01-09-07 斉九 田単・魯仲連
斉の将軍として立った田単は自ら兵とともに築城工事に従事し、妻や妾達も警備兵として動員させた。一方、燕にスパイを送り込んでデマを流すことで、包囲の指揮官である楽毅を引きずり下ろし、凡将の騎劫に交代させもしている。
また城内から千頭の牛を集め、角には刀を縛り付け、尾にはよく油のしみこんだ藁を巻き付ける。いっぽう城壁には数十もの穴を開けておき、牛たちを穴の前に揃えておいた。
ある真夜中、牛たちの尾に火をつける。怒り狂った牛たちは城を包囲する燕軍のもとに飛び込んでいく。更にその後ろから、斉の兵士達を突撃させた。
この起死回生の奇襲劇により燕軍は大打撃を受け、襄王の下には七十あまりの城が復帰させられた。この功から田単は安平君と呼ばれるようになった。
後日の話をしておこう。田単が「狄」を攻めたが、落とせない。そこを「魯仲連」に言われている。
「今のあなたには、去まし日のような決死の思いがない。死を恐れ、安穏を求めておられる。故に勝てぬのだ」
はっとした田単、すぐさま前線に立ち号令を掛けるようになる。すると、狄はたちまちのうちに降伏した。
蒙求:
田單火牛 江逌爇雞
田単のこの話が来るなら、江逌も当然動物の関わる戦術にまつわる話。五胡十六国時代、東晋将殷浩が羌族の将軍姚襄と対峙。単純な用兵力ではまったく勝ち目のないこの戦いにおいて、殷浩の部下であった江逌が数百羽の鶏を縄で繋ぎ、火をつけて姚襄軍に躍りかからせた。そこに強襲を掛け、姚襄軍を退けたのだ。
ど動物虐待ィー!