アンダーグラウンド(四十二)
「ドローンのコントロールは、どうなってるの? 自動? 手動?」
黒井が黒松に質問した。黒松は画面に表示されていた兵器一覧を閉じ、また別の画面を開いた。
このコンソールは、もう黒松の『おもちゃ』になっていると、言って良い。
「標的を設定して、自動で運用されているね」
そう言って、画面を凝視する。
しかしマウスで『運用モード』の欄をクリックすると、『自動』と『手動』の表示が見えた。
「手動でも、行けるみたいね」
苦笑いして振り向き、黒井を見て言う。
「コントローラは?」
黒井が聞く。まさか、キーボードでドローンを『操縦』する訳には行くまい。
黒松は、また色々な画面を出したり閉じたりして、それっぽい画面を開いて止めた。
「専用のがあるみたいだねぇ」
じっと画面を見る。沢山のスイッチが付いた、まるでゲームのコントローラのようである。
それをまた、マウスで設定を覗き見ると、ボタンの機能変更や、反応速度等が変えられるらしい。
壊れたときや、初期導入時の調整機能まで、あるではないか。
「良く出来てるなぁ」
黒松は唸った。
その横で黒井は、嫌な機能を見つけた。
「何か、『分離』ってあるんだけど?」
そう言って、画面を指さす。デフォルトで設定されているボタンの中に、そんな表示がある。
「何だ? 合体できるのか?」
何か、黒田が言うと、イヤらしい。しかし、黒田の眉間にはしわがより、いつもの『おふざけ感』がない。
また黒松が、幾つもの画面を出したり、引っ込めたりしている。なかなか、それらしい機能が見つからないようだ。
「今のっ!」
黒井が叫んだ。黒松の手が止まる。
「どれ?」
「それ、右の、上、もう一つ上!」
黒松が『協調運用』をマウスでクリックすると、複数のドローンを描いた画面が現れた。どうやら、当たりのようだ。
「すごいなぁ。これ」
「あぁ。まずいなぁ」
そう言ったキリ、黙り込む。
どうやら『四角いドローン』は、縦にも横にも『合体』して、大きさを自由に変えられるようだ。
「これ、一部が死んだら、切り離して飛び続けるぞ?」
黒松が画面を凝視して、溜息を漏らす。
画面の隅から隅まで見ていた黒井が、変な機能を見つけた。
「縦に積むのって、何か、意味あるんすか?」
黒井が画面を指さして、黒松に聞く。
黒松だって、そんなこと知らない。黒井が指さした所を、マウスでクリックした。
すると、ポンと別の画面が起動する。
そこには、見覚えのある『ロボット』が描かれていた。
一同、イヤな顔になる。勘弁して欲しい。
「自動警備一五型に、積めるんだ」
黒松が呟いた。呆れて、それっきり言葉も出ない。
背中のオプションを『ミントちゃん用ランドセル』にすると、八機の『ミントちゃん』を背負って移動することができ、その間に、充電もできちゃうらしい。
何という物を、作ってくれちゃうんだよ!
止めて! こんなのに襲われたら、何処にも逃げられない!




