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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
竜のねぐら

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開宴のファンファーレ

「しかし、竜のねぐらの奥を調べてこいなんて適当な依頼よく受けたな。俺一人だったら絶対無視してるぜ。」

「竜が目覚めたかもしれない以上ほっておく事は出来ないし、トロールの情報から竜の大体の位置は割り出せてる。それに探索して様子さえ確認すれば報酬が貰えるなんて簡単な仕事、受けない理由はないでしょ。」


 ミカヅキのフォロー。

 今回の依頼料はこの前オレ達が受け取った報酬の残りをかき集めた金貨6枚で、オリハルコン級のルーフェが請け負う依頼としては破格に安い。


 一応ランクの差を意識して報酬の半分をルーヘの取り分とする事としたが、それでも金貨3枚だ。お世辞にも割の良い仕事とは言えない。

 渋るルーフェを時にはおだて、時にはなだめようやく引っ張り出したのだ。失敗は許されない。


「プリティエストな女の子達とピクニックしてお金が貰えると思えば天国だよ~、ちょうどここには天使もいるし…んぐっ。」


 オレはワカナの口をおさえる。

 ウェアキャットやエルフはともかく、流石に天使までいる事がわかったら不味いなんてものではない。

 というか、この世界で天使がどういう扱いなのかは分からないが、少なくとも亜人以上に目立つことは間違い無いだろう。


「ピクニックか、それもそうだな。ここら辺はトロール達の縄張りだっていうし、俺達の行手を遮るやつもいないか。戦闘になったとしてもあんた達に任せるとして、俺はのんびりピクニック気分を満喫させて貰うぜ。」


 森に入ってから歩き続けること丸2日。オレ達はようやく竜のねぐらに到達した。


「おいおい、マジかよ。これが竜のねぐらなのか。どんな図体してたらこんな跡が出来るんだ?」


 ルーフェは驚きよりも恐れがより多く混じった声を上げる。


「こっちに道が出来てる。大森林の邪竜が眠りから目覚めて獲物を求めて彷徨っている、ってところかしら。行きましょう。」

「本気か?いくらあんた達が強いからって、相手は下手すればエンシェントドラゴンだぜ!?今回の依頼はあくまで調査だ。俺達は依頼通り大森林の邪竜がいた場所を見つけた。これ以上ない成果だぜ。さっさと撤退してギルドに報告しようぜ。」


 ミカヅキの言葉にルーフェが反論する。ここまでは予定通りだ。


「ミカヅキ、オレもルーフェさんに同意見だ。一刻も早くここから立ち去るべきだろう。眠りから目覚めたばかりとはいえ、相手は既に動き始めている。100年ぶりに自分の縄張りを確認し、異物を排除しにかかるかもしれない。最悪今日にだって周辺の村や町を襲う可能性だってあるんだ。追いかけたい気持ちは分かるが、この事を冒険者ギルドに伝えるのが一番重要な仕事だろう。」

「…分かったわ、バカ兄がそこまで言うなら引きかえしましょう。」


 事前につくった台本通りのやり取り。


 ルーフェが元の道を引き返すために踵を返した瞬間、不可視化のスキルでルーフェには存在を気づかれていないナナセが、隠し持っていた小さな犬笛を吹く。

 人間であるオレやルーフェにはまったく聞こえないが、亜人や聴覚が鋭敏な種族…例えば『ドラゴン』であれば微細な音も捉えることが出来る。


 つまり、これはこれから起こるショーの開演を告げるファンファーレなのだ!!

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