草やっぱウマー!
一週間ぶりですね。
遅くなってしまい申し訳ないm(_ _)m
何故か最近非常に眠気が私を襲ってきましt(((殴
そんな言い訳をするのはカッコ悪いですねw
しかし季節の変わり目です。皆さんも風邪等にはお気をつけください。
あ、作者はただの寝太郎です。風邪は引いてません。
二日前めでたく封魔堂の主になり、(仮)が付くが魔王となることが決まった俺はその後詳しく説明を聞くことになった。
まあ、今は封魔堂に何も封印されていないので正式な魔王ではないのだが、なる可能性が高い――というか世界中にいる危険な魔物をいつかは封魔堂に封印することになる。
そして封印すれば俺はその時点から魔物を従える物=魔王認定されるらしい。
今一つパッとしないが、されてしまうなら俺の自由な生活の安全を確保するべく努力は惜しまない所存だ。
それに何より、俺が魔王になったとしても国を滅ぼしたりお城を建てたりする気はない。
俺はせっかく働かなくても暮らしていけそうな動物系モンスターに転生したんだ。何が嬉しくて面倒事を俺が起こさないといけないんだ。
俺の夢は娯楽の発達した国で、王侯貴族に甘やかされて生きていくことだ。
俺が管轄する国とか絶対面倒だろ。その上他国と戦争するとか意味分からん。果てには魔物討伐を掲げた勇者とか現れたら死ねるぞ!
何が言いたいか。取り敢えず魔王認定されようと俺は魔王なんてやらんと言いたい!
そこんとこよろしく!!
「朝から何やってるんだいコボリス?もうすぐ朝ご飯できるから顔洗ってきなよー」
「あ、はい」
クレルの朝飯ができるまで暇だったのでダイニングでポーズを取りながら自己主張をしているとクレルに見られた。
俺の今の心境は、鏡の前でカッコいいと自負するポーズを取っていた時に母親に見られた思春期の少年状態だ。
ヤバい、凄く恥ずい。
俺は恥ずかしさを紛らわすべく顔を洗いに行った。
すると洗面所に行く途中でガイドに呼び止められた。
何故か両腕を後ろにやり、とても笑顔である。それに反比例して、俺の背を悪寒が撫でた。
「コボリス、これからのことを考えて俺からおめえにプレゼントだ」
「――?プレゼントー?」
「ああ、遠慮はいらねえ……。心置きなく使ってくれ!」
言葉の使い方を間違っていることに気づいてない様子のガイドが隠していた物を投げ飛ばしてきた。
なんとなく嫌な予感がしたので避ける。
後方に投げられてきた物が重力に従って落ちた。
それは丸みがあり、穴の空いたゴムのような材質でできた靴だ。クロックスみたいな物だな。
それの特徴をピックアップするなら丸い靴先に付いた大腿骨の骨をデフォルメした湾曲した金属板。空いている穴は肉球を意識していることが容易に想像できる。
ベースは深い蒼、骨の形を模した金属板は橙色をしている。
よく言えば飼い主バカ、悪く言えば趣味の押しつけの塊がそこにはあった。
それを見て俺は固まった。それとは異なり避けられたことにショックを受け固まるガイド。
数秒の間、微妙な空気が場を満たしたが、ガイドがトコトコとそれに向かって歩いて行き拾い上げて――
「――!」
何かを訴える表情でそれを俺の胸に押しつけてきた。
仕方なく手に取ってみる。
改めて近くで見ると結構凝っていることが分かる。
裏には歩き易いように凹凸がある。踵の裏地には『コボリス』と書いてあり、ボとリの間に肉球マークが一つ。
しかし、サイズが俺の足より大きい。それに俺の足は人間のそれとは違うので履くことなんてできない。
その他諸々の事情――その中に見た目が入っていることは言うまでもない――で履けないと断る。
「大丈夫だコボリス。これは魔法具だぞ?サイズくらい合わせれるわ。ほれ、履いてみろ」
そう言って無理矢理俺の足を靴に突っ込むガイド。
するとブカブカだった靴が形を崩し、何枚もの包帯のような長い布に変わり螺旋状に巻きついてくる。
