マジックギミックスの日常
少し投稿が遅れてしまいました。ごめんなさい。
10話です。
よろしくお願いします。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
鷺村透哉を含む5人は無言で固まっていた。
透哉以外の4人は突然先輩、または友達がこんな傭兵組織のような危ないグループのようなものに新メンバーとして入ってきたことに驚いていた。
一方、透哉は、そんな傭兵組織のような危ないグループのようなものに後輩、または友達がメンバーとしていることに驚いていた。
「えーと……」
一番先に口を開いたのは透哉だった。透哉は美佳のほうを向いて言った。
「結城美佳……だよな……俺の後輩で、桜村高校新聞部の」
「……は、はい」
そして透哉は涼のほうを向いて言った。
「南雲涼……だよな。俺のクラスメイトで、変態の」
「変態じゃねーよ!」
次に透哉は楓のほうを向いて言った。
「一条楓……だよな。俺のクラスメイトで、真面目の」
「……うん」
最後に透哉は海斗のほうを向いて言った。
「……誰?」
「え!? 四宮海斗ですよ! いつも桜村高校新聞部の新聞を配達してるじゃないですか!」
「ああ、バイト君か」
「そんな風に呼ばれてるんですか!?」
「あれ? そこの4人、透哉と知り合いだったの?」
そこに口を挟んだのはハツキだった。
ハツキの質問に答えたのは楓だった。
「知り合いも何も、前からハツキに言ってたじゃん。面白いツッコミ役がいるって……」
「ああ……あれ透哉のことだったのか」
ハツキは驚きもせずに普通に言葉を返した。
「じゃあ、昨日巻き込んだ一般人って……」
涼が何かを察して言った。
「うん、透哉のことだよ」
「す……すごい偶然……」
美佳が驚いた顔で言った。
「えーっと、話が見えてこないんだけど……」
話している6人から完全に隔絶されていたいのり、すず、アイの3人は無言だったが、それに耐えかねたようにすずが口を開いた。
「あ、ごめん、すず。えーっと、この人は実は私の先輩で、楓と涼の友達で、海斗の雇い主だったっていうことだよ」
すずの質問に美佳が答えた。
「いや! 雇い主とかじゃないから! 結構いっぱい話したことあるし! 俺も友達だから!」
と、そこで、ガチャッと玄関のドアが開く音がした。
「ただいまー」
そう言って帰ってきたのはハツキの妹であるあずさであった。
「あ、お帰り、あずさ」
ハツキはそう言って妹の中学校からの帰還に反応した。
「買い出し行ってきたよ……ってうわ、お客さんいっぱい来てる……」
おじゃましてまーす、と8人が同時にあずさのほうを向いて言った。
「いっぱい買ってきたけど、この人数……足りるかな?」
「あ、私たち、今日はすぐ帰ると思うから、大丈夫だよ」
いのりがあずさに優しい声で言った。
「そう? 足りるかもだから食べていったらいいのに」
あずさが心配するような声で言った。
「お言葉に甘えたいところだけど、いつもそうだから悪いわ」
楓がそう言っていのりと同じ意見を述べた。
「あ、私、お言葉に甘えたいかも……」
そう言ったのはすずだった。すずはそのまま続けた。
「ここ1週間あずさの料理食べてないし。それに、最近マシになったとはいえ、同居人の料理があまりおいしくないし……」
言葉を発していくごとにすずの声がだんだんと小さくなっていった。
だがその言葉はその同居者に聞こえていたようだった。
「へー、すずー私の料理がまずいって言いたいんでしょ? だったらそうとはっきり言ってくれないと私ますます落ち込んじゃうなあ……」
いのりが少しドスのきいた声ですずに言った。
すずといのりは桜村市の郊外で(ハツキのマンションの近くで)同居している。1年前から同居しているらしく、こうすれば家賃は安いし、なにより寂しくないらしい。
「え! あ、いやいや、まずいとか言ってるわけじゃなくて……」
「じゃあ自分で作ったらいいんじゃない?」
「あ、いや、それは……」
いのりも料理が壊滅的に下手であるが、すずはそもそも料理ができないので、いのりに何も言えない……という状況である。
(なんなんだこのほんわかした日常的な会話をする傭兵組織は……)
他のみんながわーわー言ってる間、無言であった透哉はそんな風に思っていた。
「えーっと……すいません、透哉さん、これがボクたちの日常みたいなものなんです」
そうやって話しかけてきたのは先ほどの幼女……アロンダイトことアイだった。
「あ、ううん、別にいいんだよ」
透哉はそう言って自分が困っていないことを示した。
「あ、そうだ。来てましたよ」
美佳がそう言った瞬間、みんなが話をやめて沈黙が訪れた。美佳は静かになったのを確認すると、
「今回はロシアです」
ロシアかー、とみんながつぶやいたりうーん、とうなったりするが、約1名その言葉を理解できずにいた。
「えーっと、何がロシア?」
理解していない1名である透哉がみんなに聞いた。
それに答えたのはハツキだった。
「決まってるだろ。依頼だよ」
(依頼? 依頼って、昨日みたいな……)
透哉は嫌な予感がしていた。
「じゃあ、今回誰に行ってもらおうかな」
「あ、じゃあ俺行く」
そう言ったのは涼だった。
「おおー、行ってくれるか。じゃあ、透哉もいってらっしゃい」
「え?」
おおー、とか、入隊してから初めての任務だね、とかいろいろな声が飛び交うが、透哉はこう思っていた。
(……また死にかけるのかよ……)
読んでくださりありがとうございました。
今回は短いです。次の話へのつなぎみたいなものなので。
感想や文章の指摘、評価があれば送って下さるとうれしいです。




