20話 死後の時代
~死後の時代~
ジェニス
「いやぁ、参った参った
まさか我が被爆して死んだとはな」
HAHAHAと笑いながら、ジェニスは貴族の衣装となって颯爽と地獄を歩いていた
ジェニス
「死後の地獄って本当に針の山ばっかだな
そこら中、針だらけで安全地帯を歩けない
渋滞しまくってる」
ジェニスが歩いているのは針地面だが、
ジェニスは元々神経が無くなっているので痛いもの知らずだった
足からは血を出し続けながら歩き続ける
針のない安全地帯で渋滞を作っている死後の住人はドン引きしていた
「まじか…なんだあいつ…正気か」
「あいつなんかこわい」
ジェニス
「そう褒めるでない」
「褒めてねぇだろ…ドン引きしてるんだよ」
「颯爽と貴族衣装で耽美っぽくしながら針地面歩き続けて血しぶき出しながら歩いてんだから
そりゃドン引きもドン引きだろうよ…」
安全地帯にいる住人に比べてジェニスは大人染みていた
それを勘違いして精神が清められたと思ったのか天井から糸が
ジェニス
「おや?これは蜘蛛の糸か?
この上に釈迦でもいるのか?
登ってみるか」
光の翼を起動すれば一瞬だが、
良い見本になろうと思って蜘蛛の糸を登ってみる
ジェニス
「これは一人だけじゃないと糸が切れそうだな」
ジェニスは分かり切った不安を覚えながら蜘蛛の糸を昇って行った
ジェニス
「んー?おかしいな…揺れてるな…まあ下を見れば一瞬なんだが…
やっぱり登ってきてるじゃねぇか!」
ジェニスは思わず貴族らしくない突っ込みを入れた
蜘蛛の糸には無数の住人が我先にと喧嘩しながら登っていた
ジェニス
「おいお前ら!止めろ!蜘蛛の糸が切れるだろうが!ドアホが!」
設定丸つぶれのジェニスの突っ込みだが
そもそもジェニスが貴族衣装を着てようとも、どんな性格してようがどうでもいいのだ
ジェニス
「蜘蛛の糸が切れそうだ…
なんか光が見えるな
光の先で釈迦が笑ってやがる…あいつ、糸切るつもりだ…!」
社会がハサミを持ってきて切ろうとしてるのを見逃さなかった
ジェニスはそのまま蜘蛛の糸から離れて光の翼を起動
蜘蛛の糸を切って釈迦は喜んでいた
~井戸の外~
釈迦
「あいつらマジで笑えるわ(笑)
あんな必死なってる所見たら切るに決まってんじゃーん!(笑)」
ジェニスはその最低な発言に拳骨を食らわした
釈迦
「いってぇ!てめぇ何しやがる!」
光の翼を起動して井戸から出てきたジェニス
釈迦
「地獄から反則的に抜け出した罪において
鏡の中にかえれゴミめが」
ジェニスがいた井戸の中は鏡の中の世界だ
ジェニス
「我は呪刑所持者だったからこそ抜け出せたが
蜘蛛の糸を登り切っても、井戸の外へは抜け出せないだろ
鏡の中にいるだけだからな」
ジェニスが飛んできた井戸の周りはガラスの破片でいっぱいだった
釈迦
「それがどうした!俺の愉快に付き合わされろ!」
釈迦は地獄を鏡の中に映して
その鏡の中で住人を買い取る富裕層の住人だった
ジェニス
「この世界で、お前は富裕層で
そして人権の無くなったこの世界で貴様は万死に値する行為を行った
その罪は、それこそ万事に値するぞ」
ジェニスは光の剣で滅多切りした
釈迦の鏡は壊れた
釈迦
「分かった!金をやろう!てめぇも愉快を極めろ!おもしろいぞ!」
ジェニス
「貴様のような愚劣な輩と一緒にするでないわ!
この心が薄汚れた人間風情めが!」
釈迦の正体はジェニスにはとうに見破られていた
ジェニスが光の剣で貫いても釈迦は死なない
ジェニス
「人間じゃないな?妖怪でもない」
釈迦
「妖怪?HAHAHA、笑わせるぜ
この世界じゃ金があれば何でも買えるんだぜ?
人権を無くした制度のこの世界じゃな!」
金で何でも買えると言った
この世界は本当に金で何でも買える世界のようだ
ジェニス
「じゃあお前は人間じゃなくて、
クローンか?動物から擬人化したのか?」
釈迦
「HAHAHA、そうだねー
呪刑を持っているという事はそうだろうよ」
釈迦は鏡を持っていた
ジェニス
「一体その鏡は何本持っているのだ」
釈迦
「俺が思えば一瞬にして手に入れられるぜ
だって俺には金がたっぷりあるからよぉ!」
ジェニス
「この資本主義教の狂った住人めが」
ジェニスは釈迦を持ち上げて
そのまま光の翼で移動
釈迦
「てめぇおいこら!離せ!」
ジェニス
「断る
貴様にはこの世界の事を聞いてやる」
釈迦は何も言わないが、景色を見て直ぐに分かった
ここは釈迦のいる世界なのだと