そしていつの間にか踝までを覆う形になっていた。
俺の足は犬の後ろ足と同じような足だ。なので踝の位置は人のそれより高い。なのだが、それは完璧に覆っている。
脱ぎ履きができるようにチャックが付いており、肉球マークの穴は先ほどまでの無雑作に空けられた物ではなく側面に並び良い感じだ。
丸い靴先には変わらずデフォルメした骨の金属板が沿うように飾られている。しかし何故か橙色の中に白の線が幾筋か走っている。
なんだろう、少しは俺好みに近づいた感じだ。
「なんてえこった……。可愛く作ったってのに、これじゃあ内履きでなく外履きじゃねえかよ……!」
どうやらこの状態が気に入らないらしく、膝をついて地面を叩くガイド。
このオッさん初対面の時『趣味の押しつけはしない』とかなんとか言っていた割に、完全に押しつけてきたぞ。
そして内履き外履きは履き別けだと思うぞ。スリッパだってトイレ用と廊下用があるだろ。
取り敢えず、無視して洗面所で顔を洗おう。
歩いてみて分かった。とても歩き易いことに。
それまでも人間の頃に比べて肉球のおかげでか歩くのが楽だったが、これはそれ以上だ。
肉球を保護し、且つ肉球の推進力を援助する造りになっているようだ。
それに人でいう踵に当たる部位を覆っている部分が関節の動きを支えてくれるので負荷が軽量化されている。
他にも強度の面や通気性の面でも優れているらしい。
先ほどは趣味の押しつけを非難したが、これは良い物を貰った。
重宝しそうだ、と考えている間に洗面所についたのでライトキューブという魔法具を起動させて洗面所を照らす。
手短かに終わらそうと、これまた魔法具スプリングのホットとクールと書かれた円のクールの方をタッチする。
すると逆さにしたジョウロのような形をした白い魔法具が青くなり、冷たい静水が流れ出てくる。
毎度疑問に思うのだが、何故この世界に英語があるのだろう?俺の感受性がそう感じさせているだけなのだろうか?
分からん。これを考えるたび、分からんので考えを放棄していたがいつかは調べるべきだな。
そう思いながらジョウロの向きを変え、噴き上がる水を口に含み嗽をする。その後顔を洗って風魔法で乾燥した。
何故か、嗽をしている時に悪寒が背を這ったが気にしたら負けだと思うので気にしないでおく。
◇◇◇◇◇
朝飯を食べ終え、三度目となる開店準備を手伝っているとガイドに呼ばれた。
「なんだガイド?」
「コボリス、その靴の形を変えることはもう俺ぁできねえ……。だが……だがな!少なくともソレを家ん中でも履けるようにしようと思う!」
そう言って紅い玉を二個左手に、小さい槌を右に持って見せてきた。
紅い玉にはもう何かを刻んでいるのか、光が射すと中で交錯しているように見える。
それをどうするのかは分からないが、ガイドに変なスイッチが入っている気がする。やってやる、という気迫を感じる。
「おし……やるぞ」
そう呟くと、紅い玉を一つ俺の踝の下辺りに当てる。
「え?何してんのお前?」
「うるせえ、集中してんだ。静かにしてろコボリス」
俺の顔を見ずに俺の問いを切り捨てたガイド。
小さな気合いの声を発すると同時に小槌を紅い玉目掛けて振った。
「――いっ…………!?」
痛みに耐えるべく目を強く閉じる俺。しかし痛みは一向に来なかった。
目を開けて見てみると、靴の踝の下に紅い玉が埋まっている。
これはなんだろう?という疑問が浮かんだ頃にはガイドがもう片方にも打ち込み終わっていた。
安堵の息をするガイド。俺は先ほどの疑問をぶつけてみた。
「なあ、これ何だよ?」
「これは二つの魔法を刻んだ魔法具を打ち込んだんだ。刻んだ魔法は複合魔法と洗浄魔法、複合魔法のおかげで確立は高くなっていても成功確率は何万回に一回ってとこだろうな。これでその靴はずっと洗浄されるようになったわけだ。よって、内外問わず履き続けれるぞ!」
「おお〜、凄いのか凄くないのか判断に困るが良かった……?」
