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Re:KoboldSaga  作者: 空見鳥
24/33

魔法具パンデゥモニゥマ

長いですw

書いているうちにドンドン長くなっていく様は圧巻でしたwwww

「おう、けえったか。あまりにも遅いんで心配したぞ」


 ロザリオの研究室から帰って来る際、道に迷ってしまったので辺りは暗くなっている。

 店じまいをしだしていた魔法具店に着くやガイドが心配の声をかけてくれた。なので軽い謝罪をして店じまいを手伝う。


 店じまいを終えて、夕飯の支度をするクレルを他所(よそ)に俺はガイドに話しかける。


「ガイド、少しいいか?」

「あ?なんか用か?今ぁ湯浴みに行くとこだからよ、用なら後にしてくんねえか?」


 そう言って左に持っている木桶を見せてくるガイド。

 木桶の中にはその巨体を拭くための大きなバスタオル、そしてそれで隠すように覆われたマトリョシカ風の水に浮かばせる鶏のオモチャ。

 毎度思うが、身体つきや顔に似合ってない。

 それにこの魔法具店は店と住居が合体しているので大きいが、湯船は無いので浮かばせる場所が無いだろうに。

 残念極まりないな。


「いや、夕飯を食べた後昨日と同じで魔法具を創るんだよな?その時にちょっと見てもらいたい物があるんだ」

「おー……。そうかそうか、泣かせるじゃねえかコボリス……!おめぇ、今日どこほっつき歩いてんのかと思やあ……なるほどなあ。良いぜ!今日はやらねえつもりだったが、おめぇたっての頼みだ。見てやらあ!」

「お、おお……。頼んだ」


 何故か俺の話を聞いて目頭を押さえながら何度か頷くガイド。了承されたので良いんだが、なんだったのだろう。

 分からないことは分からないので置いておこう。

 それより。先ほどから台所からとてもいい匂いがする。

 その匂いの元を求め、俺は夕飯を作っているクレルのいる台所へ向かう。

 近づけば近づくほどいい匂いが強くなり、空腹を刺激する。

 ゴキュっと喉を鳴らし台所の入り口からそっと覗いた。


「フンフフーンフン♪フーンフフーンフン♪フフフンフンフーーン♪フンフンフーン♪フンフンフーン♪フンフーンフフーンフン♪フンフンフーン♪」


 何の音楽かは分からない鼻唄を気分良さそうにクレルは口遊みつつ、赤鼻のオジさんが胸に刺繍された裸エプロンという前衛的な格好で料理を淡々と作っていっていた。

 大鍋でシチューを煮込み、その間にボールで漬けていたサラダを水出しして皿に盛る。

 次いで、くるくると無駄に回りながらシチューの横で炒めている米に似た何かを使ったチャーハン擬きにクレル特製のソースをかける。

 敢えてソースを焦がしたようで、食欲の(そそ)る香ばしい匂いが離れた俺の方まで届いてくる。

 カンカンカンカンと小気味良い音を奏でながらチャーハン擬き全てにソースの匂いが行き渡るように混ぜる姿は某有名漫画ファイヤーコックを連想させる。

 火を落として大皿にどんどん盛っていく。とても美味そうだ。


「よっと、あとは〜シチューと――」


 ピピピピッピピピピッ、と音が鳴りクレルが「できた!」と声を上げて一番奥にある箱を開けた。

 その箱の中から香草の爽やかな匂いが水蒸気と共に立ち込める。

 中から鉄板を取り出したクレル。

 鉄板の上には空気圧で盛り上がった白い袋が乗っている。

 えいっというかけ声と共に白い袋を針で何箇所か突き刺す。ブシューッという音を立てて空気が勢いよく抜ける。

 先ほどよりも強く、かつ鼻にこない爽やかな匂いが溢れ出る。

 チャックらしき物をジーっと開けると、中から溢れるようにトローっとして美味そうなオレンジ気味の餡が。そしてクレルがゴム手袋のようなものを嵌めて引き出した鳥の丸姿。

 それを縁が反り立った大皿に盛り、上から餡を掛けていく。そして緑の葉を乗せた。


「よし。さて、シチューはできたかなー♪」


 何故か勝手にシチューを混ぜていた木のオタマを握って止め、小皿に少量移して味見をする。

 熱いので息を吹きかけ少し冷まし、小皿の縁に口をつけて啜る。

 満足のいく味だったようで、微笑んで火を落とした。

 先ほどから火を落とした、と言っているがこれは伝わり易くするためであり、実は火など使っていない。黒い台の上に物を置くとそこが赤く発光し、それで熱を通しているようだ。何かスイッチがあるらしく消したい時に消せるようになっている。

