行方不明の冒険者達
なんか書けたので、どうしてこうなったかわからないキャラ2名
ラーセナル王国の首都ウィンシアにある冒険者ギルド本部
今現在そのギルド本部3階にある会議室ではギルド本部長をはじめとした幹部が会議をしていた
会議の議題はある問題についてだった
ある問題とは他の者からすれば大したことではないように思えるものだった
だが、この会議を開いたものはこれを軽視せずに問題として捉えていた
その問題とは何か、大したことではないのだ、冒険者であるならそういった事もあるといった内容だ
ただ単に依頼を受けた冒険者が中々戻ってこない、ただそれだけの事
これが駆け出しの冒険者ならば手こずっているだけか、実力に合わない依頼を受けて死んだかのどちらかと思うだろう
残念とは思うが、仕方のない事だ、冒険者である以上、死ぬ覚悟はしていただろう
だが、今回は違う、帰ってこないのは駆け出しの冒険者ではなくすでにBクラスにまで到達した3人組なのだ
その実力はとうにAクラスに届いていると確信されるほどの実力者達なのだ
ただ、問題があるとすればAクラスになると、ギルドや国から強制徴集があるためそれを嫌ってBクラス止まりにしている事
暇つぶしや面白半分で駆け出し達の依頼を受けてしまう事等、他にも問題行動の多い3人ではある
今回も暇だからとゴブリン10体の討伐という駆け出し達の依頼を受けて始まりの森へと出発したのが10日前
そう、10日前に出発しているのに未だに達成せずに戻ってきていない
Bクラス、実力はAクラスの冒険者が、である
首都ウィンシアから始まりの森へは1日あれば辿り着く、往復で2日あれば十分な距離
そしてゴブリンといえば駆け出し達のお小遣い稼ぎの恰好の獲物である
レベルの高いゴブリンも存在はするが始まりの森にいるゴブリンはせいぜい高くて12レベル
問題の3人は平均で60レベルだ、そう考えると未だ帰ってこないのはあまりにも不自然である
早くに依頼が終わって他の魔物を狩って素材でも集めているのかと最初は思われていた
だが出発から10日経った現在、彼らは何か予期せぬ事態が起こったとして幹部を集め会議を始めたのだった
「それで?実力はAクラス相当の冒険者がゴブリン討伐から10日経っても帰ってこないって?どうせ小遣い稼ぎについでに遠出でもしてるんじゃないのか?」
そう発言したのはウィンシア本部副本部長のゴルベスである
このゴルベス実は問題行動の多い3人の事が心底嫌いなため3人の事は正直どうでもいいと考えている
「ゴルベス、仕事に私情を挟むな」
「っ、申し訳ありません、ミレイナ様」
「気を付けろ、ただお前の気持ちもわからんでもない、だがこの会議を開いたのは私だという事を忘れるな」
そう言うとミレイナは他に文句がある奴はいるか?と問うように参加した者達を見ていき、他にいない事を確認し発言を続けるのだった
「ゴルベスの言う通り普通ならこんな事は気にしないが今回は別だ、帰ってこない冒険者3名は普段から問題行動の多い3人と聞いている、その3人が暇つぶしと言ってゴブリン討伐のために始まりの森へ行った、ここまでは別に構わん、問題なのは帰ってこないという事とその理由だ」
それこそゴルベスが言ったように遠出でもしているんじゃないか?そう思う参加者達
しかし、それならわざわざミレイナが会議をひらくわけがない、この中で会議が一番嫌いなのはミレイナ本人なのだから
「私が思うにこの3人、暇つぶし相手に手を出してはいけないやつにちょっかいをかけてしまったのではないかと私は考えている」
まさか!!そんなはずは!!とミレイナの発言で参加者達は大慌てである
「ミレイナ様!!それはありえないでしょう!!」
「ゴルベス、なぜそう言い切れる?」
「手を出してはいけない相手、始まりの森でそういった相手は始まりの洞窟にいるマザー・バットしかいない!!しかし、マザー・バットには国が、王の名で触れてはならない、近づいてはならない、危害を加えてはならないと冒険者達にも義務付けられています!!」
「だから、手を出さないと?」
「当たり前です!!たとえ問題行動の多い彼らでもそれを破ればどうなるかわかるはずです!!」
「だが、私の元にある彼らに対する報告書には、実力はあれど問題あり、なまじ実力があるために増長しており目に余る、そのうえ貴族とも繋がりがありいくつか罪を無かったことにしていると、ゴルベス、お前の名で報告書が上がっているが?」
