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アンダーグラウンド(四十)

 拠点に戻ると、自動警備一五型イチゴちゃんの編成を行う。

 本来は七機で一組らしいが、鹵獲してきたのが六機なのだから、それで行うしかない。

 また鹵獲すれば、良いか。


「このコンソール、使えるなぁ」

 黒松がキーボードを叩いている。もう、昨日の内に、コマンドを覚えてしまったようだ。

 他の三人が見ても『謎の呪文』にしか見えない文字列が、黒い画面に白い文字で、次々と投入されている。


「ちょっと、邪魔しないで下さいよ!」

 時々目の前を移動する『矢印』が、邪魔なのだろう。隣に陣取る黒井を、肘で突いている。


「今のは、俺じゃないですよぉ」

 そう言って、黒井が苦情を申請しても、黒松は受け付けない。

 何故なら、黒井の手元には『マウス』が、チョロチョロしているからだ。他に、誰がいると言うのだ。


「ちょっと、邪魔しないで下さいよぉ」

 黒井が黒田を睨む。

 しかし、黒田は右手の『マウス』を握りしめたまま、左手を左右に振る。そしてその左手で、反対側の黒沢の方を指す。


 黒沢は黒沢で、右手に『マウス』を握りしめたまま、左手の平を肩まで上げて、口をへの字にしただけだ。


「それ、何か楽しいんですか?」

 いい加減ウザったくなったのか、また目の前をチョロチョロした『矢印』を見て、黒松が唸る。

 キーボードから手を離し、椅子の背もたれに寄りかかった。


 黒井と黒田と黒沢は、ラップトップにマウスを三台接続し、『対戦型マウス』を、楽しんでいたのだ。


「三台繋いでも、『矢印』一個なんだよねぇ」

 三番目に繋いだ黒沢が、呆れている。

 いや、あんたの行いが、呆れるわ。と、黒松が思っているのは、ナイショにしておこう。夕飯抜きになったら可哀想だ。


 それはそれとして、黒松が説明を始めた。

「これで、ブラック・ゼロのメンツしか、コマンドを受付なくなったよ」

 自信たっぷりに言う。黒田がマウスから右手を離し、手を挙げて質問する。『対戦型マウス』は、もう飽きたのだろう。


「もう、裏切らないって、こと?」

「そうすねっ」

 黒松が黒田の目を見て、即答した。

「どうやって? 本当に?」

 今度聞いてきたのは、黒沢だ。まだマウスを弄っている。

 それを見た黒松は、黒井の右手をペチンと叩き、マウスを奪い取ると、画面をそのマウスで操作して、裏設定画面を開く。


「ここにね、『票数』ってのがあってね」

 そう言って、マウスから手を離し、画面を指さす。

「デフォルト『1』になってたんで、『6』にしときました」

 そう言って、「ニッ」と笑った。

 つまり投票で、自分にだけ6票入れられるということだ。ずるい。


「もっと『でかい数』に、すれば良いのに」

 一瞬のスキを突き、マウスを取り返した黒井が、『6』の所に『矢印』を持って行く。

「だめだよっ」

 ペチンと、また右手を叩かれて、マウスを奪われた。


「マックス『7』までなんだよ」

 そう言って、マウスで裏設定画面を閉じる。

 どうやら『七機で一チーム』という仕様は、ここから来ているようだ。

 黒松の説明によると、投票数が足して七を超過すると、投票自体が無効になってしまうらしい。

 三人は、専門家の意見に頷くしかない。


 黒井は黒松に取られたマウスを諦め、黒沢のマウスに手を伸ばしたが、足を「ギュッ」っと踏まれて、即、撃退された。

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