 IHクッキングヒーターみたいな感じだ。なのに炒め物が美味そうにできている。

 魔法具スゲー。


「それじゃあ運ぶから、そこで唾液を落として廊下を汚しているコボリスくん手伝おうか?」

「あ、はい」


 どうやら覗いていることがバレていたようだ。有無を言わせずに手伝うことを指名された。

 俺は知らぬ間に落としてしまっていたヨダレを投げ渡された雑巾で拭きながら従った。

 俺が運ぶことになったのはシチューの入った大鍋だった。

 クレル曰く、肉球があるから熱くないよね。だそうだ。

 確かに肉球があるので熱くはないが、身長が140センチあるかないかの小さな俺に持たすのは如何なものだろう?

 筋力的に心許ないと思わないのが不思議だ。モンスターだって重い物は重いというのに。まあ、俺はシホちゃんのバックアップのおかげで筋力を底上げしてますがね。


 ――あっつ!熱い!え、なんで!?

 【如何に肉球が熱伝導を阻害すらからといって、肉球の無い部分――つまり腹などは熱いのは当たり前ですマスター。痛覚遮断を発動しましたが、熱と痛みは少々異なるので肉が焼ける痛みは無くなりますが、熱さはどうにもできませんのでご了承ください】


 だそうだ。

 なるほど、肉球は熱くないけど腹が熱いのは当たり前か。

 初めて知ったよ。熱くて痛いんじゃなくって熱いし痛いんだね、火傷って。

 俺はできるだけ腹に鍋の側面がつかないように腕を伸ばしながらリビングに持って行った。が、それでも足を前に出す時に気を抜くと鍋の底にぶつけて悶えることとなった。

 それを見てクレルがクスクスと笑っていた。

 俺の中でクレルの株が下がったことは言うまでもない。




「うし、食うか!」

「はい師匠!」

「いただきまーす」


 シャワーを浴びて少し湿った白髪の髪を後頭部で無造作に纏めたガイドが席に着くと同時に食事は開始された。

 先ず俺が口にしたのは餡掛け鳥だ。

 使いにくいフォークを鳥の足に突き刺してナイフで付け根を切り離す。最後は捻って関節を剥がす。

 そして餡を掬い取り、フォークに刺したままカブリついた。

 餡の甘辛い味が舌を撫で、その奥から咀嚼するたびに溢れ出てくる鳥の旨味が絡まり口の中を幸せにする。鳥特有のプリッとした舌触りを楽しみ、嚥下した。

 細切りにして餡に混ぜた根野菜類がまた良い具合に味を引き立てている。

 肉を粗方食うと、残った軟骨と白骨。鳥の骨は噛み潰すと先が尖った形になるのだが、そんな物は知ったことかと歯に物を言わせて噛み潰し嚥下する。

 骨もまた、餡の旨味と鳥の脂味がほど良く調和しており美味かった。


「美味い……」


 思わずその言葉が口から漏れるほどに。

 その言葉を聞いたクレルが少し照れくさそうに笑う。

 ガイドに至っては――


「あったりめえよ!クレルは俺の弟子になってから毎日欠かさず飯を作ってんだ!売れ行きが良くねえから儲けはねえ、なら少しでも外食に行かねえで良いようにってことで料理の腕を上げたのよ!実際、クレルが弟子になってから一度たりとも外食になったことはねえ!どっちかってえと外食の方が不味いからな!何処の食事処に出しても恥ずかしくねえ自慢の弟子たあクレルのことよ!!」


 ――と、蟹の味噌を啜りながらクレルの背を叩いて豪快に笑っている。

 可哀想にクレル、教えられてもないことを師弟関係として関係ない所に誇られるとは。

 クレルもその話を聞き、苦笑している。

 ん?というか蟹なんてどこにあったんだ。チャーハン擬きには酢豚の揚げ豚が入っているが、蟹は入っていない。もしや、シチューか!

 俺はそう当たりをつけ、シチューを入れるための器にオタマを使ってシチューを注いだ。

 下から汲み上げるようにすると、何かを持ち上げる感覚がある。これが蟹か!

 その感覚を頼りに一気に持ち上げる。予想通り大きな赤く(ほて)った蟹が出てきた。


「――て、あれ?丸ごと?」


 出てきた蟹は2対の鋏と3対の節足を持った蟹丸ごとだった。

 それを見て驚いたが、クレルが俺の疑問に答えてくれた。


「簡単に言うとね、その蟹は割ったり足を千切ったりしたらストレスを感じて死んだ後でも味が落ちちゃうんだ。だから料理するなら寝かせて煮込まないと一番の美味しさを引き出せないんだよ。煮込んだ後、食べる時は直ぐに食べないと味が落ちちゃうほどね」


 おお、なるほど……?

