

 私は幸せいっぱいです。



「こーちゃん」

「何? ヒメ」


 私は何故かこーちゃんの部屋でこーちゃんの膝の上に座らされています。

 こーちゃんは二人きりになると私を呼び捨てにします。

 いつもは天使の笑顔のこーちゃんは二人きりになると小悪魔こーちゃんになります。


「こーちゃん。どうして私はここに座らなきゃならないの?」


 私は後ろに座っているこーちゃんに振り向きながら言います。


「だってヒメを逃がさないように」


 こーちゃんはそう言って私を後ろから抱き締めます。

 それから私を、こーちゃんと向き合うように座らせます。

 近すぎて恥ずかしくなります。


「ねえ、キスより上のステップにいきたいんだけどなぁ」

「えっ、こーちゃん?」

「ヒメは僕のモノだよね?」

「そっ、そうだけど?」

「それならいいよね?」

「なっ、何が?」

「キスの次のステップだよ」

「えっと、その」

「いいよね?」


 天使のような笑顔なのに何処か黒さを感じるのは私だけでしょうか?

 こーちゃんが小悪魔じゃなくて大魔王に見えます。


「こーちゃん?」

「ごめんね。ヒメをいじめ過ぎたね。ヒメの嫌がることはしないからね」


 こーちゃんはそう言って私を抱き締めて頭を撫でます。

 やっぱり優しいこーちゃん。


「そういえば私が体育の授業で倒れた時、私を呼び捨てにして呼んだでしょう?」

「うん。あの時はすごく焦ったよ」

「迷惑かけちゃったね」

「迷惑なんかじゃないよ。それに鈴があったから良かったよ」


 鈴ってヘアピンの鈴のことだよね?

 こーちゃんに、何故ヘアピンをくれたのか教えてもらわなきゃいけません。


「こーちゃん」

「何?」

「どうして私にヘアピンをくれたの?」

「僕のモノ」


 こーちゃんはそう言って可愛くウインクをしました。

 やっぱりこーちゃんは可愛いです。


「可愛い」

「ヒメ? 僕は可愛いじゃないよね?」


 えっ。

 こーちゃんがいつの間にか天使から小悪魔になりました。

 そしてニヤリと笑って私の鎖骨を撫でます。


「こーちゃん。私の嫌がることはしないんでしょう?」

「うん。しないよ。ヒメの嫌がることはね」


 何か含みのある言い方に私は鳥肌が立ちました。

 あるいは、こーちゃんに鎖骨を撫でられているせいなのかもしれません。


「こーちゃん。私はまだ心の準備が出来てないんだよ?」

「そんなのいらないよ。すぐに慣れるからね」

「慣れるって。なんかヒドイよ」

「早く目を閉じて」

「えっ目を閉じるの?」

「大丈夫だから。僕を信じてよ」


 こーちゃんの優しい眼差しが私に降り注ぎます。

 何だろう?

 恐怖なんて感じないです。

 私はゆっくりと目を閉じました。


「んっ」


 首に何かが当たって少し、ビクッと体が跳ねました。


「目を開けていいよ」

「えっ」


 私は恐る恐る目を開けます。

 目の前には優しく微笑んでいるこーちゃんがいます。


「それは僕のモノだって印だからね」


 こーちゃんはそう言って私の首にあるネックレスに触れて言います。

 こーちゃんが触ったネックレスからリンリンと鈴の音が聞こえました。


「鈴がついたネックレスなの?」

「そうだよ」

「何か首輪みたいね」

「そうだよ。ヒメは僕のモノだっていう意味だからね」

「首輪ってそんな意味があるの?」

「だって首輪をしている猫を見ると飼い猫だって分かるでしょう?」

「そういえばそうだね」


 私はネックレスが嬉しくて鈴に触れます。

 鈴がリンリンと可愛く鳴ります。


「ねぇ、ヒメ?」

「ん? 何? こーちゃん」

「お礼はないの?」


 こーちゃんがそれは可愛く甘え、笑顔で私に言いました。


「あっありがとう。大事にするね」

「そんなのお礼じゃないよ」


 こーちゃんは頬を膨らませて拗ねたように言っています。


「言葉じゃ足りないの?」

「うん」

「それなら何がいいの?」

「ヒメ」


 こーちゃんはニコニコしながら私に言いました。

 さっき、私の嫌がることはしないって言ったよね?


