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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
竜のねぐら

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ドラゴンアツコ大暴れ作戦

 さあ、アツコいまだ!!


 派手に登場してルーフェの度肝を抜いてくれ!!


 大森林の邪竜の復活を大々的にアピールし、竜のねぐらへの人の侵入を止める秘策、それがこの『ドラゴンアツコ大暴れ作戦』だ。


 内容は単純明快。

 大森林の邪竜に扮したアツコがオレ達は相手に大立ち回りを演じ、ルーフェに恐怖を植えつけたうえで引き分けを装い撤退。

 ルーフェが冒険者ギルドを通じて大森林の邪竜の恐ろしさを伝え、最終的にこの国だけでなく竜のねぐらに接する好戦的なゴヤ帝国やゴブリンを王に戴くガジフ王国にも響き渡るという算段だ。


 正直はじめこの作戦を聞いた時はとある理由から乗り気ではなかったが、今となっては全ての問題を解決する最良の策に思える。

 まあ、実際には竜のねぐらに竜が常駐するわけではないので時が経てば問題は再燃するだろうが、とりあえず時間を稼いで真の解決方法を探るため冒険するというのも悪くない。

 むしろ戦争へのタイムリミットが迫るなか、それを止めるために必死に奔走するなんて、超王道な冒険感があって燃える展開だ!!


 というわけで、アツコよろしく頼むぞ!!


 しかし、アツコの竜形態みるのはメチャクチャ久しぶりだな。5年ぶりくらいだろうか。

 キャラクリエイトした時に試した何回か竜形態で戦闘を行なったが、強いは強いんだが扱いにくすぎるんだよなぁ…。

 装備を整えた今となっては人間形態の方が圧倒的に強いし、オレ自身すっかりアツコの竜形態のことを忘れていたが、こういう形ではあってもその真の姿が陽の目をみるのはワクワクする。


 ………ところでアツコはまだかな??


 おーい、そろそろ来ないと戦いやすい場所から離れちゃうぞ?

 アツコー、まだかー。


 ……………おかしい、遅すぎる!!


「ナナセ、アツコがどうしてるか分かるか?」


 オレは見えないナナセに向かって小声で囁く。

 数メートル先を歩くルーフェに聞こえないよう話すのは難易度が高いが、いまはそんな事を言っていられない。


「兄さん、ダメです。メッセージも飛ばしてみたんですが反応がありません。」


 このタイミングでアツコが行方不明!?


「アツコがどこにいるか探れるか?」

「やってみます…。」


 オレの探知能力では完全不可視化状態のナナセの姿は見えないが、耳をすまし周囲の様子を探っていることは容易に想像がつく。


「遠くからなにか近づいてきます。馬蹄の音、悲鳴、足音、金属音…どんどん増えてる、追いかけられてるみたいです。場所は南東10キロ近く。」


 追いかけられてる…ラグさん達と出会った時と同じだ。


 誰かがアツコを追いかけてるのか!?


 それともアツコが追いかける側か、どちらにしろトラブルが起こったのは確かだ。この辺境の地で騎兵を集団運用できる人間といえば否が応でもあの顔が思い浮かぶ…嫌な予感がするな。


「ミカヅキ、オレの魔法で周囲を探ったら南東10キロの地点になんらかの生物反応が多数見つかった。大森林の邪竜についてなにか知っているかもしれないし、逆に邪竜に遭遇して逃げている可能性もある。転移魔法で先回りして話を聞くぞ!!」


 今日を逃したらもうルーフェはここに来てくれないだろう。

 転移魔法がこの世界でどれほどレアな魔法かわからないなか使うのは避けたかったが、どんな形であれドラゴンの姿をルーフェに見せなければ任務は失敗だ。


「一月に一回しか使えない大魔法をここで使うのね!?」


 なんかミカヅキがそれっぽい嘘設定で返してくる。なんて気が効く妹なんだ!!


「なんだ、あんたら転移魔法まで使えるのか!?」


 ルーフェの驚きの声。しかし、ここは迷ってはいられない。


「使おう。邪竜に関係があってもなくても、何かが起きてるのは確かだ。」


 オレの言葉にミカヅキがコクリと頷く。


「この魔法陣の内側に入って。…大地にあまねく精霊たちよ、我の言葉にその耳を傾けよ。時を穿ち、空間を切り裂け!!大魔法『テレポーテーション』!!」


 オレ達はミカヅキの言葉だけをその場に残し、騒動の渦中に転移した。


 ちなみに即興でそれっぽい嘘詠唱をしたミカヅキの頬が、いつもより少しだけ赤かったのは秘密だ。

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