 死んだ後もストレスを感じるってのは理解し難いが、これが美味い料理法なのだと分かった。なにもズボラなわけではないようだ。

 そうと分かれば、できるだけ早く食べて美味いまま腹に運ぼう決意する。

 パキッと良い音を鳴らして足を()ぐ。パキキッと音を奏で殻を剥ぎ、中から現れた薄桃色に染まったプリッとした身を目で楽しみんだ後に口に運ぶ。

 噛む、という行動を俺は行っていない。そんなことをしなくても良かったのだ。

 口の中に入れた途端唇を閉じる圧で身が解れ舌の上に躍り出た。そして舌で味わおうと動かすと、その圧でまた身がほど良く抵抗を残しつつ解れる。

 溶けるという表現が正しいのだろうか?否、それは解けたのだ。

 口の中に海鮮の旨味が潮の香りと共に溢れる。先ほど味わった鳥の脂味と異なった味わい、異なった香り。

 俺は時を忘れて残った足全てを食べた。

 蟹の締めはやはり味噌だ。蟹味噌だ。

 殻を割って開き、中の薫り高い味噌を拝む。目を閉じ嗅覚のみで味わえば、その旨味が想像できるようだ。

 啜る。味噌に顔ごと突っ込み、思いっきり啜り食う。蟹味噌特有の苦味の中にある甘味と旨味が口中を優しく包み込む。鼻裏を通って鼻腔を(くすぶ)るのも蟹味噌の良いところだ。

 喉元を通り過ぎ、腹へと行く蟹味噌を見失わないように感覚を研ぎ澄ませる。そして胃にしっかり入ったことを感じ、まだ口の中に残っている後味で余韻に浸る。

 そして、器によそってあるシチューをスプーンで掬い――上げるのがちまちまとして鬱陶しかったので器を持って、縁元で口を開けてスプーンを使いかきこんだ。

 トローっとした白いシチューはホワイトシチューと予想していたのだが、予想に反してそれは辛旨なシチューだった。

 口の中がまた変わった味で満たされる。

 シチューの中に浸かっていた蟹は海鮮特有の旨さを孕んでいたが、これはその海鮮の旨味に加え喉を刺激する辛い野菜たちの旨味が合わさった、なんとも言い表せない旨さを孕んでいる。

 ほう……。と飲み終え小さな息を吐いたのも仕方のないことだろう。


 【多重外殻生成を取得】


「んふふ……」


 そんな俺を見てクレルがニヤついていた。

 人の食事姿を見てニヤつくとは、こいつそっちの方面の変態でもあるのかと勘ぐってしまう。

 それか、デュアルと同種の変態かもしれない。異種族の、それも魔物と呼ばれるコボルトに欲情するとかいう危ない変態はデュアルくらいで勘弁してほしいのだが……。

 その辺どうなのか確かめるべく聞いてみる。


「何をニヤついてんだクレル、キモいぞ」

「ん?いや〜、コボリスはとても美味しそうに食べてくれるなーっと思ってね。師匠も美味しいって言ってくれるけど、コボリスは食べてる時全身で味わってるような、そんな感じがするんだよ。作ってる側としては嬉しいよねー。――って、キモいはヒドくない?」


 俺のキモい発言がけっこう心に刺さったらしく、僕はキモくない僕はキモくないとブツブツと呟き出した。

 しかし、俺は全身で味わってる……ね。あまり意識したことがないので今一つピンとこないな。

 まあ、作ってる側が見ていて気分が良いなら何も問題は無いな。気分が悪くなるようなら少しは気をつけるんだけどね。

 そんなことを思いながらサラダを食べる。このサラダ、塩漬けされているらしくアクセントとして申し分ない。

 サラダに混ざっている赤い実がプチプチと口の中で弾け、溢れ出るほろ甘い味がまた堪らん。酸味と甘味が絶妙な調和をしている。

 美味い美味い、美味過ぎて大草原にも塩があれば良かったのにと思ってしまう。あればもっと食が進んだろうに。

 あ、しかしそれだと冒険者一行が訪れるのが遅れて俺が餓死していたかもしれない。塩なくて良かった。


「あとは――」


 チャーハン擬きを見つめる。

 俺がまだ食っていない夕飯はこのチャーハン擬きを残すのみだ。

 チャーハン擬きの見た目はまんまチャーハンだ。中華料理のシェフでさえ難しいとされる米一粒一粒を卵でコーティングしているところからクレルの料理スキルの高さを感じられる。

