フリカムイ
「別にいいでしょ、ヘビだろうが竜だろうが。ワカナの魔法で溶ける程度のモンスターいくらでも代替が効くわ。」
見かねたアツコが助け舟を出してくれる。
「そうだ、さーちゃんってビーストテイマーじゃなかったっけ?竜のねぐらに適当にモンスター置いて二代目にすればいいんじゃない?なんか大々的な襲名イベントしてさ『二代目大森林の邪竜』はじめましたって!!ワカナってば可愛いうえに頭まで冴えちゃうから困っちゃう~。ナイスエンジェルアイデアかも~。」
「エンジェルアイデアって書いて天使の浅知恵って読むの?私には手持ちのモンスターがいないって言ったでしょ?それに私はビーストテイマーだからドラゴンは専門外だよ。いくら伝説上の竜だからって、流石に哺乳類モデルのモンスターとかだとダメだと思うし。」
「じゃあ、なっちゃんの口寄せで蛙呼べたよね?蛙でいこうよ、蛙!!両生類なら爬虫類に近いしギリギリイケる気がする!!ワカナってば天才かも!!」
「口寄せはテイマーみたいに主従じゃなくて、あくまで召喚の一種だから時間経過で帰っちゃうよ。あと蛙と竜はちょっと違うかも………。」
ナナセが優しくワカナを諭すが、蛙と竜は完全に別物すぎて、誤魔化せたらこの世界の住人の知的水準は危機的な状況だと思う。
「その辺りは私に任せなさい。兄様、明日ワカナが行った場所を調べませんか?対策を考えるのは倒したのが本当に伝説の竜かどうか確認してからでも遅くないですし。」
アツコの態度からはどことなく余裕すら感じる。一気に色々なことがありすぎてオレの頭はパニック状態だ。いまはアツコの判断に任せよう。
「本当に大森林の邪竜がワカナちゃんに退治されちゃったならお祝いしないとね。どこかの国の軍隊が来るかどうかは置いておいて、竜のねぐらに住む亜人から危機が遠のいたのは確かだもの。調査は明日行くのかしら?ちょうど狼肉も仕込みも終わるころだし、終わったら祝勝会をしましょう。」
オレはラグさんの言葉に頷いた。
翌日オレ達はミカヅキの転移魔法でラグさん達が薬草を採取した場所まで小刻みに移動した。
ミッドガルドでは転移魔法には、視界の範囲に瞬間移動する『ディメンション・ドア』、任意の場所に移動する『テレポーテーション』、特定の場所をつなぐ『ゲート』の3つがある。
ミカヅキが使用しているのは『テレポーテーション』。
転移魔法の中でも大まかな座標を指定してそこに移動する魔法であるため、必ずしも精度は高くなく、自分が行ったことのない場所であれば小刻みにワープし、ナナセのような探知スキルに優れた者に座標を修正してもらう必要があるのだ。
「兄さん、ここからはフリカムイで移動しましょう。」
薬草の採取地点まで移動したオレ達は、そこから空を飛んでして移動することにした。
フリカムイというのはナナセが口寄せできる召喚獣の一種だ。
大鷲のような姿をしており、その身体を片翼30キロまでの任意の大きさに変えることができるため、大人数を一度に乗せるような移動には最適といえる。
「しかし、フリカムイでの移動は目立たないか?」
「『フライ』で飛んでくよりは目立たない。」
ミカヅキの言う通り6人パーティーが全員魔法で飛行しているのは若干シュールな光景かもしれない。
それにRPGと言えばやっぱり空飛ぶ乗り物だよな!!
某和製RPGでも飛空艇を手に入れたら中盤になって一気に世界が広がるって感じだったし、他の作品ではフリカムイのように巨大な鳥に乗って世界を飛び回ることも出来た………まさに漢のロマンという感じだ!!




