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6.深まる謎

僕たちは早速、何かあったら来るように言われていた、駅直結のホテルに向かっている。一応、連絡用にアカウントを教えてもらってはいるけれど…どうせ今日はもうどこか行く予定はないし、直接会いに行くことにした。

「あ!ここの駅だよー、確かあっちに見えるのがホテルだったはず!」

「あれか…馬鹿みたいにでかいな」

透羽が駅の左側にある巨大な建物を指差して言う。駅直結と言うこともあり、相当大きい。

「だよねー、とりあえず急に押しかけるのもあれだし、連絡だけ入れておくね」

「助かる」

政府の人にどんな言葉を使えばいいのか、僕には到底見当がつかない。コミュ強の透羽に送ってもらえるなら一安心だ。

「わ!返信早っ…えーっと…ロビーの方で待ってるって!」

「分かった。もう行くか…」

隣で返信している透羽を置いて、早足で歩き始める。

「…日彩って、肝心な時は行動力あるよね。わたし結構緊張してるんだけど!あと置いてかないで」

「そうか…?まあ、気になるからな」

言われてみればそうかもしれない。今は緊張よりも不安が大きい…少しでも早く、情報を知りたい。

「だから置いてかないでってば!もう…自分勝手だなぁ…」

「お前ならすぐ追いつけると思ってるから早歩きしてるんだよ」

透羽は僕より圧倒的に運動神経がいい上、身長も僕より高い。透羽が高身長なのもあるが、僕は身長順だといつも1番前…5cm以上差がある。それもあって、体力がミジンコ同然の僕と歩く時はいつもゆっくり歩かせてしまっている。先に動き出しておかないと逆に僕が置いていかれそうなのだ。

「…まあそれもそっか。ごめんね」

え?僕煽られてる?馬鹿にしないで欲しい。僕だって歩くくらいはできるから!!




15分後。ようやく僕たちはホテルの入り口に着いた。人が多すぎてここまで来るのにかなりの時間がかかってしまった。…人混みは苦手だ。

ホテルの自動ドアを通り抜けると、中から涼しい空気が流れ込んできた。

「あぁ…涼しい最高」

「そんなに外も暑くなかったと思うけど…それより!土屋さん、どこだろ…?」

確かに、ホテルのロビーに見覚えのある人はいない。

「まだ来てないんじゃないか?エレベーターが混んでるとか…」

「でももう着いてるらしいんだよね…ここ以外のホテルって訳でもなさそうだし…」

辺りに目をやっていると、一人の男性と目が合った。慌てて目を逸らしたが、その人は僕を見て立ち上がり、こちらに歩いてきた。やばい。ヤクザとかだったらどうしよう。ガン飛ばしてすいません。

「すみません。修学旅行で来られた学生さんですよね?彌….あ、土屋の代理で来た者です。説明が遅れすみません…良ければ少し外で話しませんか?」

「え、あ、えっと…そうなんですね、じゃあよろしくお願いします…?」

あああやばい、どう話せばいいんだ…テンパってわけわからんこと口走りそう。いや多分もうしてる。終わった。

「ありがとうございます。では外に行きましょうか」





外と言っても立ち話は良くないと、駅のすぐ近くのカフェに入りゆっくり話すことになった。

「何か注文したければご自由にしてもらって構いません、それで…ご用件はなんでしょうか?」

手持ちのお金が小銭しかない僕にとってはかなり助かる。ありがとうございます。

「え?あ、えっと…家族に連絡しても返信がないんです。私達だけじゃなくてクラスの子も…家族以外にもネッ友とか、他校の友達とか…とにかく、こっちにいない人からの連絡が全く無くて…」

透羽が少し戸惑ったように話す。要件に関してはメッセージで伝えていたんじゃなかったのか…?

「…あ、そうでしたね。その事なんですが、今は私達政府の関係者で対処しております。申し訳ないのですが今すぐに理由をお伝えすることはできかねます…すみません。それと…人目もあるので出来る限りあちらのことは大きな声で話さないようお願いします」

理由が伝えられない…?少しずつ不安が大きくなっていく。大規模な通信エラーでも起きていれば、あっちは相当悲惨なことになっていそうだ。…いや、エラーやトラブルならまだいい。災害や事件に巻き込まれている可能性だってある。

「そうなんですね…、あの、あっちのみんなは無事なんですか…?」

透羽が言葉に気を遣いながら心配そうに尋ねる。やっぱり透羽は聞きにくいことを容赦なく聞いていく…そのメンタルが羨ましいけれど、もう少し相手を気遣ってほしいと思うこともある。

「…それも含めて調査中です。個人の安否を確認できるのはもう少し先になりそうですので、確認が取れ次第連絡させていただきます」

「…わかりました」

…いや待て、個人の安否を確認できるのは先になる…つまり、数人じゃ済まないほどの死者がいる…?考えすぎかもしれないけれど、不安がどんどん膨らんでいく。透羽がこのことに気づいているかは分からないが、心なしか表情がさっきよりも暗くなっている気がする。

「聞きたかったことは以上でしょうか?すみません、少し忙しくて…失礼します」

「え!?は、はい…」

そう言い残して、慌ただしく代理の方は店を後にした。思い返すと、初対面の時から少し焦っているようにも見えた…そうなると、本当に何があったのか心配になる。

「えーっと…この後どうしよう…?」

「とりあえず、ここにいてもどうにもならないだろ…さっきの人、すごい勢いで帰って行ったし。それより、ドリンクバーだけ頼んでるけど、会計はできるのか?」

好きに頼んでいい、と言われたけれど、話していた時間が短すぎて飲み物しか頼んでいない。相当焦っていたのか、僕達に任せて会計せずあの人は出て行ったし…見た目は落ち着いていてしっかりしてそうな感じだったけれど、関わってみると少し抜けていると言うか、うっかりしている人だった。

「それに関しては大丈夫!修学旅行の食事用でもらってたカードにお金足してもらったから!」

「まじか…めっちゃくちゃ助かるんだが、最高すぎる」

お金がない僕にとっては生命線とも言える。来てよかった…

「だよね〜!結局知りたかったことは分からなかったけど…せっかくだしなんか食べてこっか」

「確かにお腹空いたな、いいんじゃないか?」

心配なところはたくさんある。けれど、修学旅行に来ているんだ、あっちのことは一旦忘れて、旅行を楽しもう…

読んでいただきありがとうございました。

不定期で週末に投稿しております。

私の作品で少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。

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