 パラパラとした米と同程度の大きさにきざまれた肉や野菜。焦げたソースの薫り高いそれは芸術と言えるのではなかろうか。

 日本文化に深く関わってきた人の三大欲『睡眠欲』『食欲』『色欲』に含まれる食欲を満たす食事。

 それは日本においてまさに至高の芸術作品であり、それを追い求めた数々の先人たちが遺した芸術の軌跡。

 その軌跡を知るが故に、味わったが故に俺はこの世界のどの生命よりも味にうるさいことだろう。

 そんな俺の味覚を刺激してくれたクレルの料理たち、きっとこれも美味いことだろう。

 ゴキュリ……、と無意識的に生唾を飲む。


 「いただきます」


 さすがに手では無理があるのでスプーンを使ってチャーハン擬きを掬い、そう言葉を告げると口に運んだ。


 爆発だ。


 そう思わせる味の溢れ。予想の上を――いや、斜め上をいく味だった。

 なんだろう……酸?酸味の上位互換、酸を飯に入れたのだろうか?舌がヒリヒリとして痺れて味というものが分からない。感覚を――味覚を奪いにきやがった!

 兎にも角にも噛んでみることにしよう。

 ガリッという音と共に何か肉厚な物を噛んだ感触が伝わってくる。


「――!?」


 その感触と音の後に、喉を潤し何か。そして口から溢れ出る赤い液体。


 血。


 それをそう認識するまでに数秒かかった。どうやら俺は感覚の喪失した舌を誤って噛みちぎってしまったようだ。

 それ故に、血管の張り巡らされた舌は血を噴き出し、喉を潤したのだ。

 酸のおかげでか、痛みが感じられない。痛覚遮断をするとはやるな酸。


 汗。


 それが全身から溢れ出る。暑いからじゃない、これは俗に言う冷や汗だ。

 俺の舌は俺の歯によって千切れたのだ。つまるところ、俺は舌を噛んで自殺するというあの方法を無意識的に行ったことになる。

 ということは、『死』あるのみだろう。

 それを意識した途端身体が無意識的に微振動する。歯が、歯が噛み合わずにカチカチと音を鳴らす。

 顔からは血の気が抜けていき、だんだん視界がボヤけてきた気がする。血で潤った喉は恐怖からか渇く。


「どうでえコボリス、クレルの一番の得意料理『妖精米の炒め混ぜ』はあ?妖精たちが作っているとされるだけあって美味えだろお!この料理を欲しいがためにクレルを店に誘う食事処もいるくれえよ!!」


 鳥の頭を捥いでこっち向け、自慢するガイド。

 そんなことより身体が熱いんですけど。


「嫌だな師匠、そんな恥ずかしいよ。それにこれは僕が作ってあげたいって思う人にしか作らないことにしてるんだから」

「かあー!クレルおめえは俺の自慢だー!」


 恥じらいつつも誇らしげなクレルの首を右腕に抱き込み叫ぶガイド。どうやら酒を開けているらしく、赤っ鼻で頬を染め豪快に笑っている。

 息が酒臭いが、そんなことより身体が寒くなってきた。誰か暖炉を用意してく―――




 俺はここで気を失った。

 気を失う前に見えたのは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしたクレルと何かを語っているらしいガイドの姿。

 そして最後に聞こえたのはシホちゃんの声だった。


 【大袈裟過ぎですマスター。痛覚遮断も全回復系スキルも使用しているので外傷は最早なく、死ぬ直前に感じるとされる寒気や熱は感じてません。それはマスターの想像と妄想と連想による錯覚です】


 けっこう厳しいシホちゃんでした。



◇◇◇◇◇



 所変わって、地下にある錬成場(ガイドが失敗作を打っていた場所)に俺たちは居る。

 シャワーを浴びに行っていたガイドとの約束通りだ。

 ガイドに聞けば、今日は例の魔法具を作らないので大炉は使用しないという。

 しかし、それでは困るのでスイッチを押して勝手に着けさせてもらう。

 それを見たガイドが沈黙の後、「しゃあねえな……」と苦笑し専用の鉱石を取りに行った。その時のクレルの顔が何か言いたげであったが無視した。

 で、専用の鉱石を取って戻ってきたガイドが槌を持ち聞いてくる。


「で、おめえは何をしてえんだ?一番炉を燃やしたってこたあは俺に昨日と同じ魔法具を作らせてえのか?」


 ブスッとした顔で槌に凭れかかっている。なんというか、ヤル気というものを感じない。

 しかし、そんなガイドでもこれを見ればヤル気を出してくれるだろう。

 というわけでロザリオに書いてもらった紙を渡す。


「あ?なんだこれあ?」

「良いから読んでみてくれ」


 渡された紙を不審に思ったのか眉をひそめるガイドに読むことを推す。

 どれどれと紙を読み出すガイド。何故か俺を見るクレルの視線に痛いものを感じる。

 なんなのだろう?もしかして中身が何か分かっているのだろうか?そう言えば朝クレルにロザリオの研究室を聞いた時嫌そうな顔をしていたのを覚えている。もしやロザリオとこの師弟は何かあったのだろうか。不味ったか?

