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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
竜のねぐら

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空を行く

 オレ達はフリカムイの背に乗り、飛び立つ。

 飛行魔法『フライ』はメッセージと同じく基本的な魔法で、ミッドガルドでは戦闘職も含め比較的誰でも有している。オレ達のパーティーでも習熟度に差こそあれ全員が使うことが出来る。


 しかし、ゲームのなかで空を飛ぶのと、こうやって現実に飛び回るのではわけが違う。


 フリカムイが羽をはばたかせる度に上下に揺れ、振り落とされないように懸命に掴まる。

 もちろん先程言ったように落ちても飛行魔法があるためなんの問題もないのだが、必死に落ちないようにするという行動が適度なスリルを生み、なんというか………とてつもなく楽しい!!


 モンスター、魔法、冒険、異世界のすべてが今この瞬間に詰まっている感じだ。


「最高のアトラクションだな!!」


 気持ちが昂り思わず独り言を発してしまう。


「召喚獣にのって空を飛ぶというのも面白いですよね。自分で飛ぶのとはまた違った趣があります。」


 ナナセが嬉しそうに言う。


 何の気なしに発した言葉だったが、ナナセの口寄せを誉める形になったのを喜んでくれたのか。ちょっとしたやり取りだが、素直な感想を共有できる仲間がいるのは良いな。

 ミッドガルドは仕事の人間関係からくるストレス解消のために始めたこともあって、必要最小限しか他のプレイヤーと絡まず、あとはひたすら妹NPC達との実質ソロプレイばかりだったが、いまはNPCだった妹達が一人のプレイヤーとして対等に話してくれる。


 こんなに楽しいならもっと早くソロ縛りをやめれば良かったな。


「あった、あった!!あそこだよ、ヘビいたとこ!!」


 オレの思考を遮るようにワカナが大声をだす。


 ワカナが指差す方向には森の一部がくり抜かれたかのように地面がえぐれ、クレーターになっている部分がある。

 あれは間違いなく魔法で吹き飛んだ場所だろう。


「ワカナのグランドクロスって威力は大したことないのに範囲と見た目だけは凄いよね。」


 サヤがサラッと失礼なことを言う。

 まあ、サヤの言うこともわからないではないな。グランドクロスは1~7の七段階のランクに分かれる『位階魔法』を超える『極位』の称号を冠する神聖魔法だが、ミッドガルドでもその名の仰々しさとエフェクトの派手さに威力が見合っていないという事で、プレイヤーから何回もパッチでの修正依頼があったという不遇の魔法だ。


 ワカナは元々魔法が得意な種族である天使のレベル100とはいっても、直接戦闘用に魔改造されているため魔法攻撃力はかなり控えめで、せいぜい80レベル相当の威力しか出ないだろう。

 いかに極位魔法とはいえ一発で溶けたということは、神聖属性が弱点だったとしても高く見積もって60レベル、普通に考えれば50レベルが良いところだろう。


 ミッドガルド基準で考えれば50レベルはまだまだ初級者と言ったところであり、それが竜のねぐらを統べ近隣各国から恐れられる大森林の邪竜だというのはかなり違和感があるが、それだけこの世界のレベル帯は低いと言うことなのだろうか?

 そうすると全員100レベルのうえ、武具もミッドガルドプレイヤー屈指、そして何よりアツコがいるオレ達は紛れもなくこの世界のトップクラスのパーティーと言えるだろう。


 もちろん異世界転移して1週間もしないうちに決めつけるのは早計だが、あまり慎重になりすぎて引きこもりプレイにならないよう気をつけた方がいいかもな。


 現場に降り立つとナナセは巻物を広げフリカムイを帰還させる。忍者、巻物、口寄せ…やっぱりナナセのビルドにはロマンがある!!


「バカ兄、なにエロ親父みたいな目でナナセ見てるのよ。さっさと現場チェックする。ただでさえ目立つ場所にいるんだから、すぐ退散しないと。」


 ミカヅキの言う通りだ。オレ達は表面上まだ駆け出しの冒険者に過ぎない。

 そんなビギナー達が竜のねぐらの奥深くで何か調べているというのは不自然極まりない。なるべく早く調べて村に帰ろう。

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[一言] イツキの外見は、若々しく見える38歳くらいのイメージなんでしょうか?
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