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TS転生したから野球で無双する  作者: インスタント脳味噌汁大好き


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第234話 ストレート

5回表に日本代表は追加点を加えて4対2になり、さらにワンナウトランナー3塁というチャンスを迎えたけど、ここで大村さんのスクイズが小フライになってツーアウト3塁になる。


裕香ちゃんもショートゴロに倒れ、5点目の獲得には至らなかった。あのショートの人の、名前はイーディスさんだったかな。空港で真凡ちゃんがジェニファーさんに絡まれた時、ジェニファーさんを引っ張って行った人だ。地味に2点分ぐらい得点機会を失っているから守備範囲が広いというのは大きい。


相手の守備は良いけど、日本も負けてはいない。と言いたいところだけど、イングランドの守備と互角なのは裕香ちゃんと私と赤石さんぐらいかな。センターラインが堅硬なお陰で何とかなっているけど、大砲が多いせいで守備は鈍重だ。


5回裏、6回表の攻防は互いに無得点に終わり、6回裏。3イニング目に入った友理さんが、連打を浴びる。ノーアウト1塁3塁になって、投手は新開さんに代わったけど、犠牲フライを打たれて1点差に詰め寄られた。


その後もフォアボールを出し、ワンナウトランナー1塁2塁になって、ライナー性の良い当たりが連続で続いた。しかし裕香ちゃんが両方とも飛び込んで捕球し、ピンチを切り抜ける。


6回終了時点で、4対3。1点差の試合は、終盤戦に入る。


「ナイスキャッチ。あれが抜けていたら同点だったし、イングランドも強いね」

「1点差の先攻は、キツイし怖いわね。というかこの回で追加点を取らないと、厳しいから私達で点を取るわよ」

「……ノーヒットの責任、感じてるの?」

「感じて無いわよ!ほら、本城先輩からなんだからカノンもさっさとネクストに行きなさい」


7回表の打席は、本城さんから。前の回のピンチにイングランドは3人目の投手を投入していて、本城さんが好きな左腕の速球派だったけど、空振りの三振で終わる。130キロ台前半で落ちるツーシームを投げる左腕とか、イングランドは逸材が多いね。


日本の高校生最速は、141キロ。日本のプロの最速も146キロだけど、海外では150キロ近い剛速球を投げる人もいるし、アメリカの高校生が147キロを出してニュースにもなっている。今年の日本は最速140キロの投手が3人いるから強いと言われているけど、海外の強豪国だとそこまで珍しいことでも無い。


……ワンナウトになって、私に4人目の投手を投入して来たイングランド。予選ではイングランドの抑えを務めていた投手で、最速は135キロ。この人もムービングファストを投げる投手で、芯で捉えることは難しい。シュートとかカットボールとか色々と投げるみたいだし、イングランドの抑えを務めていただけのことはあるね。


相手だって必死だ。この試合に勝てなければ、残りの2試合、ドミニカとスイス相手に2勝しないといけない。初球のシュートをファールにして、ボール球を見送ってカウントは1-1となる。


3球目。内角のカットボールを捉えに行って芯を外した打球は、ライト線へ運んだ。初めて詰まった当たりになったけど、向こうは外野後退シフトを敷いていたため、2塁まで進むことが出来た。


ワンナウトランナー2塁になって、大村さんの打球が右方向に飛んだのを見て私は3塁に。大村さんのセカンドゴロの間に私が3塁へ進んだことにより、ツーアウトランナー3塁になって裕香ちゃんが打席に立った。


5回表の攻撃の時と、同じようなシチュエーションだね。そして今度は裕香ちゃんが、守備の良いイングランドの三遊間を抜ける僅かなヒットコースへボールを運び、レフト前へのヒットになる。日本代表は5点目を獲得し、点差は2点になった。


「……今の打ち方」

「ん?どうしたの?」

「何でもないわよ。それより、肩を温めなくて良いの?」


ベンチに戻ると今日は3打数1安打1四球と、予選の時よりかは苦戦している真凡ちゃんがボソッと呟いたけど、また何か掴んだのかもしれない。裕香ちゃんと真凡ちゃんの、打ち方はよく似ているしね。唯一の違いは、真凡ちゃんより裕香ちゃんの方が背は高くてパワーもあること。


ただ、ボールに当てるだけなら真凡ちゃんの方が上かもしれない。意識してなくてもマウンド上にいる投手の口の動きまで追えるみたいだし、目が良いというのは真凡ちゃんの持つ最大の才能だね。


その後の日本の攻撃は無得点に終わり、試合は8回裏まで淡々と進む。5対3の状況でマウンドに登るのは、抑えを任された私。


……球速が速いからという単純な理由で、私がクローザーになったわけじゃない。ただ140キロを出すだけの投手なら、イングランドのような強豪国相手だと打たれてしまうからだ。


評価を貰えたのは、ツーシームやシュートの球速が速いこと。縦スラという落ちる変化球を持っていること。そして、速球の回転数が多いところ。その速球の回転軸が、ほぼ垂直なこと。


毎分縦2700回転に対して、横回転は一桁。そのストレートが追い込んだ相手のバットに空を切らせ、森友さんのミットに納まる。まずは1人目を三振に抑えて、ワンナウトを取った。

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