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辺境伯家三男、アプリで魔法を再定義する。 ~「賢者」認定されたけど、これ「スマートウオッチ」ですから!  作者: のびろう。
第七章 大陸魔法交流戦と最強の乙女たち。裏方賢者のチートサポートと、四つの華麗なるざまぁ無双
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第44話 大陸の精鋭集結と傲慢なる四人の刺客。裏方に回る賢者と、愛する主君を侮辱された乙女たちの静かなる殺意

王立魔法学園の二学期が始まった。


ヤマト国への遠征や、ヒロインたちとの過酷で甘い個別デートという怒涛の夏休みを終え、僕はようやく平穏な学生生活に戻れると思っていた。


しかし、学園は始業式の直後から、ただならぬ熱気と興奮に包まれていた。


大陸中の優秀な学生たちが王都に集結する伝統行事、『大陸魔法交流戦』の開催が宣言されたからだ。


「大陸魔法交流戦、ですか」


僕が首を傾げると、シャルロットが優雅に頷いた。


「ええ。三年に一度、大陸中の同盟国から各王立学園のエリートたちが集まり、魔法と剣の腕を競い合う一大イベントですわ」


「優勝国には莫大な援助金と、大陸最高の栄誉が与えられるの。私たちの学園にとっても絶対に負けられない戦いなんだよ!」


リズが拳を握りしめ、目を輝かせる。


「各国の代表選手は五名。当然、私たち四人は王国の代表として選抜されておりますわ」


ベアトリスが扇子を広げ、自信に満ちた笑みを浮かべた。


「某も留学生の身でありながら、ヤマト国代表としてではなく王国代表の枠に入れてもらった。アレン殿と共に戦えること、誇りに思うぞ」


サクラも気合十分の様子で刀の柄を握る。


「僕も選ばれてるの?」


僕が問うと、四人は何を当たり前のことを、という顔をした。


「アレン様が参加しなければ、誰が王国を引っ張るというのですか。アレン様の魔法があれば、優勝など一瞬ですわ」


しかし、僕はその言葉を聞いて大きく溜息をついた。


「悪いけど、僕は出場を辞退させてもらうよ」


「「「「えっ!?」」」」


四人の驚く声が見事に重なる。


「僕は目立つのが嫌いなんだよ。武闘会で十分目立ってしまったのに、これ以上国際的な舞台で活躍したら、僕の平穏なスローライフが完全に消滅してしまう。他国の王族から縁談とか持ち込まれても面倒だしね」


僕が本音を漏らすと、四人の顔色が一瞬で変わった。


「た、他国の姫からの縁談ですって!?それは絶対に阻止せねばなりませんわ!」


「ええ!アレン様の隣はすでに私たちで満員ですのよ!これ以上の横入りは許しませんわ!」


「アレンは私のお婿さんになるんだから、目立たせない方がいいかも……」


「うむ。主君の貞操は我らが守らねばならぬな」


四人が勝手に納得し始めたところで、僕は左腕の【天界の端末】を軽く叩いた。


「それに、君たち四人がいれば優勝は確実だろう?僕は『監督兼メカニック』として、裏方から君たちの装備を調整し、全力でサポートするよ。僕のチート付与があれば、絶対に負けない」


