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069.機巧技師と新たなる武装

「これは凄い!! カリブンクルスの全身から、まるでマグマのように炎が迸る!!」


 実況の声に、観客からも大きな歓声が上がる。

 カリブンクルスの全身のファイヤーパターンに沿って燃え上がる炎。

 以前はフィンガーフレアバーストを撃つために右腕だけに施した機能だったが、今のカリブンクルスは、全身どこでも炎を纏うことができる。

 その姿は、さながら不死鳥。

 火の粉を置き去りにするようにして、カリブンクルスが再び進撃を開始する。


『そんなハッタリ通用しないぜ!!』


 バルサミナが再び、クイックドロウを放つ。

 1発1発に雷のエネルギーが内包されたミスリルバレット。

 脅威は単純な貫通力だけでなく、直撃を受けた場合、受けた部位の魔力導線の機能が一時的にマヒしてしまう。

 雷撃玉を使った防御フィールドももう役には立たない。

 となれば、あとは、こちらの全力をぶつけて、相殺するのみ。


『弾には弾を、だ!! フィンガーフレアバレット!!』


 右手から赤熱する魔力球を生じさせたカリブンクルスは、ミスリルバレットにそれを叩きつける。

 魔力導線の強化により、以前よりも威力を増したフィンガーフレアバレットは、ミスリルバレットと交錯すると、内2発をそのままどろどろに溶かし尽くす。

 しかし、全ては相殺しきれず、すりぬけてきた残りのミスリルバレットを飛び上がって回避した。


「上手い! さすがサクラ君!!」

『バカめ! 隙だらけだ!! やれ、バルサミナ!!』

『任せな! 坊ちゃん!!』


 高速でリロードした銃弾をバレスティアが再びクイックドロウで狙い撃つ。

 今度こそ本当に逃げ場はない。

 空中で死に体のカリブンクルスに、紫電を纏った6つの銃弾が迫る。


『はぁあああああああっ!!』


 サクラ君の叫びと共に、全身を覆っていた炎が右腕に集束する。

 改修の際に、右腕から背中へと移動したラジエータープレートが、羽根のように開いた。


『フィンガーフレアバースト!!』


 必殺の貫き手が迫る銃弾をひと薙ぎして弾き飛ばす。

 そのまま余剰出力を速力に転換し、滑空するかのようにカリブンクルスが飛翔する。


『バケモンか、こいつ!!』

『バルサミナ!! 撃ち続けろ!!』

『そうはさせん!!』


 と、その時、飛翔するカリブンクルスが、何かを投擲した。

 それは、防御フィールドとして使った電撃玉。

 残っていた3つの電撃玉をばらまくように投げつける。


『そんなもん!!』


 バレスティアが電撃玉を撃ち落とす。

 だが、そのせいで、3発の銃弾を使ってしまったバレスティア。

 残る3発を、カリブンクルスは身を捻って回避する。


『何だと!?』

『打ち貫く!!』


 カリブンクルスのフィンガーフレアバーストが、バレスティアの右肩を捉えた。

 そのまま握りつぶそうとするサクラ君だったが……。


『甘い!! 甘すぎるぞ!! コメット!!』

『これもあとで手当請求しますから』


 コメットが魔素を送り、ミスリル製のバレスティアの装甲が一気に強度を増す。

 その装甲強度は、圧倒的。これまで戦ってきた機巧人形とは比較にならない。

 炎を宿したカリブンクルスの拳に掴まれながらも、一向に装甲が砕ける様子もない。


『貧乏人には考えもつかないだろう。全身ミスリル製のこのバレスティアを貫ける武器などなぁい!!』

『果たして、本当にそうかな?』


 言葉と共に、サクラ君は、バレスティアの肩を掴んだまま真上へと投げ飛ばす。


『うぉ、うぉおおおおおおおおおっ!!?』


 思わず叫び声を上げるバルサミナ。


『貴様!! まさか、装甲を貫けないからと、中のパイロットを墜落死させるつもりか!!』

『そんなわけあるか』


 冷静に答えると、サクラ君は右肘から上を立てた状態で、グッと拳を強く握り込んだ。

 すると、肘の先端にあった突起が、グイっとせり出してくる。


「な、何だ、あの角はぁ!?」


 これこそ、カリブンクルスの新たなる武器。

 第13迷宮の炎熱竜を倒して手に入れたその角を加工して作り出した究極の魔導武装。


『生まれ変わったこいつの本当の力を見せてやる』


 カリブンクルスの全身を覆っていた炎が、突き出した角へと吸収されていく。

 驚くほど静かに、紅蓮の炎を吸い取ったその角は、マグマよりもなお煌々と紅い光を放った。


『サクラ君!!』

『ああ!! 炎熱竜ノ角ドラゴニックバーンホーン!!』


 重力に従い、真っ逆さまに落ちてくるバレスティア。

 何とか強引に態勢を立て直したバルサミナは、落下しながらもそのままミスリルバレットを乱射する。

 だが、力強く飛び上がったカリブンクルスの赤熱する巨大な角に当たった瞬間、ミスリルバレットは一瞬にして溶け落ちた。


『嘘だろ!?』

『はぁああああああああああっ!!』


 そうして、カリブンクルスの新たなる武装は、バレスティアの右腕を持っていたリボルバーごと穿ったのだった。

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