57/103
57 ゲロのゲンさん
ここはある町の警察署。
そこの一室である取調室のドアが開いて、中から赤ら顔の初老の刑事が、ふらふらとした足どりで出てきました。
この刑事。
仲間の刑事からは、ゲロのゲンさんと呼ばれており、犯人に自白させることにかけては彼の右に出る者はなく、これまで数多くの難事件を解決に結びつけていました。
部下の若い刑事が歩み寄って問いました。
「どうでした、アイツ吐きましたか?」
「ああ、すべてな」
「さすがゲンさんですね」
「あとはまかせたぞ」
ゲンさんが取調室の前から消えます。
若い刑事が取調室に入ると酒臭いにおいがして、そこには大量のゲロが吐き散らかされていました。
犯人が叫びます。
「アイツ、ゲロを吐きやがった!」