唐突な説明回 side???その2
ネコ同士の喧嘩。ヴぅぅぅぅぅ……シャー!
「ギ……ギギ……?」
ゴーレムの断末魔が聞こえる中、ドスン! ドスン! と先ほどよりも激しく地面が揺れる。ここのモンスター倒しても倒しても出てくるんだから、いい加減こっちも飽きてきたんだよねー。
森の木々をへし折りながら出てきたのは、予想外の人だった。僕はそれに対しておどけた態度で挨拶する。
「やあ、君も僕に会いに来たのかな?」
僕は15mを優に超える巨人族に出会った。おおー、すっげーでかい
巨人族の人に会うなんて珍しい体験もあったものだよ!
『強キ者ヨ、ココヘ何ヲシニ来タ?』
こちらを警戒し、そっと構える巨人族の人。彼からは濃密な死の気配を感じる。何人か殺ってるねこの人。隠す気のない殺気に苦笑いしつつ、僕は正直に答えた。
「正義のお仕事勤務中でーす!」
と簡潔にお仕事中だと説明するも、その答えはお気に召さなかったようだ。巨人族って頭固い人多いからねー。
ちぇ~、ノリ悪いなー。案の定イラッとしたのか額に怒りマークが浮かんでたけど。そして巨人族の男は後ろに見覚えのあるゴーレムの残骸を見付けると
『アレハオ前ガヤッタノカ?』
「あー、あれねー、何か襲ってきたから壊した」
それを聞いた巨人族の男は、暫く顎に手を当てると何やら考えて始めた。マイペースだなこの人。そして数秒後いきなり顔を上げて喋りだした。
『我ハ強者ヲ求メ旅ヲシテイル。アノゴーレムハ中々ノ強敵デアッタ、ソレヲ容易ク倒シタ貴様ノ強サニ興味ガアル。我ト闘エ』
うわっ、簡潔な説明。僕への当て付けかな?
「断ったら?」
さっき僕は戦闘職じゃないって言った筈なんだけどなぁ……はぁ、面倒だ。
『殺ス!』
その言葉を合図に襲い掛かってきた巨人族の男。戦闘狂なんだからもー。やれやれ、とばかりに首を振る僕。巨人は叫ぶ
『武器ヲ取レ強者ヨ! 死合ヲシヨウデハナイカ!』
そういって背中から彼の背丈の倍はあるドでかい槍を取り出し、僕へと放つ。彼の突きの速度は音速の5倍速かった。っていうかあんな長さの武器を隠し持ってたなんて、あれもしかして……
僕は巨人が放った武器を解析する。槍と僕の距離は既に100mを切っている。槍が僕へ届くまでの間約0.045秒。よし、何も問題ない。僕は身体に眠った呪文を起動する。
『ドライブ』
そう呟いた瞬間、僕の周りは止まった。まあ正確には遅く見えるだけだけどねー。
???第六形態《有限世界》このドライブ効果は■■加速。今で10000倍位加速してるんだけどねー。これ使った後スッゴく疲れるからあまり多用はしたくないんだけど……
「まっ、そろそろ潮時だし」
僕が頭に手を振りかざすと時間が元に戻り、槍は身体を貫いた。
僕はそれを見てニヤリと笑った。
「巨人さん残念だったねー、僕じゃなかったら倒せてたろうに」
槍が貫いたのは少年ではなく、巨人族の男だった。
『一体コレハ……?』
何故槍が曲がったのか?巨人族の男は考えたが答えは出なかった。
「答えはあげないよ~」
じゃね~、僕は腹に風穴を開け、今にも死にそうな巨人族の男に手を振りながら別れの言葉を告げた。
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巨人は見た、少年が去った後、少年が通ってきたであろう道にあるモノを、それは──
──木々が凪ぎ払われた森とそこに連なる何百というSBMの死骸がある光景だった。
『ナンダコレハ!?』
余りにも異常な光景。この土地でこのような光景を生み出す者、それは……
『超越者デアッタカ……』
そろそろ風穴も塞がる頃だろう。彼は新たな強者を捜すため、その場を立ち去った。
そして暫くすると森の奥から断末魔が聞こえた。
ここは魔大陸、数多のSBMが闊歩し、特級プレイヤーでもこの大陸に足を踏み入れればたちまち死亡となるであろう超危険地帯だ。
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「あっ、そういえば!」
少年は今更ながら言い忘れたことを思い出した。
「あの巨人さん死相が出てたけど大丈夫かなー? あれって僕のせいで死ぬって訳ではないよねー? 自己修復系のスキル持ってたし」
どうでもいいか、それよりもしなきゃいけない仕事が沢山あるんだった!
「そろそろあの娘を見付けないとギルマスの我慢も持ちそうにないんだよねー」
ふんふふーん♪と鼻歌を歌いながら彼は次なる仕事に向かった。
「さってと! 早く仔猫ちゃん捜さないと!」
バステト『SBMの強さの目安は大体、特級職プレイヤーが一人いれば勝てるのです』
リン「まあ、SBMとその特級職プレイヤーの強さによるけどにゃー」




