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9話 美しき時代

美しいものを美しいと呼び

汚いものには汚いと蔑む


そんな時代になっていた


ジェニス

「やはり人間は極端だな…」


どうするべきかジェニスは考えた

美しいとされるのはその目に映る情景の数々だ


嬢様

「あらあら美しい殿方ではありませんか?

ジェニス

「我に何用かな?」


嬢様

「我とは素晴らしい響きですわ!早速私の豪邸にお迎えさしあげますわ!」


すれ違いで汚いのと


嬢様

「こら!ちょっとお待ちなさい!そこの汚い奴!そう、お前です!

私の綺麗なドレスがあなたの小汚い恰好に泥を塗られました どうしてくれるのです!」

汚女

「どうしろといわれましても…」


嬢様

「私の慰謝料は高くつきますわよ…!」

ジェニス

「何をするつもりだマドンナよ」


嬢様

「あらあら素晴らしくエレガントな響きですわねその言葉 実にさいっこうですわ」


恍惚な表情のマドンナ

うってかわって汚いものには侮蔑の顔


ジェニス

「お前達はいつもこんなのなのか…」

汚女

「へ…?私にですか…はい、そうです…私はひもじく生きております…」


嬢様

「生きています…ですって?汚い者が何を不格好な事を…」

汚女

「申し訳ございませんですぅ…私は生きさせてもらっていますですぅ…」

嬢様

「そうですわね!あなたのような身分の低い哀れなゴキブリ以下の存在を

わ・た・し・が!生きさせてあげていますですよ!」


今にも高飛車な笑い声が聞こえてきそうだ


ジェニス

「何とも哀れよの…」


これでは貴族と同じでは無いか

いや、貴族の場合はまだ冷厳さがあった

しかしこれにはまるでないのだ


ジェニス

「まるで貴族ごっこだな」

嬢様

「貴族?おーっほっほっほ!私は貴族ですわよ!そう、私は貴族なのですわっ!」


ジェニス

「この町はあれか 特権階級だけには褒美を 下っ端には汚らしさを という奴か」

汚女

「はい…そうですぅ…私達には…それでしか生きながらえられませんですぅ…」


白い毛並みの馬車が近づく

ゲホゲホと咳をする汚い女


嬢様

「ほらほらどきなさいな汚染物質が移りますのよっ!」


ドス!と蹴飛ばす


汚女

「はい 私のような汚染物質は退却させていただきますですぅ…」

嬢様

「ほら、殿方はこちらへどうぞ」


お嬢様のユリンに迎えられて豪邸へ





~豪邸~


一人で暮らすには大きすぎる豪邸があった


嬢様

「私のようなエレガントな女には似合いすぎる豪邸です事よっ!

ほれ!お前!殿方の為の紅茶をブレンドしてきなさい!

ほれ!お前もですよ!」


メイドを携えてお前呼ばわり


ジェニス

「お前はそんなに偉いのか?」

嬢様

「当たり前ですわ 私は美しさで選ばれた人間ですから

それなりの美しさの維持のために心も体も捧げましたので」


心か とジェニスは思った

心と言えばジェニスは誇りを賭けている

その心があるから今がある

その貴族の誇りが無くなった時、呪刑の念は解かれて即死亡するのだ


メイドは女性ばかりだった

もしやと思って


ジェニス

「今夜はこの豪邸に宿泊させてはくれまいか?」

嬢様

「宿泊?殿方と?」


お嬢様は顔を赤くして妄想を始める

ジェニスは貴族の時に男女の反応を伺っていたので無反応を決め込む


嬢様

「いいですわよ…!私、殿方と決めさせてもらいます」

ジェニス

「何を言っているのか理解不能だ」


しかしお嬢様はくれぐれも夜中出歩かないようにとの事

そして夜となった




~夜~


静まり返った夜中

ジェニスは豪邸の中を探索した

お嬢様の部屋を探していた


メイド

「お嬢様…いけませんわ」

ジェニス

「おやおや、これはまた…」


ジェニスが見た光景は百合だった

お嬢様の部屋では百合状況が行われていた


ジェニス

「メイドが女性しかいないのはこういう事だったか 失敬失敬」


百合の邪魔をしてはならないとジェニスは思った

ジェニスも幼少期にそういう状況に出くわした事があった


それは少女ではなくて、婦人同士の百合だった

苦笑いをして颯爽と出て行ったジェニスはそれからも

百合のシーンに出くわす事が多かった


ジェニス

「女難の相とは言い難いが…」


夜中ジェニスは町を出歩く事にした




~夜中の町~


夜中の町も美しかった

もっと下品なのかと思った


汚女

「あのぉ…こんばんはですぅ…」

ジェニス

「お前は汚いと言われていた女か どうしたのだ?」


腹の音ばかりが聞こえる


ジェニス

「腹でも減ったのか?ほら、俺のパンだ」


夜中豪邸を歩いていたのはパンを持っていく為だった

ジェニスは何かの役に立つだろうと食料を持参していた


汚女

「これで二日は持ちますですぅ…」

ジェニス

「お待ちになってくれ」


ジェニスは足を止めさせた

そしてこの町の事を聞いた


汚女

「美しい人には更なるランクを

汚い人には更なるランク下げを

それがここのモットーなのですぅ…」


何とお嬢様は元々汚い出身だったのだ


汚女

「私達と同じランクだったですけど

普段からあんな生意気で高飛車などうしようもない女だったのですが

それでも彼女は諦めなかったですぅ…私が言える事ではありませんですぅ…」


ジェニス

「でも十分愚痴にはなっていたがね」


お嬢様は這い上がり出身だったのだ

では責められないなと思うジェニス



ジェニスはそれから美しい国でランク付けを高くする毎日を送った

ある時は、貴族の格好でゴミ拾いを

ある時は、貴族の格好で動物の世話を

コツコツと、尚且つ貴族の格好でしているのでランク付けが高くなるのは早かった


そんな光景をお嬢様はキーッとハンカチを噛みしめた反応を示していた

それでもジェニスはお嬢様の豪邸に住まわせてもらっていた

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