 そんな俺の考えを他所にフムフムと頷くガイド。

 最後に「なるほど、こりゃスゲえ」と一言呟くと顔を上げた。


「コボリスよお、おめえ誰にこれを貰ったんでえ?」

「え?あ、あぁ……」


 ――ど、どうするシホちゃん!?どう答えたら良いんだ!?

 【落ち着いてくださいマスター。察するにガイドは問うてはいますが、自らの答をもっていることでしょう。それでも問うた――それもニヤつきながら、でしたら虚言を申したところで看破されるでしょう。それならば全て申せばよろしいかと】


「今日俺はロザリオに会いに行っていた。昨日、勝手に石板を見せてもらったんだ。そして俺は気づいたことがあった、だが俺には何も知識がない、だから称号持ちのロザリオにその気づいた事を伝えた。そして直してもらった。それはその直しをロザリオに書いてもらったヤツだ」


 俺の中でシホちゃんの回答は得にならないことがないので違和感を感じない限りほぼ絶対的だ。なので今回も言う通りにした。

 するとガイドがやはりといった顔で一つ頷く。


「だろうな。まあ、突っ込み所があり過ぎるが……、そこらは置いといてやらあ。そうか、あの問題児がねえ……」


 何か感慨に耽るものがあったのか、腕を組み遠い目をするガイド。

 クレルが変わらず嫌そうな目をしているのが視界の端に映る。

 ロザリオが天才だからってだけでここまでクレルが嫌そうにするとは思えない。やはりロザリオとこの師弟は何か関係があるのだろう。

 俺が彼らの関係について考察をしようとしていると、ガイドがいきなり豪快に笑った。


「ガハハハハハハ!面白えじゃねえか小童が、これは恩返しのつもりかよ!よし、その生意気な高っ鼻へし折ってやるよ!」


 そう言って例の肩まであるデカい手袋にもう片方の手を突っ込み、一枚の紙とペンを取り出した。

 そして黒い魔石と呼ばれる魔素が固まってできた小石をペンの尻に嵌める。これもどうやらあの時の杖と同じようなもののようだ。

 そして取り出した白い紙にスラスラと何かを書き込んでいく。


「俺ぁ元から錬成皇の傑作を盗むつもりなんざねえんだよ!かの偉人ですらこの難易度の物に新たに魔法を加えるのができなかった。だが、俺はその先を行く!元が読み取れなかったが、読み取っちまえばこっちのもんだ。あとは同系列の魔法式を組み上げ、錬成術式に変換、魔素供給効率を上昇させることで三式の並列発動をさせる。そして、魔導抑制を解除し式の簡略化――成功。次にエレメンタルサーキットを正確化し、精霊たちの霊属性を強化だ――反転術式が可笑しいな、これを直してやって反動制御してやれば――よし、これも成功!これで魔力子の安定性が向上したぜ。次は三式の調和性を保険として上げとくとするか?カハハ、ラクリミ霞城理論と概念転換法を使えば簡単……」


 お、おお……?ガイドがいったい何語を話しているのかが俺には分かりません!

 取り敢えずどこか狂ったようで、紙に齧り付かんばかりに前傾姿勢でペンを走らせております。


「律理学の発展は目覚しい、今では当時発見することのできなかった架空の物質"エレメントマター"を発見してる。錬成皇はエレメントマターに命令式を出すことができなかったが、俺ぁはそれをずっと研究してきてんだ。つまり、それによって生じる差は天才の持つ『才』をも凌駕した!ハ……、カハハ………、ガハハハハハハハハハハハ!!コボリス、おめえには感謝しねえとな!」