俺の良かったという言葉を聞いてドヤ顔をするガイド。
取り敢えず、ドヤ顔が妙にカッコ良かったのが気に食わんのでビンタをしておく。
しかし、何万回に一回の確立を二度連続で起こすとはガイドは凄いな。いや、執念が凄いのか?まあ、どちらでも良いか。
洗浄効果がついた靴というのは画期的だろう。
これさえあればガムを踏んでしまおうが、クソを踏んでしまおうが綺麗になるのだろうからな。
考えようによっては靴磨きをして稼ぎを得るスラム街の素行の良い少年少女にとっては商売敵猛々しいな。
本当に綺麗になるのか試してみたいが自分から踏むのは気が引けるので、自然と効果を確認できるようになることを祈ろう。
クソを踏むことを祈るのも何か変な気がするが、まあ良い。
「――だから!ジュナサンがここに居るはずなんです!目撃情報があったんですよ!」
声変わり前の少年特有の高い声が聞こえてきた。
どこか焦りのある声。その声から声の主が一所懸命に『ジュナサン』を捜していたことが伝わってくる。
「い……いや、あのね?えっと……だから、その――ね?ご……ごめんね?ジュナサンって人は居ない――」
「そんな訳ないんです!ちゃんと、ちゃんと居るって……居る――ウゥェエエエェエェエェエェエエェエエエェエエエエエエ"エ"!!」
「あ、えと……あの、その――大丈夫!大丈夫だよ!!うん、大丈夫だからね!?」
なんの根拠が、とツッコミたい衝動に駆られるほどにクレルが泣き出した胸ほどもない少年に向かって大丈夫という言葉を繰り返す。
しかし、その健闘虚しく大丈夫と言うたびに泣き声が大きくなっていく。
それに比例するようにアワアワと慌てるクレル。
魔法具店は少しでも外に音が漏れないよう防音壁を使用しているが、関係ないとばかりに外にまで声が響く。
子供の泣き声を聞きつけたらしい通りの大人たちがなんだなんだと店のガラス戸の前に集まりだしている。
「何やってんだクレル。ガキは泣く前に対処しろって言ってあったろ」
「あ、ししょ……じゃなくて店長!毎度言いますけど僕には無理です!なんとかしてくださいー!」
「ハァ……。まったく、世話の焼ける」
額に手を当て溜息を一つ吐くと、ガイドはとても柔和な表情を作り少年に目線を合わせた。
180センチを越えるだろう長身のクレル。そのクレルを悠に上回るガイドは目線を合わせるためにほとんど地面に座り込んでいるような態勢だ。
「おう坊……嬢ちゃん?何泣いてんだ。せっかくの綺麗な顔が台無しだぜ?俺ぁこれでも頼りなる大人だ、いってえどうして泣いてんのか教えてくれや。もしかしたら力になれるかもしんねえぜ?」
そう言ってデカい手で少年の瞳から流れる雫をその見た目からは想像もできないほど優しく拭き取る。
すると、クレルが相手をしていた時とは異なり、泣き声が小さくなる。
そして少年はヒックヒックと小さな嗚咽を交えつつ、それまでの成り行きを話し出した。
まあ、成り行きって言っても俺と別れた後、半泣き状態で捜し続けただけだが。
しかし、どうやら思わぬ障害があったらしい。というのも、俺が考えなしに魅了してしまった旧一般人たる通りすがりの人たちが、チャームによってストーカーとなっていたために俺に会わせぬようにしていたそうだ。
何故、あの気の良いストーカーたちがそんなプライバシー侵害的行為をしたかと云うと――
「なんか……、僕がジュナサンに暴力を振るっているとか虐待をしてるとかっていう噂が立っているらしくて……。それで、変なオジさんやオバさんが……ひっく、会わせるわけには行かないって……。だから、ぼ……僕は目撃者の人に話をしっかり教えてもらえなくて、どうしたら良いのか分からなくて……」
――だそうだ。
確かに、俺はあの日嫌がって逃げ出したが、それは虐待を受けていたからでなく働きたくなかったからだ。
なので何故そんな噂が立っているのか分からない。
