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「とある少女の『旅』物語」~これは『魂』の声を聞く一人の少女が、自分の『旅路』と向き合う物語~  作者: たっけん


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11/20

生還

今回は普通にリキシア視点です

ノクスはリキシアを背中に乗せたまま、街の門に向かって走り寄る。

門の近くにいた二人の騎士がノクスの姿を認めて一瞬警戒するが、その背中の上のぐったりとしたリキシアに気づき顔色を変える。

「な、、、っ!」

「おい、嬢ちゃん大丈夫か!」

「魔獣に人、、、。まさか嬢ちゃん、契約術士の冒険者か」

騎士の一人が駆け寄りながら声をかける。

リキシアは、意識はあるがそれに応えるだけの力は残っていなかった。

ノクスは、何かを訴えるように騎士に向かって吠える。

「大丈夫だ。お前の主はちゃんと救ってやる」

その騎士はノクスにそう声をかけると、後ろのもう一人の騎士の方を振り返る。

「ギルドに報告だ!」

「俺はこの娘を運ぶから先に走れ!治療の準備だ!」

「患者は人間が一人と魔獣が一匹。急げ!」

その声に、もう一人の騎士が街の中に走り去っていった。


指示を出していた騎士が、ノクスの上からリキシアを慎重に抱き上げる。

そのまま、リキシアに負担がかからないように気遣いつつも、急いで走り出す。

ノクスも、心配そうな声を上げつつその後を追って走る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


しばらくして、リキシアが目を覚ます。

見知らぬ部屋。

見知らぬ天井。

「あら、お嬢さん。目が覚めた?」

リキシアがベッドの上で顔を横に向けると、そこには白衣のローブを纏った女性が居た。

腕の中に、杖のようなものを抱えてベッドの傍の椅子に座っている。

そしてその隣には、ノクスが心配そうな顔をして床に座っている。

なんだか自分が知っているノクスより大きい気がするが気のせいだろうか。


「、、、ここは?」

「ここはギルドの医務室よ」

「私は、ギルドの救護担当の魔導士よ」

「、、、救護。貴女が、助けてくれたんですか?」


「ふふ、私は怪我を直してあげただけよ」

「感謝するなら、貴女のお友達にしてあげて」

「貴女を連れて来た騎士から聞いたわよ。その子が、怪我をした貴女を背中に乗せて走って来たって」


「、、、そうですね」

「ありがとね、ノクス」

リキシアは微笑みながらノクスにそう言った。

その言葉に、ノクスがベッドに近づき顔を擦り寄せてくる。

リキシアはそんなノクスの頭を優しく撫でてあげた。


白衣の魔導士はその様子を微笑みながら眺めている。

「それにしても、貴女良く生きていたわね」

「体中骨折だらけ。なにより、深い切り傷の痕がいくつもあったし、小さな傷もいくつもあった」

「本当なら、ここに来るまでに死んでいておかしくない傷だわ」


「でも大きな傷の血は、ここに来たときにはもう塞がっていたわ」

「いえ、、、。塞がっていたとは言えないわね」

「皮膚も肉も抉られた状態のまま、血管だけ辛うじて繋がっていたわ」

「、、、貴女、自分で治癒魔法を使ったの?」

「こんな怪我をしたまま、魔導士でもないのに魔法を使ったんだとしたら、大したものよ」


「、、、治癒魔法?私、今までそんな魔法使ったことないですよ?、、、多分」

その言葉に白衣の魔導士は少し怪訝な顔をするが、すぐに笑顔に戻る。

白衣の魔導士はリキシアの顔を見つめるが、わざわざ嘘をついているようには見えない。

「、、、そう」

「でもまぁ、貴女が無事ならそれで十分ね」

「私は一旦席を外すから、ゆっくりしていなさい」

「無理に起き上がろうとしちゃだめよ。傷は治っても、疲労までは治せないんだから」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


