第25話 若き伯爵の屋敷選びと三つの甘いデート。王都を巡るラッキースケベと、未来の妻たちとのイチャイチャな休日
王家公認の極秘婚約と異例の叙爵から数日。
僕に与えられた王都近郊の『アレン伯爵邸』は、学生が住むには広すぎるほどの立派な屋敷だった。
しかし、中は完全に空っぽである。
生活するための家具や内装を整える必要があると僕がこぼすと、三人の未来の妻たちが目を輝かせて立候補してきた。
「屋敷の家具選びは、妻の重要な務めですわ!」
「ええ、私たちで一人ずつ、アレン様をご案内いたしますわ」
「アレンの好みを一番知ってるのは私なんだからね!」
こうして、ヒロイン協定に基づき、僕の屋敷の品物を揃えるという名目の『三人連続の個別デート』が幕を開けたのである。
◇
トップバッターは、正妻の座を確約された幼馴染のリズだ。
僕たちは王都の活気ある下町市場を訪れていた。
「アレン、ほら!あの串焼き、すごく美味しそうな匂いがするよ!」
リズが僕の腕を引っ張り、屋台へ向かって無邪気に駆け出す。
彼女は今日、動きやすい軽装でありながら、胸元が少し開いた可愛らしいチュニックとショートパンツという、健康的な色気を放つ私服を着ていた。
僕たちが屋敷の庭に置くための木製ベンチや、日常使いの食器を楽しく見繕っていると、ふとリズが路地裏の武具屋の前で足を止めた。
「あ、この胸当て、すごく軽くて動きやすそう」
彼女が手に取ったのは、装飾の美しい女性用の革鎧だった。
「ちょっと試着してみてもいいかな?アレン、後ろの紐を結んで」
武具屋の店主の許可をもらい、リズはチュニックの上から革鎧を当てた。
リズに背中を向けられ、僕は言われるがままに革紐を引っ張った。
しかし、その革鎧は想定よりもかなりタイトな作りだったらしい。
「き、キツいかも……っ!」
リズが息を吸い込んだ瞬間、日々成長を続ける彼女の豊かな膨らみが革鎧を内側から激しく圧迫し、ブチッという音と共に留め具が弾け飛んだ。
「きゃっ!?」
バランスを崩したリズが、後ろに立っていた僕の胸に勢いよく倒れ込んでくる。
「わっ、危ない!」
僕が咄嗟に彼女を抱き留めようと腕を回すと、僕の両手は弾け飛んだ革鎧の隙間から、チュニック越しの彼女の柔らかくも引き締まった素肌と、豊かな胸の谷間にダイレクトに触れてしまった。
「あ、アレン……その、手……」
リズの顔が瞬く間に茹でダコのように赤くなる。
僕の指先に伝わる、剣聖らしからぬマシュマロのような圧倒的な柔らかさと、彼女の早い鼓動。
「ご、ごめん!わざとじゃないんだ!」
僕が慌てて手を離そうとすると、リズは僕の腕をギュッと掴んで離さなかった。
「ううん……わざとでも、いいよ」
リズが上目遣いで僕を見つめ、熱っぽい吐息を漏らす。
「私、前世の時からずっと、リョウくんに女の子として見られたかったから。だから、アレンに触られるの、嫌じゃないよ……むしろ、もっと触ってほしいくらい」
路地裏の薄暗がりの中、彼女の甘い言葉と密着した体温に、僕の理性は完全にショート寸前だった。
彼女の碧眼が潤み、僕への絶対的な信頼と愛情が溢れ出している。
結局、顔を真っ赤にしながらも二人で手を繋いで市場を歩き、幼馴染から『夫婦』への階段をまた一歩登る、最高にドギマギするデートとなったのである。
◇
二番手は、第三王女であるシャルロットとのデートだ。
王族である彼女の顔がバレないよう、僕たちは変装の魔法帽子を被り、王都の高級スイーツ街を歩いていた。
「アレン様!あちらのクレープ、王宮の料理長も絶賛していたお店ですわ!」
シャルロットは普段の煌びやかなドレスとは違う、清楚な白いワンピース姿だ。
僕の屋敷の応接室に置く最高級のティーセットと絨毯を購入した後、僕たちは人気のクレープ屋で甘いお菓子を買って、公園のベンチに座った。
「美味しいですわ!アレン様も一口いかがですか?」
シャルロットが自分の食べかけのクレープを僕の口元に差し出してくる。
間接キスだということに気づいていないのか、彼女の瞳は純粋な喜びに満ちていた。
僕が照れながら一口食べると、彼女は嬉しそうに花が咲いたように微笑んだ。
しかし、その直後。
「あっ……」
シャルロットがクレープを傾けすぎたせいで、たっぷりの生クリームと苺のソースが、彼女のワンピースの胸元にボトッと落ちてしまったのだ。
「ど、どうしましょう!アレン様のために着てきた、お気に入りの服なのに!」
「落ち着いて。すぐそこの路地裏で僕の【洗浄アプリ】を使えば、一瞬で綺麗にできるよ」
僕は泣きそうになっているシャルロットの手を引き、人目のつかない狭い建物の隙間へと入り込んだ。
大人二人がギリギリ入れる程度の狭い空間。
「じっとしててくれ。今、汚れを落とすから」
僕が彼女の胸元に指先を向け、魔力を集中させる。
しかし、距離が近すぎる。