ふと、なんとなく視線をクレルにやると、クレルが居心地悪そうな良心が痛んでいるような顔をしていた。
その雰囲気から大本がクレルであることが想像できる。
つまり、クレルがガイドに俺を泊めるために吐いた嘘が回り回ってストーキングしていた彼らの耳に入り、飼い主であろう少年に強く当たったのだろう。
クレルの嘘もストーカーたちの邪魔も気の良い奴らであるからこその行動であったことが怒れない点である。
これでガイドが何故あんなに優しかったかが分かった。
俺のことを不遇の環境で育った可哀想なコボルトだと思っていたのだろう。だから俺が何かしたいと言えば、健気に見えて泣いたのだと思う。
ガイドも大概いい奴である。
「ええと、そのジュナサンの見た目をできるだけ詳しく教えてくれるかな?」
話を聞いているうちに少年が誰を捜しているのか分かったクレルが俺をチラチラと見ながら少年に外見を尋ねる。
すると少年は満面の笑みでこう言った。
「可愛いんだ!」
「え?あ、そう……。できれば詳しく教えてほしいな」
「え?だって変な人たちにはこれで通じたよ!」
「ごめんね、僕には通じないや……」
少年の予想だにしない応答に四苦八苦するクレル。
ガイドは何かを考え込むように腕を組んでいる。
俺は面白いのでニヤニヤしながらガイドの影に隠れる。
「あれ?すんすん。この匂いは――」
少年が途端、何か匂いを感じ取ったらしくすんすんと犬のように嗅ぎ分ける。
何時から犬スキルを手に入れたのだろう?
少年は地べたに這い蹲り、すんすんクンクンと鼻を動かす。
どんどん犬化していく少年。コスプレでもすれば人犬と瓜二つになりそうだ。
そんな想像をしているといつの間にか少年が目の前に立っていた。
垢汚れた装備は、俺がギルドを逃げ出してから変わっていないのだろう。つまり、ずっと捜していたというのは真実らしい。特徴的な蒼い髪がワカメのようになっているし、露出された肌は最近の夜の冷えようによるカマイタチにやられたのだろう。所々に裂傷が見える。
そんな少年の顔は先ほどと同じく涙で崩れているが、その表情には安心や歓喜に加えてほんの少し怒りが混じった物になっている。
俺はそんな少年に向けて、軽く右手を挙げて言葉をかける。
「よ、よおデュアル。二日ぶり?だな。元気そうで何より」
「ジュ……ジュナサ………えぐ、ジュナッサ〜〜ン!!会いたかったよ〜〜〜!もう……会えないんじゃないかと思ったんだよ〜〜〜〜〜〜!?」
「心配させたか?見た感じ……させたようだな。悪かったな」
俺に会えたことで完全にダムが決壊したらしく滝のように涙を流す少年もといデュアル。
俺が全てを言い切る前に抱きついてきた。
耳元で何故かごめんねを繰り返すデュアル。よく分からないが取り敢えず許しておく。
「それよりだな――」
その言葉とともにガイドがデュアルの首根っこを取って持ち上げる。
「嬢ちゃんがコボリスの飼い主なのか?」
「へ?あ、コボリスじゃなくてジュナサンのパートナー冒険者です。あと男です」
デュアルが拾われた子猫のようなポーズで問いに答える。
それを見たガイドは自らの顎に手を当てて、首を傾げた。
「……ふむ。おうクレル、俺の目はいってえ何時から節穴になっちまったんだ?俺にはこの嬢ちゃんが、おめえが言ってたクソ飼い主には見えねえんだが。どういう了見だ?」
「え、あ……」
「ん?おめえ、俺に嘘が通じると思ってんのか?それとも本当に俺の目が節穴になったかどうか確かめてえのか?」
「すっ……すいません師匠………!」
ガイドに横目で睨まれたクレルは親にイタズラがバレた子供のように垂直立ちで体を強張らせて全てを話した。
内容は俺が予想したものとデュアルが言った物を合わせた物だったことを追記しておこう。
◇◇◇◇◇
その後、嘘を吐いたクレルはガイドにこっ酷く叱られ、デュアルは泣き疲れ捜し疲れた挙句緊張の糸が緩んだことで俺を抱き枕にして寝た。