しばらくリキシアはベッドに寝たまま、ノクスと二人で過ごしていた。

ふと、部屋の扉をノックする音が聞こえる。

「、、、はい、どうぞ」

リキシアが返事をすると、扉が開く。

入ってきたのは、エレナだった。

「リキシアさん、お休みのところすみません」

「少しだけ、依頼の報告を聞きに来ました」

リキシアはその言葉に、ベッドの上で上半身を起こす。

「あ、リキシアさん。無理はしないでくださいね」

エレナは、リキシアの背中に片手を添えて体を起こすのを助けてくれた。


「それと、これ。もし少しでも食べられそうでしたら」

エレナはそう言うと、手に持っていたお椀をリキシアに差し出す。

「ギルドの台所で作ったお粥です」

「もうお昼ですから。お腹、空いてるでしょ?」

「ふふ、私の手作りですよ」


「あ、、、」

「ありがとうございます」

リキシアは、少し嬉しそうにお椀とスプーンを受け取る。


エレナは、お粥を食べ始めたリキシアを見て微笑みながら、再び口を開く。

「それでリキシアさん」

「何があったんですか?」

「貴女に怪我を負わせたのは、魔蜘蛛ですか?」


リキシアは、お粥を食べる手を少し止めて答える。

「、、、いえ。別の魔物でした」

「確か、鉱石竜、、、みたいな名前の」

「その、、、。勝手に奥に行ったりはしていないんです」

「その魔物が、自分から浅い階層まで出て来たみたいで、、、」


「鉱石竜、ですか。確かにあの魔物は、本来浅い場所までは出てこないはずなんですが、、、」

「でも、良く生きて帰ってきてくれましたね」

「新人の冒険者が、Cランク相当の魔物と戦って生還するなんて、大したものですよ」

エレナは、優し気にそう言った。


「あ、、、その」

「鉱石竜なのはそうなんですけど、、、」

「瘴気、、、って言うのに浸食されていたみたいで」

その言葉に、エレナが一瞬目を見開く。

瘴気の浸食を受けているとなると、通常の危険度よりも一段は格が上がる。

それはつまり。

「、、、危険度Bランク相当」

「本当に、よく帰ってきてくれましたね」

「それで、その魔物はまだ廃坑に?」


「あ、、、すみません」

「途中から私は倒れてて。意識はあったんですけど、何があったのか私にもよく、、、」

「最後、ノクスが私を運んで連れ出してくれたのは覚えてますが」

ノクスは、何か言いたげにも見えるが、何を考えているのか詳しいことまでは分からない。

「それより、ごめんなさい」

「実は、魔蜘蛛が何体か外に出ていくのを防げなくて、、、」


その言葉に、エレナはどこか複雑そうな顔をする。

「いえ、謝らないでください」

「むしろ、謝らなくてはいけないのは我々ギルドです」

「魔界の亀裂の発生を把握できていませんでした。これは完全に、依頼の不備です」

エレナは、リキシアに頭を下げる。

「申し訳ありませんでした。この件については、後ほど正式に、ギルドの方から謝罪と補償をさせていただきます」


「あ、、、。いえ、そんな」

「気にしなくて良いですよ。ちゃんと、無事に帰って来たんですし」

「それより、、、。その、瘴気や魔界っていったい何ですか?」

「私、あまり良く知らなくて」


エレナはリキシアのその言葉に、少し呆気にとられたような顔をする。

もしかすると、この世界では本来常識的な話なのかもしれない。

「瘴気と魔界、、、ですか」

「簡単に言いますと、魔界は私たちの住むこの世界とは別の世界です」

「そして瘴気は、その世界特有のもの。瘴気に汚染された魔物は、危険度も上がり、理性を失ってしまうんです」


「、、、別の、世界」

「ええ、そうです。そして、時折二つの世界を繋ぐ『亀裂』が発生するんです。その亀裂から、瘴気が漏れ出るんです。それに、向う側の存在、、、魔族と呼ばれる私たちに敵対的な存在が、こちらに出てくることもあります」

「言ってしまえば、防ぎようのない災害のようなものですね」

「リキシアさんは、ご存じなかったようですね。ただ、冒険者をしていると、ランクが上がるにつれて魔界の亀裂に関する依頼も出てくると思いますよ」


「ええ、知りませんでした」

「別の世界に、その世界の住人、、、」


「別の世界の話に、興味がございますか?もしよければ後で、世界の構造について論じた書物を差し上げましょうか?」

「え、良いんですか?」

「ええ、もちろん良いですよ。確かギルドの保管している書物にあったはずです。後でお持ちしますね」

エレナは、優しく微笑む。


「さて、お時間を頂いてしまってすみませんでした」

「まだお疲れでしょう。今は、ゆっくり休んでください」

「それと、今日と明日に関しては、この部屋に止まって頂いて構いません。食事も、ギルドの方で用意させていただきます」

「新しい服と剣に関しても、こちらで用意してお渡ししますね。後日、今回の件に関する保証金もきちんとお支払いします」


「え、そんな。そこまでしていただかなくても、、、」

「治療だってしてもらいましたし」


リキシアはそう言うが、エレナの表情は真剣だ

「リキシアさん」

「これはただの好意ではなく、我々ギルドの責任の問題です」

「新人の冒険者を、不備のある依頼に送り出してしまった。今回は貴女が帰ってきてくれたから良かったものの、、、」

その言葉には、心からの心配と安堵も含まれていた

「とにかく。私たちにも、最低限の事はさせてください」

その声は、優しさと、どこか有無を言わせない響きがある。


「、、、分かりました。それなら、お言葉に甘えて、、、」

その言葉に、エレナはどこか安堵するように微笑む。

「それでは、私はこれで失礼しますね」

「どうか、ごゆっくりしてください」

「何かあれば、いつでも声をかけてくださいね」

そう言うと、エレナは扉を開けて外に出て行った。

同時に、それまで大人しくしていたノクスが、リキシアに近づいて甘えてくる。


「あ、ノクス」

リキシアはノクスに手を伸ばして優しく撫でる。

「、、、そう言えばノクス。やっぱりなんか変わったよね?」

「ふふ。なんだか前よりも強そうでカッコいいよ、ノクス」

その言葉に、ノクスは嬉しそうに尻尾を振る。


昼下がりの部屋に、穏やかで暖かなひと時が流れていく

<本日のおまけ>

所持金:4ゴールド

*変動なし


リキシア、無事に生還できたようで何よりですね(´ω`*)

一人で犠牲になることを選んで死にかけたとは思えない程、心も体も元気なようで安心、、、(・∀・)


**一言**

少しでも面白いと思ったら、リアクションやコメント、是非お願いします!!

作者が跳んで喜びます(>_<)

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