「それは、そうですが、しかしマザー・バットに手を出すというのはそんなレベルではないでしょう!?」
「まぁ、普通ならそうだろう、マザー・バットは上級クラス、その中でも確実に上位にいる魔物、しかも本当かどうかは知らないが300年くらい生きている、なんて話があるからな、だからこそ、自分たちの実力を過信した馬鹿共が手を出して返り討ちにでもあったんじゃないかな?」
あいつらならやりかねない・・・・・・そう誰もが思ってしまったのであった
「だとしたら、彼らはすでに死んだものとして扱った方がよいという事でしょうか」
「それもあるが、一番の問題はだ、馬鹿共がマザー・バットを始まりの洞窟から外に引っ張り出しちまってるかもしれないってとこだろ、マザー・バットがおとなしく洞窟に帰ればいい、帰ればな?もし帰ってなかったら?どうする?今この首都にマザー・バットと戦える者はいるか?」
上級クラス、その中でも上位にいる魔物が駆け出し冒険者達がレベル上げ等に行く始まりの森に解き放たれた場合、どうなるか想像するのは容易い
そこは駆け出し冒険者では太刀打ちできない魔物が支配する地となりおいそれとは近づく事も出来ないだろう
そもそも国からマザー・バットには近づいてはいけないと義務付けられている以上討伐も難しい
そうなってしまってはもう始まりの森に近づくことすら出来なくなる
始まりの森には薬草や水源、食料にもなる木の実、森にいるウルフ系の魔物の素材等、駆け出し冒険者には嬉しいものが豊富にある場所
もともとこの始まりの森があるからこそ、ウィンシアは冒険者発祥の地として、冒険者としての下地を作る場所として繁栄してきたのだ
その場所がなくなってしまったら?
国としての強みが弱くなるという事、冒険者を目指す若者が来なくなる
駆け出しの冒険者がいなくなると残るのは駆け出しよりも依頼料が高い冒険者達だけ
そうなると今まで安くできていた依頼ができなくなる、村などからの魔物退治の依頼すら高額の冒険者に頼まなくてはいけなくなる
そして、村などに高額な依頼料を払う事などできるわけがない、依頼料が払えないなら冒険者はやってこない、冒険者がこないなら魔物被害はそのままである
もちろんこれは最悪の場合ではある、ギルドにはそういったお金のない村などに対する依頼料を一部ギルドが負担するといったシステムもある
だが、それにも限界があるし、冒険者の数にも限界がある、護衛の依頼を受ければ最悪1か月や場所によっては半年は帰ってこない
ランクの高い冒険者はその分実力があるため護衛依頼が多い、そうなればレベルの低い冒険者しか残らなくなってしまう
本来であればそういった低レベル冒険者を鍛える場所が始まりの森だったのだが・・・・・・
「ま、まだマザー・バットが外に出たと決まったわけでは!!」
「出ていないとも決まってないよな?常に最悪を考えて行動しなければいざとなった時どうにもならんぞ?」
「それは、そうですが、だからといって国がマザー・バット討伐を許可しますか?正直私としては何故長い間マザー・バットを討伐しないのか理解できないのですが」
それはそうだろう、なにせ誰も何故マザー・バットに近づいてはいけないのか、その理由をしらないのだから
唯一理由を知る者がいたとしたらラーセナル王か、ラーセナル王家の者、そしてギルド本部長であるミレイナだけなのだ
「あぁ、そっか、何で討伐しないのかって理由は公表されてなかったな、そういえば」
「ミレイナ様は理由をご存じで!?」
「そりゃな?本部長になった時に国王から教えられたよ、もし3馬鹿がまかり間違ってマザー・バットの討伐に成功していたら私は3馬鹿を徹底的に殺すね」
「それは、なぜですか?」
「マザー・バットという存在自体が必要だからさ、マザー・バットは始まりの森からは決して出ない、普段は始まりの洞窟に引き篭もって定期的に子供を産んでるだけなんだが、それとは別にマザー・バットには役目がある」
会議室にいる皆が自然と生唾を飲み、一体、マザー・バットにどんな役目があるのかミレイナの言葉を待った
「まぁ、これ以上話せないんだけどね」
ズコーッ、まさに今全員が綺麗に椅子からずり落ちたのであった
「そ、そこまで話したなら全部話してくださいよミレイナ様!!」
そーだそーだ!!と参加者からブーイングが巻き起こる