僕がウインクすると、四人は顔を見合わせ、やがてパッと表情を明るくした。


「アレン様が私たちの専属サポート……それはそれで、最高に贅沢で優越感を感じますわね」


「うん!アレンが後ろで見ててくれるなら、私、誰が相手でも負けないよ!」



数日後。


王都の迎賓館で、各国代表選手を歓迎する前夜祭パーティが開かれた。


華やかなドレスや礼服に身を包んだ大陸中のエリートたちが集う中、僕は目立たないように黒子のような地味なスーツ姿で、ヒロインたちの後ろに控えていた。


しかし、僕の愛する四人の美少女たちは、どこにいても圧倒的な存在感を放ってしまう。


案の定、不愉快な羽虫たちが次々と群がってきた。



「やあ、リズ・マーガレット。平民上がりの田舎剣士が、まさか王国の代表に選ばれるとはな」


最初に絡んできたのは、隣国の代表であるエリート剣士だった。


腰には国宝級の魔剣を下げ、自身の才能をひけらかすような傲慢な笑みを浮かべている。


「あなたの顔なんて忘れたわ。交流戦では、私が王国剣術の真髄を教えてあげる」


リズが冷たく言い放つ。



「おお、私の美しいシャルロット王女。こんなところで再会できるとは、運命を感じますね」


次に現れたのは、大国の第一王子だった。


全身をギラギラとした高級な魔道具で飾り立てている彼は、かつてシャルロットの政略結婚の候補として名が挙がっていた男だ。


「私、この交流戦であなたを打ち破ったら、改めて我が国の側室として迎え入れようと思っています。鳥籠の中で、私に可愛がられる喜びを教えてあげましょう」


シャルロットは虫を払うような冷ややかな視線を向けた。


「お断りしますわ。私の心も体も、すでにただ一人の殿方のものですから」



「ベアトリス嬢、ヴァンルージュ商会の最近の動き、少々目障りですね」


三番目は、大陸屈指の商業国家の令息だった。


「我々の商圏を荒らした報い、この闘技場でたっぷりと味合わせてあげましょう。私の完璧な罠と策の前で、泣き叫ぶ姿が楽しみですよ」


ベアトリスは扇子で口元を隠し、クスクスと笑った。


「底の浅い策など、私には通用いたしませんわ。せいぜい恥をかかぬよう、お気をつけて」



「おいおい、なんだこのちんちくりんは。ヤマト国とかいう野蛮な島国の猿が、魔法交流戦に混ざっているのか?」


最後に現れたのは、武力至上主義である帝国の代表、筋骨隆々の武将候補だった。


「魔法もまともに使えぬ猿が剣を振り回したところで、我が帝国の無敵の重装甲の前では虫ケラ同然よ。せいぜい這いつくばって命乞いをするんだな」


サクラが静かに刀の柄に手をかける。


「……ヤマトの武士を侮ったこと、その身をもって後悔させてやる」



四人の嫌味な代表選手たちは、ヒロインたちの冷たい態度に腹を立てたのか、今度は彼女たちの後ろに静かに控えていた僕へと矛先を向けてきた。


「ところで、その冴えない男はなんだ?お前たちの荷物持ちか?」


大国の王子が僕を鼻で笑う。


「王国の代表も地に落ちたな。こんな雑用係の平民をパーティに連れ込むとは。おい、そこのお前、俺のグラスに酒を注げ」


エリート剣士が僕に空のグラスを突きつけてくる。


僕は面倒事になるのを避けるため、無表情のままグラスを受け取ろうとした。


その瞬間だった。


僕の前に、四人の乙女たちが一斉に立ち塞がったのだ。


リズの碧眼が、氷のように冷たく剣士を射抜く。


シャルロットの周囲の空気が、極度の熱を帯びて陽炎のように揺らめき始める。


ベアトリスの足元から、大理石の床がピキピキと音を立てて凍結していく。


サクラから放たれる剣気が、肌を刺すような物理的な殺意となって周囲の空気を圧迫する。


「……今、アレン様をなんと呼びましたの?」


シャルロットの声は、地獄の底から響くように低く、そして絶対的な怒りに満ちていた。


「あ、アレン……?なんだ、ただの雑用係じゃないか」


王子が四人の放つ異常なプレッシャーに怯み、一歩後退る。


「訂正しなさい。今すぐ、アレン様に土下座して謝りなさい。さもなければ、この場であなたたちを灰燼に帰しますわ」


「私の愛する人を侮辱した罪、万死に値しますわよ」


「アレンの凄さも分からないような雑魚が、私たちに話しかけないで」


「某の主君を愚弄する者、この刀の錆にしてくれる」


四人の美少女たちの目には、一切の容赦のない、冷酷な殺意が宿っていた。


夏休みの過酷な戦いを経て、そしてあの甘く熱い夜の密会デートを経て、彼女たちの僕に対する愛情と執着は、すでに海よりも深く、そして狂気の一歩手前まで到達しているのだ。


「ま、待てみんな。こんなところで騒ぎを起こしたら、出場停止になるよ。僕は気にしてないから」


僕が慌てて四人の肩を叩き、その殺気を強引に収めさせる。


「チッ……なんだあの女たち、頭がおかしいんじゃないか」


「せいぜい本番の闘技場で吠え面をかかせてやる。行くぞ」


四人のライバルたちは、冷や汗を流しながら捨て台詞を吐いて逃げるように去っていった。


僕は大きく息を吐き、四人に向き直った。


「ありがとう。でも、怒る必要なんてないよ。僕は裏方に徹するって決めたんだから、あいつらの言う通り雑用係でいいんだ」


僕が苦笑いすると、四人は一斉に首を横に振った。


「いいえ、アレン様。あのような無礼者たち、絶対に許してはおけませんわ」


シャルロットが僕の両手をギュッと握りしめる。


「明日からの交流戦。アレン様が作ってくださったこの装備と、私たちの愛の力で、あの身の程知らずどもを完膚なきまでに叩き潰して差し上げますわ」


「ええ。アレン様の偉大さを、彼らの骨の髄まで叩き込んでやりましょう」


「私、絶対に手加減しないからね。アレンの剣の威力を思い知らせてやる」


「ヤマトの誇りにかけて、必ずや圧倒的な勝利を主君に捧げよう」


四人の乙女たちの背後に、ゴゴゴゴゴという恐ろしい幻のオーラが見えるようだった。


大陸魔法交流戦。


それは本来、学生同士の爽やかな親善試合であるはずだった。


しかし、僕という最愛の存在(地雷)を不用意に踏み抜いてしまった他国のエリートたちにとって、この大会は公開処刑の場となることが完全に確定したのである。


「……ほどほどにね」


僕の呟きは、闘志と殺意に燃える四人の妻(予定)たちの耳には全く届いていなかった。


裏方賢者の現代科学チートサポートと、最強のヒロインたちによる、四つの華麗で残酷なざまぁ無双の幕が、今ここに切って落とされようとしていた。

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