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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
竜のねぐら

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蛇と竜と

「ところでワカナ、トリコロールヒドラはどうだった?」


 オレはずっと気になっていた事をワカナに質問する。


「あのヘビ?パパッと倒しちゃったよ。でも思ったより硬かったから、グランドクロス使ったんだけど、そのせいでほとんど消えちゃった…。鱗はこの一枚しか持って帰れなかったの。」


 ワカナが残念そうに一枚の鱗を取り出す。オレが想像していたよりも遥かに大きいその鱗は、極彩色の輝きを帯びていた。


「なに?キレイな鱗のあるヘビじゃなかったの?バカ兄はトリコロールヒドラとか言ってなかったけど。」


 ミカヅキの声。オレの説明不足にご不満の様子だ。


「それにしても馬鹿みたいに大きな鱗。」


 ミカヅキは続けて感心したように言う。

 鱗はゆうに1メートルはあるだろう。これだけの鱗を持つトリコロールヒドラであれば、東京ドーム一個分という表現も当たらずとも遠からずなのかもしれない。


「…ワカナ、そのトリコロールヒドラは何処にいたの?」

「え?森の奥?」

「奥って、どれくらい?」

「うーん、ここから三時間くらい森の奥に歩いて、そこから30分くらい飛んでったから、かなり奥だよ。」

「大きさは?」

「東京ドーム一個分?」

「トリコロールヒドラの周りはどうなってた?木が倒れて道が出来てたとか、一面が草原になってたとか。」

「どうもなってないよ?ただの森だった。」


 ふとミカヅキの動きが止まり、すくっと立ち上がったかと思うと、大上段からオレに頭蓋骨めがけ杖が振り下ろされた!!


「いたっ!!どうしたんだミカヅキ!?プレゼントなら今度買うから落ち着いてくれ!!」

「違う!!竜よ!!」


 竜?なんのことだ?


「まだ分からないの?ワカナが倒したトリコロールヒドラは竜のねぐらに潜むっていう『大森林の邪竜』だって言ってるの!!」


 ………トリコロールヒドラが『大森林の邪竜』だって!?


「いやいやいやいや、流石にトリコロールヒドラが竜なのはおかしくないか!?トリコロールヒドラの写真を見せてネットでアンケートを取ったら、100人中100人がヘビって答えると思うぞ。」


 トリコロールヒドラはヤマタノオロチをモチーフにして作られたモンスターだ。明らかにヘビと言い切れるフォルムをしていて、日本人であればあれを竜だと思う人間はいないだろう。


「写真とかネットとか訳の分からないこと言わない!!ワカナみたいに空から全体像を見られれば確かにヘビに見えるかもしれないけど、いきなり襲われた側からしたら竜もヘビもないでしょ。トロールの言ってたこと忘れたの?無数に首がある七色の竜って。そのまんまじゃない!!」

「でもワカナによると首は六本で…。」

「首なんて普通は一本なんだから六本もあれば無数に生えてるように見えるでしょ!!ましてやパニック状態なんだから。そんなバカデカいトリコロールヒドラがいるのに周りに木が倒れて道ができてる形跡がないのは、今まで眠ってて動いてなかった証。恐らくワカナが近くにきて本能的に危機を察知して覚醒したの。」


 トリコロールヒドラが『大森林の邪竜』!?


 そんな馬鹿な………。


「ワカナのアイドル性はヘビまで魅了しちゃうんだね!!」

「ヘビには相手してもらえて良かったね。」

「ワカナとサヤは黙ってて、気が抜ける!!どうするの!?竜のねぐらが空になった事が分かれば、大森林近くの村人や冒険者だけじゃなく、周辺各国が橋頭堡確保のために軍隊を派遣しかねない。そうなれば亜人が住むどころか、最悪戦争になる。」


 軍隊?戦争!?


 どうしよう…なんか話が大事になってきた。しかも、なんかオレが叱られてる感じだし!!

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