「ヒメ」


 こーちゃんは私を呼んで私の下唇を親指でなぞります。

 こーちゃんの言いたいことが分かりました。


「こーちゃん大好きよ」


 私はそう言ってこーちゃんにキスをしました。

 触れるだけの優しいキスです。


「足りない」


 小悪魔こーちゃんが現れました。

 そして次はこーちゃんからのキスが私の心を幸せにしました。




 こーちゃんの勘違いから始まった私へのざまぁは大成功? でした。

 小悪魔こーちゃんを見ていると、きっかけを作る為にわざと勘違いを装ったのではなんて思ってしまいます。


 まあ、今がよければ全て良しとしましょう。


 天使のこーちゃん。

 小悪魔なこーちゃん。

 大魔王のこーちゃん。


 どんなこーちゃんも大好きです。


「可愛いこーちゃん。大好きよ」

「ヒメ。僕は格好いいがいいの」


 そうこーちゃんは言って私を抱き締めようとしたから私は逃げます。


「こーちゃん」

「何?」


 私は追いかけてくるこーちゃんへ振り向きこーちゃんを呼びます。

 こーちゃんは愛おしそうに私を見て言いました。


「私はこーちゃんのモノよ」


 そう言ってネックレスの鈴を人差し指でリンリンと鳴らしました。


「知ってるよ」


 こーちゃんは嬉しそうに可愛く微笑みました。

 私よりも可愛く笑うこーちゃんが少しだけ羨ましくてそんなこーちゃんの可愛い顔を崩したくなりました。


「こーちゃん、キスしてよ」


 こーちゃんが私を捕まえて抱き締めたのでこーちゃんの腕の中でこーちゃんを見上げて言います。


「ヒメちゃんが初めて僕に言ってきたね」


 こーちゃんはそう言って私にキスをします。

 唇を離して見つめ合います。

 やっぱりニコニコと天使の笑顔のこーちゃん。

 そんなこーちゃんの天使の笑顔を私が崩してあげる。


「こーちゃん」

「何? ヒメ」

「可愛いこーちゃんは好きよ。でも、、、」


 私はそう言ってこーちゃんの胸に顔を埋めます。


「ヒメ?」


 こーちゃんの声が不安そうに聞こえ私は顔を上げます。

 こーちゃんは不安そうに私を見ていました。

 可愛い顔は何処にもありません。

 こーちゃんは私の一言でこんなにも表情を変えてしまう。


 どれだけこーちゃんに好かれているのか分かります。

 嬉しくて嬉しくてこーちゃんに伝えたいです。


「こーちゃん、格好いいこーちゃんはどうすれば見せてくれるの?」

「そんなの簡単だよ。ヒメが僕に甘えてくれればいいんだよ」

「こーちゃん」

「何? ヒメ」

「ずっと側にいてね」

「うん」

「次のステップの準備はできてるよ」

「うん、、、えっ」


 こーちゃんの驚いた顔に私は笑ってしまいました。

 こーちゃんの可愛い顔は崩れました。

 だから今はこーちゃんよりも可愛く笑います。


「こーちゃん、大好きよ」

「ヒメ、僕も大好きだよ」


 今のこーちゃんの顔はとっても格好よく見えます。

 こーちゃんは格好いいのです。

 私がそう思うのだから誰もがそう思うはずです。

読んで頂き誠にありがとうございます。

最後まで読んで頂き感謝しております。

少しでも楽しく読んで頂けたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] こーちゃん、ヒメちゃん、おめでとう! とても微笑ましく、見ていて楽しかったです!
[良い点] 二人のやり取りが可愛くて男の子が可愛いよりカッコイイと言われたいと言う気持ちが分かっているからでしょうか、微笑ましい。 [一言] ハッピーエンドですね!こういうお話大好きです。楽しくて胸キ…
[一言] 2人の可愛い恋がきゅんきゅんしました! こーちゃん、実って良かったねー(*>∀<*) おめでとう!
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