8話 罪のせせらぎ
裸の罪人が布を川で洗っている
「何をしているのだ?」
「罪を洗っているのです
これは罪人の布であります」
それは世紀末時代に居た盗人の服だった
「こいつは何をしたのだ?」
「この方は平和となった世界を再び血の色に塗り替えた男の布であります
洗っても洗っても拭うことのできない豪であります」
盗人はあの後、光の覇者と称して天下を取った
勿論全て嘘で塗り固めた言葉であったのだが、
ジェニスが去った直後の話であり、その言葉は誠のように込められた
「盗人は誰を配下にしたのだ?」
「えぇ 配下にしたのは弱者でございます
これまた、復讐に次ぐ復讐でございます 血の池のようにその町は夥しい人々の血でいっぱいになりました」
そして全てが静まり返った時
誰もいなかったのだ
汚された世界
秩序を乱された世界
そこに降り立ったのは盗人だけだった
盗人は取り乱して走った
逃げてそして笑った
『ざまあみやがれ…!全て壊してやったぞ…!
弱者にも強者にも覇者にもなれなかった俺が全てを壊した…!』
そして盗人は服を脱いだ
『何も俺を汚すものは無い…』
その話を聞いて再び罪人を見る
罪人の顔は笑っていた
「盗人のやった事は罪悪そのものだな」
「えぇ…だから洗っているのですよ 血の池となったその場所から物品を回収しましてね…
そしてその男は資産家になったのです
その資産で男は町を作り、そしてどこかへと些末していったのです」
罪人がジェニスを見て笑ったのは喜びなのか
はたまた恐怖なのか
そしてその喜びとは切り落としてくれる喜びなのか
「俺を血で染め上げてくれてありがとう…
俺も血に染め上げられて浄化してもらうとするよ
町は全て作ってやった これから始まるぜ…誰の競争もいらない美しい時代が…」
ジェニスは川に流れる死体をただただ見守っていた
そして洗っていた布をジェニスは川へとゆっくりと流した




