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01-10-07 趙九 恵文王

 恵文王けいぶんおうは過去、で「氏の璧」と呼ばれる見事な璧玉を手に入れていた。その話を聞きつけたしん昭襄王しょうじょうおうより、璧玉と十五の城を交換したい、と言う申し出があった。

 突っぱねれば攻められる、かと言って壁玉が本当に城になるとも思えない。懊悩する恵文王に「藺相如りんしょうじょ」が交渉に当たりますと立候補。丁々発止のやりとりの末、璧玉と十五城交換の話は立ち消えとなった。このやりとりから、藺相如は昭襄王からも重く見られるようになる。


 後日恵文王と昭襄王との間で、直接会談の場が設けられる。ここで昭襄王が恵文王に楽器を演奏しろと強要。下人のごとき働きをしろ、と言うのに近い侮辱行為であった。とは言え逆らうわけにもゆかず演奏。

 するとここでも立ち上がるのが藺相如である。昭襄王に対しあなたも演奏すべきだ、と主張した。ふざけるなと突っぱねる昭襄王の下に藺相如、ぐいと詰め寄り、言う。

「王よ、いまならば私の首から吹き出る血を、あなた様に掛けることもできるのですぞ!」

 これ以上王を侮辱するならお前を殺すぞ、である。周囲のものが藺相如を殺そうと動くも、藺相如よりの一喝によって動けなくなる。仕方なく昭襄王もまた楽器を演奏した。これ以後昭襄王が趙を圧迫することはなかった。


 趙に帰還すると藺相如は特上の地位に据えられた。それは当時趙軍を牽引していた大将軍「廉頗れんぱ」をも上回るものであった。その処遇に廉頗が不満を抱いて一悶着が起こるのだが、それは別の機会としよう。



蒙求もうぎゅう

不疑誣金ふぎふきん 卞和泣玉べんわきゅうぎょく

 前漢文帝の頃、ある役人が里帰りするときに、うっかり別の人間の金子を持ち帰ってしまった。持って行かれた人間は直不疑を疑う。直不疑は抗弁もせず金子を入手し、それで彼にあがなった。なお里帰りした役人が「うっかり持って帰っちゃったわー」と帰還したため、あがなわれた人は多いに恥じ入ったのだとか。

 楚の和氏が山中で見事な璧玉を手に入れた。王に献上してみれば「ただの石ですよ」と鑑定され、偽装罪で足の腱を切られた。王の代が変わったのでもう一回献上すればやはり同じ結果となった。更に王の代が変わるが、このときはただ璧玉を抱いて泣くばかり。その理由を聞けば「刑を受けたことが悔しいのではない、確かな宝を献上したいという真心を詐称と言われたのが悔しいのだ」と語る。それを聞いてついに王の元に収められ、磨いてみれば、確かに極上の璧玉であったという。そう、これが「和氏の璧」だったのです。

 財宝周りで、確かな信念を抱いていたふたり。ともに「自分のための財宝ではない」ことも共通していますね。

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