「無理無理、だって制約の魔法で話せないようになってるんだから、無理やり話そうとしたら私が死んでしまう、まだ結婚もしてないし?子供も産んでないのにこんな事で死にたくはない」
「制約の魔法・・・・・・そこまでして守らなければいけない理由があるのですか?」
「あぁ、正直私はそれを信じていない、だが国王はおろか王家の人間がここまでして守っている秘密だ、お前たちもマザー・バットに秘密があることは他言無用だぞ、話したら多分、殺されるからな?王家の暗部に、ご愁傷さま」
そういって目を閉じ、顔の前で両手を握り祈りのポーズをとるミレイナ
「な、何てこと教えてくれてんですか!!どうしてくれるんですか!!」
「知るか!!聞きたがったのはお前たちだろうが!!自己責任だ!!」
ふざけるな!!責任をとれ!!などと騒がしくなる会議室
そして突如片手を上げそこに炎の塊を作り出すミレイナ
「貴様ら黙らんと灰にするぞ?」
一斉に静まりかえる会議室、なにせミレイナといえば元Sクラス冒険者にして爆炎の魔女と謳われ、恐れられた女性であり、壁があればぶち壊せ、邪魔をするなら灰になれをモットーに敵対したものを言葉通りに灰にしてきた今年32になる未婚の女性である、見た目が悪いわけではない、むしろ美人である、ただ思考が少し過激なため男が寄ってこないだけで、スタイルも抜群でとても今年32になる女性とは思えないプロポーションである
ちなみに最近の趣味は一目を憚らずいちゃいちゃするカップルを爆発させる事である、もちろん死なない程度に
(だからあんたは結婚出来ないんだよ!!)
会議室の全員の意見が一致した瞬間であった
「あ゛?なんかお前ら今、不愉快な事考えなかったか?」
一斉に首を横に振る男達、そんな時慌てて会議室の扉を開けた者が入ってきたのだった
「本部長!!緊急にご報告したい事が!!」
そこに入ってきたのは顔に恐怖を張り付けたギルドの受付嬢だった
「緊急?一体なんだ?国王が死んだか?」
普通に不敬な発言であるが誰も気にしない、気にしてはいけない
「冗談を言ってる場合じゃありません!!行方不明の3人が見つかりました!!」
「なに!?見つかった!?どこでだ!?いや、ギルドにきているのか!?」
受付嬢に襲い掛かるが如く詰め寄るゴルベス、それを見てゴルベスの頭をはたくミレイナ
かたや元Sクラス冒険者、かたや副本部長で護身術程度は使えるとはいえステータスは一般人並みのゴルベス
その結果ゴルベスは壁に熱烈な接吻をするはめになった
「落ち着けゴルベス、それでは話そうにも話せないだろうが」
(ゴルベスさんがな!!)
またもや結婚できない理由を目の当たりにする会議室の者達、受付嬢はそんなミレイナに羨望のまなざしを送っているが
「それで?見つかったのは何処でだ?」
何事もなかったように話を始めるミレイナ、ゴルベスを憐れみ黙祷を捧げる男達
心なしか頬を染めている受付嬢
「は、はい、見つかったのは始まりの森の中で、そ、その・・・・・・」
「なんだ言いにくい事なのか?」
「は、はい、見つかったと言ってもその・・・・・・一部だけでして」
「一部だけ?どういうことだ?」
「見つかったのは木の枝で串刺しにされた3人の頭部と、冒険者証だけなんです・・・・・・」
「・・・・・・なんだそれは?串刺しにされた頭部だけ?体は見つかっていないという事か?」
「はい、その通りです、見つけたのは近くで薬草採取をしていた駆け出し冒険者の者でして、見つけた時にはすでに・・・・・・」
「他は?他に何かなかったのか?それをやったモノの痕跡とか」
「それが・・・・・・見つけた冒険者もあまりの光景に怯えて急いで戻ってきたみたいで詳しくは・・・・・・」
「至急、高レベルの冒険者PTを捕まえろ!!Aクラス相当の冒険者を屠れる魔物か魔族がでた可能性が高い!!しばらく始まりの森に出入りする事を禁ずる!!私はこの事を王に報告しにいく、捕まえた高レベル冒険者には頭部が見つかった場所を探索させろ!!僅かな痕跡でもいい必ず見つけろ!!」
ミレイナがそう発すると、会議室にいた者達は即座に動き出す、首都にいる高レベル冒険者達の所在地の確認、彼らに出される緊急依頼の作成、依頼料の設定、始まりの森への進入規制の伝達、ミレイナを筆頭に彼らは動き出す
ゴルベスを置いて
ミレイナ「リア充爆発させるから、異論は認めない」
ゴルベス「だから結婚できないんだよこの人」
ミレイナ「あ゛?なんか言ったか?」
ゴルベス「いえ、何も?」