 俺に向けてそう叫ぶとガイドは槌を担ぎ、白乳色の鉱石を取って昨日と同じ場所に向かった。

 その頃、少し微妙な顔をしている者がいた。クレルである。

 クレルは嬉しそうな、それでいて嫌そうな顔をしていた。

 そんなクレルが少し気になり、かつそれまでのモヤモヤを解決するべく俺はクレルに話しかけた。


「どうしたクレル?ずっと変な顔をしてたが」

「え?ああ、ごめんね。ちょっと、ロザリオといろいろあってね」

「だろうな。ロザリオの話をしている時のクレルの顔はとても嫌そうな顔をしてる」

「いや〜、彼女は苦手なんだよねー僕」


 聞いてくれる?とクレルから深い話を話し出してくれた。


「彼女は元々この魔法具店の看板娘兼、二番炉術師なんだ。あ、二番炉術師ってのはね、その研究室にある上座から二番目の炉を使用することができる人のことだよ。

研究室では上座に近いほど、炉が大きいほど階級が高い人が使用することに掟でなってるんだ。

彼女はこの研究室では当時、師匠に次いで階級が高かったんだ。

そんな彼女だけど、本当は僕の妹弟子にあたるんだ。まあ、僕は才能がない努力者で彼女は才能溢れる天才だったけどね。


彼女がやって来た日を今でも覚えてるよ。

五年前、あの日は凄い嵐がこの街を襲っていて、雨風がとても激しかった。

その時はまだ研究室だけで、魔法具店は開いてなかった。開かなくても創った魔法具は隣にある武具店や生活用具店、高級宿屋に果ては国の王族や他国の使者が買い取ってくれてたからね。

研究室のメンバーと売るための仲介人しか知らないはずの研究室の扉を叩く音が聞こえたんだ。

その時の研究室には師匠と僕に加え四人の兄弟弟子と師匠の旧友が加入していて、師匠が留守にしていたから二番炉術師の旧友が仲介人だと思って扉を開けたんだ。

だけどそこにいたのは白くて薄い寒そうなフリルのワンピースを着たロザリオだった。

当然僕らは驚いた。見知らぬ人、それも十歳程度の少女が魔法具を使って張った結界を越えて来たんだ。

結界を越えるには専用の魔法具を使うか、結界内の者が入ることを許さないといけない。

無理矢理入るのはできないことはないけど、それは結界そのものに干渉して壊すしかない。そんなことができるのは魔法に長けたマスタークラスか馬鹿げた魔力を持つ化物くらいだ。

奇しくも、ロザリオは後者だった。それも無意識で結界に干渉して壊したんだ。

確かに錬成術師は魔力が高い者が多いし、天才と呼ばれる者にもなれば化物じみ者もいる。だからって、無意識で干渉なんてそうそうできない。

その時、二番炉術師の旧友が言ったんだ。

『この子は原石だ。今から育てれば間違いなく錬成皇と肩を並べる天才になるぞ』って。


それからは大慌てさ。師匠と二番炉術師が先ず喧嘩したんだ。

どこの子かも分からない少女を研究室に閉じ込めるのは可笑しいって師匠が怒り、それに対して原石なのだから研究室に居させて何が可笑しいと云い張る二番炉術師。

普通に考えて師匠の言葉が当たり前なんだけどね。他の弟子四人まで二番炉術師に賛成したんだ。僕は師匠に賛成だった。

そしてその時の決め手が幼いロザリオの一言だった。

『私は行く宛がない。お願いですから此処に置いてください』

よく見たらロザリオの体にはいたるところに打ち身の跡や切り傷の後があったんだ。

それはその幼い少女がこれまでどんな環境の中生きてきたか判断するに足るものだった。

最後には師匠も折れて、ロザリオを研究室で養う(・・)という形に治った。


当初、ロザリオを研究室の娘(・・・・・)として育てようとしていた師匠。

あー見えて案外父親がハマり役でね。ロザリオをとても可愛がっていたよ。

でも、当時の研究室は世界でも有数の最先端の技術があったから、場所を特定されるわけにはいかなかった。だからロザリオは外に出せなかった。

だけど彼女は何も不満を言わなかった。何故なら研究室は彼女の遊び場になっていたから。

錬成術をロザリオに教えることを固く禁じていた師匠、なのに師匠が留守の時を狙って二番炉術師がロザリオに錬成術を教えたんだ。

ロザリオは天賦の才を持っていたんだろう。みるみる技術や知識を吸収していった。

その吸収力は無尽蔵の胃を持つとされるベヒーモスの土地喰らいを見ているかのようだったよ。ハハ……。

そして留守にしていた師匠が戻ってきた時にはロザリオの錬成術の技量は第四階梯(モア)級にまで迫っていた。

たった一日で、僕と同じクラスの技量を手に入れた彼女に僕は嫉妬を覚えるどころか恐怖したほどだ。

そして、それは他の弟子たちも同じだった。

そんな彼女を褒めていた二番炉術師だけ心底楽しそうに、とても歓喜していたよ。

そんな二番炉術師に師匠が言った。

『おめえのこたあ旧友だと思ってる。だがな、やって良いことと()りいことくれえ分かんなかったのかよ?馬鹿野郎め……』

それに対して二番炉術師は――

『君は何を云っているのかね!?原石だよ?目の前に未来を照らす日輪の原石があるのに放ったらかすというのはね、それは我々"七皇宝珠"の理念に対する明確な敵対行動にあたるということを分かって云っているのかね!?』