僕の顔のすぐ目の前に、クリームで汚れた彼女の胸元があり、甘い匂いと共に、彼女の華奢な鎖骨や、ワンピース越しに伝わる柔らかな膨らみが視界を完全に支配してくるのだ。
「アレン様……なんだか、こんなに狭いところで密着していると、変な気持ちになってしまいますわ……」
シャルロットが潤んだ瞳で見上げてくる。
僕が魔法を発動させた瞬間、浄化の光と共に微かな風が吹き、彼女のワンピースの胸元がふわりと大きくめくれ上がった。
「ひゃっ!?」
風の悪戯で、ワンピースの奥の純白のレースのインナーと、豊かな谷間が僕の目にハッキリと飛び込んでしまった。
「み、見ましたわね……?アレン様のえっち……」
シャルロットが顔を真っ赤にして胸元を手で隠すが、その表情は怒っているというより、完全に恋する乙女の恥じらいと期待が入り混じったものだった。
「ご、ごめん!不可抗力だ!」
「いいですわ。私の初めては、すべてアレン様に捧げると決めておりますもの。それに、アレン様に見られるのなら、恥ずかしいけれど……嬉しいですわ」
王女とは思えないほどの大胆な誘惑に、僕は心臓を激しく打ち鳴らした。
「この続きは、お屋敷の寝室が完成してから、ですね?」
彼女の純真さと、時折見せる小悪魔のような色気に、僕は完全に翻弄されっぱなしの甘いデートとなった。
◇
最後を飾るのは、ヴァンルージュ公爵令嬢のベアトリスだ。
僕たちは王都の一等地に店を構える、超高級アンティーク家具の専門店を訪れていた。
「アレン様の書斎には、このマホガニーのデスクが似合いますわ。知的なアレン様には、一流の品こそがふさわしいのです」
ベアトリスはシックな黒を基調とした大人っぽいドレスを身に纏い、僕の隣を歩いている。
彼女の知的な銀髪と、ドレスの深いスリットから時折覗く白い足が、店内の誰よりも美しく輝いていた。
「ありがとう、ベアトリス。君のセンスは本当に完璧だね」
「当然ですわ。私はアレン様のすべてをプロデュースするつもりですから」
僕たちが店の奥にある、展示用の巨大な天蓋付きベッドのコーナーを通りかかった時だった。
「あら、あそこにある古代の魔導書……私がずっと探していたものですわ」
ベアトリスが高い棚の上に置かれた古書を見つけ、つま先立ちになって手を伸ばした。
しかし、少しバランスを崩した彼女のヒールが滑った。
「きゃっ!」
「危ない!」
僕が咄嗟に彼女の細い腰を抱き寄せる。
しかし、二人の体重を支えきれず、僕たちはそのまま真後ろにあった展示用の最高級ベッドの上へと倒れ込んでしまった。
ふかふかのマットレスが僕たちの体を受け止める。
気がつけば、僕が下になり、ベアトリスが僕の上に馬乗りになるという、完全にアウトな体勢になっていた。
「あ……アレン様……」
ベアトリスの顔が、僕の鼻先数センチの位置にある。
彼女の豊かな胸が僕の胸板に激しく押し付けられ、ドレスの裾がめくれ上がって、美しく滑らかな太ももが僕の足に直接絡みついていた。
「ご、ごめん!怪我はないか!?」
僕が慌てて起き上がろうとすると、ベアトリスは僕の胸に両手をつき、起き上がるのを制止した。
「……怪我は、ありませんわ。でも、アレン様。私、少し腰を打ってしまったかもしれません」
「本当か!?すぐ【細胞活性化アプリ】で……」
「いえ、魔法は必要ありませんわ」
ベアトリスが知的な瞳を細め、僕の耳元に唇を寄せて甘く囁いた。
「こうしてアレン様の温もりを感じているだけで、痛みが引いていきますもの。……それに、このベッド、とても寝心地が良いですわね。アレン様のお屋敷の主寝室に、ぜひこれを買いましょう」
彼女の吐息が耳をくすぐり、僕の理性を激しく揺さぶる。
「ベアトリス……ここ、お店の中だよ」
「ええ。だからこそ、スリルがあってよろしいのではありませんか?公爵家の権力で、このフロアは今、貸切にしておりますし」
計算尽くの偶然を装った、公爵令嬢の完璧な包囲網。
僕が観念して彼女の腰にそっと手を添えると、ベアトリスは満足そうに微笑み、僕の頬ににそっと自分の唇を重ねた。
ほんの数秒の、甘く柔らかい初めてのキス。
「これで、アレン様は完全に私のものですわ」
知略の令嬢による大胆すぎる愛情表現に、僕はただ顔を真っ赤にして頷くことしかできなかった。
三者三様の強烈なデートを終え、僕は心身ともに甘い疲労感でいっぱいになっていた。
◇
僕の伯爵邸は、彼女たちの愛情がたっぷりと詰まった家具で美しく彩られることになった。
秘密の婚約者として、僕たちの絆はこれ以上ないほどに深まっている。
しかし、この平穏な休日が終わろうとしていたその日の夕方。
僕の左腕の【天界の端末】が、王都の関所付近で『未知の言語体系』を検知して静かに振動した。
「ヤマト国からの使節団……?」
ホログラム画面に表示された文字を見て、僕は首を傾げた。
東方の島国からの来訪者。
僕たちの甘い日常を揺るがす新たな波乱の足音が、すぐそこまで迫っていることを、この時の僕はまだ知る由もなかったのである。