ガイドの叱りは二時間にも渡り、その間ずっと正座させられていたクレルは終わった後も数十分ほど立てなかった。
ガイドに何故俺は怒らないのかと聞くと、「おめえを叱るのはちげえだろ」と言われた。
何が違うのか分からない。まあ、叱られるのは嫌なので得したと思おう。
「さて、どうすっかな」
俺を抱き枕にしてきたデュアルの腕をすり抜け、そそくさと足が痺れて動けないクレルの横を通り、俺は外に出てきている。
何故なら、今はまだ昼過ぎだからだ。
デュアルの疲れようからして、たぶん今日は死んだように寝ていることだろう。
その間ずっと抱き枕にされていては残り十時間以上もの時を退屈にしてしまう。
そんなのは耐えれないので外に居るわけだ。
かといって、これといったことを予定しているわけではないので探索でもしようと思う。
三日前はガイドとクレルの魔法具店を発見したおかげで、探索が今一つ進んでいない。
今回は商業街でなく、何処か他の所に行ってみたいものだ。
思い立ったが吉日だ。よし行こう。
――と、いうわけでですね。
俺は今、一種のファンタジーワールドに来ております。
その場所というのが、商業街を出てほんの数キロ先にある森の前であります。
何故、街の中に森があるのかは俺には分かりませんが、その森は見たところ盛り上がっております。
取り敢えず、森の広さは狭いのが救いといったところですね。
「ていうかコレ、森と言っていいのか?なんだか苔が何層にも重なっているように思えるのだが……」
そう、それは森とは云えない何かだ。
ただの森が街にあるだけなら異世界スッゲーで感想を終わらせていたが、異常進化したことで巨大化したであろう苔の森となっては立ち止まらざるおえない。
最も高い所で俺の背丈の10倍位あるだろうから、その高さは約10メートル。幅はそれに対比すると高さ5の幅3くらいなので約6メートル。
デカい、とにかくデカい。読んで字の如く、見上げる高さだ。
俺はなんとなくその苔に手を触れてみた。
「――!?」
触れたところがボフッと胞子を飛ばしたのだ。
その胞子は俺に触れた途端凄い勢いで触手を伸ばし、俺の腕や身体に苗床を作り生命力を吸い取ろうとしてきた。
俺がそれに驚いている間に頼りなるシホちゃんが逆にその触手を辿って胞子の生命力を吸い取って砂に変える。
お見事ですシホちゃん!
【マスター、どうやらこの森擬きは多層型寄生苔植物の集合体のようです。先ほどの胞子を解析した結果、この胞子には神経毒が混入している模様。胞子一つ一つの毒は微量ですが、先ほどの量の胞子を何の耐性も持たぬ身体が浴びた場合87%の確率で身体の自由を奪われ、悪化すれば精神的負担を感じて発狂死する可能性があります】
え、何それ怖い。
俺は大丈夫なの?普通に俺も危なくない?
【マスターの場合、神経を侵される前に生命力を全て吸い取ってしまうので問題ないでしょう】
あ、そなの。なら良いんですけどね。
シホちゃん曰く俺は何の問題もないそうなので、気軽に苔を手で剥ぎ取りパクリ。
その時に舞った胞子は美味しく生命力をいただきました。
クチャクチャと口の中で咀嚼する。
何だろう、例えるなら臼と杵でとてもよくついた餅だろうか?
歯応えが柔らかく、歯に結構へばりつく。しかし、噛めば噛むほど口の中から鼻腔へ緑の爽快な香りが透き通る。味は……ないな。
無味の柔らかい口臭を抑えるガムを噛んでいるイメージだ。
ペットの歯磨きようのお菓子に持ってこいだな。
そんなことを考えながら嚥下する。
そしてどんどん表層部分の苔を喰っていく。
【柔軟伸縮を取得】
【神経毒生成を取得】
【侵されざる神経を取得】
【多層構造を取得】
【威借文体を取得】
おお、またスキルを手に入れたぞ。
前にも思ったが、動物はモンスターよりも格が低いのかスキルを手に入れ辛い。だが植物はけっこうスキルが手に入る。やはり俺は植物に格が劣っているのだろうか?