と僕には分からないけど、師匠が組んでいたらしい何かの会合の理念を盾に反論していたよ。

結局、その後は二人の殴り合いの喧嘩にまで発展した。


それからロザリオは二番炉術師に錬成術を鍛えられた。

それはロザリオ本人が求めたから。本人の意思を尊重した師匠が引き下がったんだ。

ぐんぐん成長するロザリオは三番炉術師に半月でなった。

その時にとうとう抜かれた元三番炉術師が研究室を去った。彼の誇りがロザリオによって叩き折られたんだ。

その時をきっかけに、研究室にいた僕以外の弟子は皆辞めてしまった。実を言うと僕も辞めるつもりでいたんだ。

だけど、その前に二番炉術師が膝をついた。彼は年甲斐にもなく泣きじゃくり、師匠の足にしがみついてまで懇願した。

彼はとうとうロザリオにその技術と知識の全てを吸収され、そして今だなお衰えぬ吸収力でロザリオは錬成術の師たる二番炉術師を置き去りにした。

それを感じ取って師匠が彼を三番炉術師にしたんだ。

そしてそれが彼を狂わせた。

それまでもネジが飛んでいたけど、それ以降はもう目も当てられなかった。

貯まった金を使って、高い鉱石や魔石・水晶を買い漁り、それで今まだよりも質の悪い物を創っては二番炉術師に戻せと師匠に詰め寄った。

そんなことをした所で師匠が戻すわけがない。まして、師匠の技量も超え出していたロザリオを降格させる意味がなかった。

僕は僕で、そんな愚かで醜い()二番炉術師を見て愉悦に浸ることで研究室に居続けた。

自分より下がいると思うと何故かヤル気が出たんだ。

とうとう魔法具としての機能を発揮しないような、ただの落書きが書かれた道具を創り出した元二番炉術師は僕と変えられ四番炉術師になった。

今だ弟子(モア)クラスの僕に師匠(マスター)クラスの自分が変えられた。

第七階梯(ゼブル)としての誇りが完全に朽ち果て、廃人のような目になった彼は黙って何も持たずに研究室を去った。

ロザリオが研究室に来てからたった一年しか経っていなかった。なのに半数以上が研究室を去った。


それから一年の間、師匠とロザリオは競うように技量を上げていった。

第八階梯(アイオン)だった師匠は第九階梯(オディス)になり、僕もやっと第五階梯(ロア)になった。そして、ロザリオも第九階梯になった。

彼女は告げた。

『私にもう、この研究室では遊べない。遊び相手が居ないから……、だからこんなとこ出て行くわ』

その言葉を聞いて安堵した僕がいた。だけど師匠は違ったんだ。

『そうかよ、じゃあおめえを育てた借りを返してから出て行きな。犬畜生だっておめえ、育てたられた恩を体張って返すだろお。働いてえ返しやがれ』

『フ……』

師匠に恩を返せと言われ、それを鼻で笑ったロザリオ。

ロザリオがその二年で稼いだお金なら育成費なんて簡単に返せるのは目に見えてた。なのにどうしてそんなことを言ったのか分からなかった。

でも、ロザリオは入って来た時の扉を開けて脱兎のように逃げ去った。


それからは二人で王国や隣国の要求した魔法具ばかり創っていたよ。

人手不足で他店の依頼にまで首が回らず、他店との関係は悪化した。

そして数ヶ月前、ロザリオが空間圧縮魔法を刻んだ世界初の収納特化魔法具を創ったことで一躍有名になり、名誉第十階梯(ラクリミリア)になったことを風の噂で耳にしたよ。

そのおかげでそれまで来ていた国関連の依頼が激減。

依頼が無くなり、貯蓄は沢山あれどこのままだと魔法具が溢れるってことで近隣の他店に買わないか聞けど断られた。

一度悪化した関係は早々直らない。

というわけで魔法具店を開き、今に至ると」


 全てを語ると何か気が楽になったのか明るい顔になったクレル。

 最後に手を合わせてお終いと言って締めた。

 そうか、小さい頃から天才だったのか。今更になって凄いんだなーっと思えてきた。

 少し気になることと言えば口調が変わっていたことだが、まあ三年もあれば口調くらい変わるかな?

 うぅ〜ん、長い話だったので途中から聞き流してしまった節があり、感想を述べれない。

 取り敢えず、頑張って長文を話してくれたクレルありがとう。

 あとは――そうだな、元二番炉術師がマッドサイエンティストな感じだったな。

 幼気な少女を才能があるからって研究室に軟禁しようと考えるとか怖いにもほどがある。

 あ、そういえば。その当時もガイドはあのコスプレをしていたのだろうか?もし、していたならシリアスなシーンの時とか吹き出してしまうこと請け合いである。


「あ、師匠が創り終えたようだよコボリス。見に行こ?」

「ん」


 確かに今回はガイドの工程などを飛ばしたが、だからといって終わったアピールに最後に槌を無駄に振り回すのは如何なものだろうか。

 危ないし、下に落ちてる鉱石や炭の粉が舞って煙たいだろ。

 俺の訴えの視線に気づいたのか、ガイドが照れくさそうに槌を壁に立てかけた。


「見ろおめえら。これが俺の傑作、世界初の封魔堂"パンデゥモニゥマ"だ。錬成皇が創った圧縮型封魔滅殺魔法具と異なり、圧縮した封印板一万個を連結魔法具によって連結させて館造りにした。これによって封印され圧縮された魔物たちを見失わねえで済む」


 そう言って胸を反らしながら、平等院鳳凰堂のような形をした黒い館のミニチュアを突き出して見せてくる。

 しかし、それでは何処に行ったか分からなくさせて忘れ去らせて殺すあの魔法具の良さを丸潰しでは?

 此処に強い魔物法印してます。と口外しているようではないか。

 それを解き放とうとする輩が居ないのだろうか?


「師匠、それでは錬成皇の目論見である忘れ去らせて殺すというやり方ができないのでは?」

「よく聞いた!これの狙いは殺すことじゃねえ、それを従えることにこそあんだ!一つ一つの封魔板に隷属の魔法を付与したことによって、封印さえしちまえば無理矢理血の契約によって強力な魔物共を従えることができるってえ仕組みよ!まあ、封魔堂の主はそいつが死ぬまで変わらず一人だけだがな」


 おっと、こんなスゲエもんを他に創るこたあできねえように紙は破らんとな。と最後に言い、創るために殴り書いていた紙と俺が渡した紙を破り炉で燃やした。

 思いきったことをするなーと少し惜しい気持ちを抱く。

 聞いたところによると、けっこう凄い一品らしいじゃないか。なら特許出願して印税生活すれば良いだろうにと思わなくもない。

 まあ、前世が裕福な家庭に暮らしていなかったための考えであり、クレル曰くガイドたちは金に困ってはいないらしいが。

 それなら絶賛老後を心配しているデュアルのために分けてくれないかな……?無理だな。


「ほれ、持ってみろコボリス。おめえの細腕だと重えかも知んねえが、まあ喜びを分かち合おうや」

「ん?おお」


 そう促され、両手で受け取った。

 すると黒い館が赤黒い光を放った。

 その光は収束していき、俺の眉間辺りを射す。

 少しの間の後、光は消えた。

 いったい何だったのだろう?


「なあ、今のは――」


 疑問をガイドに問おうとすると、驚愕した面持ちで俺の方を見つめるガイドと目が合った。

 当然、何事か分からない。


「――何だったんだ?」

「おめえ、いつ封魔堂に自分の血を垂らしたんだ……?ちょ……おめえ何して………」


 血を垂らした?俺は一度も血を垂らしたりなんかしていない。気のせいだろ。

 それよりも今のは何だったのか説明をしてもらいたい。

 あ、そう言えば舌噛みちぎった時に手で口から出た血を押さえたっけ。

 その時の残った血が触れたのかもな。だからって何だという話だが。


「分かってねえようだな。なら俺の傑作を盗もうと故意にしたわけじゃねえんだな?説明してやる。その封魔堂は主の血を吸い、その血を使って血の契約書を作成して封印した魔物共を強制隷属契約するんだ。つまり、おめえは今それの主になっちまったわけだ」


 俺の両肩に手を置き、やっちまったなと溜息をつくガイド。

 両手を肩の高さにやり、やれやれといったジェスチャーするクレル。

 そして館の玄関の上に置かれた表札が、分かりにくいが『マスター:コボリス』となっていた。

 どうやら俺は封魔堂の主になった。つまりは捉え封印した魔物共の王になるようだ。

 どうも、(仮)魔王コボリスです。

作者Q.

錬成皇の遺物(作製法)を盗んで創るわけじゃない。と宣言しているガイド。

しかし、よく考えてみれば錬成皇の遺物をベースにして少し弄っただけ……。

これは盗みにはならないのでしょうか?

そこんとこどうなのガイドさん?


ガイドA.

そんなこと()かせばおめえ、錬成術だって最初にやった奴の盗みをずっと全員やってることになんだろおが。

もっと言えばおめえ、最初に生きて死んだ奴の生を盗み続けてることになんだろおが!

だから良いんだよ馬鹿野郎!


作者Q.

それで良いのかガイド……。

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