このことを考えると毎度気が滅入る。なのに考えてしまうとは、俺って意外とMの素養があるのだろうか?
止めよう。泣きたくなってきた……。
取り敢えず、言っておこうか。
「草やっぱウマーーー!!」
俺はけっこう複雑な気持ちを抱きつつ、それらを振り払うように叫んだ。
これで良いんだ……。これで良かったんだ……!
俺は自分に言い聞かせるように目の前にある多層型だか試作型だかエ○ァ初号機だかを夢中に噛みちぎって嚥下した。
時間を忘れるように、雑念を忘却するように喰べ続けた。
【建造構成を取得】
【支柱生成を取得】
【魔石生成を取得】
【魔炉結晶生成を取得】
【苔怪人の日向遊戯を取得】
【媒体生成を取得】
【苔怪人律を取得】
【苔怪人の友を取得】
【擬似聖域を取得】
【苔人生成を取得】
【苔鎧生成を取得】
【成長の助くを取得】
【毒胞子生成を取得】
【反射迎撃を取得】
おぉ……。ちょっと引くくらい増えたな。
しかもアレは苔怪人だったらしい。前世でもけっこう人気のあった愛くるしい怪人グリーンマンがあんなもっこりとした物だったとは……。
しかも苔人って……。何それ健康そうじゃないの。というか、苔人生成って何よ?
俺がそう思うとシホちゃんが発動してくれた。
足元の土が少し盛り上がり、その盛り上がりに凄い勢いで苔がついていく。そしてどんどん人のような形を取っていき、ポンっと一気に地面から跳ねて俺の足にしがみついてくる。
その大きさは5センチ程度。頭の上に花が咲いている。
何これ可愛い。
【これを作るのに必要なスキルは苔人生成だけではないようです。いえ、少し訂正いたします。即座に使えるようにするには他にもスキルを使用しなければならない、です。苔人生成だけでは苔人ができあがるまでに少なく見積もって、十五年は必要かと】
うわ、なんと燃費の悪い……。
【ですが、苔人を作ってしまえばそれを核に苔生していき、苔怪人を作り上げることも可能です。一概に悪いスキルとは云えないかと】
だそうです。
俺には苔人を核に苔怪人を作る方法とか全くもって想像がつかないがシホちゃんが云うなら信じよう。
「さて、帰るか」
時間を気にしていなかったので気づかなかったが、西の空に日が落ちかけており赤く染まっている。
これ以上の探索はまたデュアルを心配にさせるだろうから止めておこう。
また泣かれて抱き枕にされては敵わんからな。
俺は来た方向へ向かって歩き出した。
魔法具店に戻ると同時に腹にデュアルが突進してきた。
思わぬ攻撃に見舞われ、俺の体が中空を舞う。
「――ホゲフ!」
天井に頭をぶつけ、回転しながら墜落。
落ちたと同時にデュアルに抱きしめられ、その後寝るまで離してもらえなかった。
どちらにせよ抱き枕にされた可哀想な俺。
主人公「苔怪人でグリーンマンって可笑しくないか?」
作者「いやいや、可笑しくない可笑しくない」
主人公「でも、苔人でベジタリアンは絶対変だろ!」
作者「え、変かな?本当は超野菜人のベジ○タの名前を拝借しようとしてたんだけど……」
主人公「いろいろとOUT」
作者「でしょ?それと比べたら……ねえ?」
主人公「まあ……、無しではないかな?変だけど」
作者「いやいや、変の代表みたいな君が言っちゃダメだろwwww」
主人公「俺のどこが変だってんだ!」
作者「TS魔物転生者で喰べれば喰べるほど強くなるとか雑魚モンスターのコボルトには設定盛り過ぎるっしょw」
主人公「ぷゆ」
作者「可愛くないよ?(真顔)」
主人公「ごめん。ホントごめん……。そんな目で見ないで、そんなゴミを見る目で見ないで……」




