探知スキルの重要性
ちなみにミッドガルドにおいては『探知スキル』は極めて重要な能力となる。
ミッドガルドではいわゆる『筋力』『知力』『敏捷性』といった能力値は存在せず、パラメーターとして示されるのは『HP』『MP』『物理攻撃力』『物理防御力』『魔法攻撃力』『魔法防御力』『特殊防御力』そして『探知』の8つとなる。
『筋力』や『知力』はたまた『運』などという能力値がある場合は、そのキャラの特徴が分かりやすい反面、それぞれの能力値がどう戦闘に影響するのか分かりづらいという欠点があるが、ミッドガルドではそういった能力値が排除され戦闘能力に直結する数値のみが示されるため、キャラの強さが一目瞭然で分かりやすいという利点がある。
そういった初見のプレイヤーにも分かりやすい配慮がなされている一方で、抽象的でやや分かりにくい能力値が『探知』だ。
一見地味に見えるこの『探知』という能力は、実を言うとミッドガルドで冒険するうえで1,2を争うほど重要な能力でもある。
というのも、この『探知』の能力値が低いと各種ストーリーや特殊イベント、期間限定のクエストなどが解放されないのだ!!
ミッドガルドではメインストーリーの他に、異様に充実したサブストーリーや特殊イベント、期間限定のクエストなどがあるが、その解放条件は『探知』『カルマ値』『種族』により成り立っている。
そのうち『カルマ値』や『種族』は解放条件として選ばれないことが多く、また条件となっていても専用アイテムなどで偽装可能なためそこまで問題になることは少ないが、解放条件のメインであり主要8能力値の一つでもある『探知』はそうはいかない。
最大6人からなるパーティーの『探知』の合計値が解放条件に届かない場合は、本当に一切イベントが発生しないのだ………。
これはゲームが遊べないという事に等しく、『探知』は戦闘上の有利不利が発生する他の能力値と違い、ゲームを遊ぶために必須の能力だといえる。
『探知』の能力値が低いまま冒険に出ることは、ミッドガルドの攻略wikiなどでよく『言葉も分からず、スマホもない状態で外国に放り出される』ことと同じだと例えられる。
その国で『観光を楽しむ』といったイベントを起こそうにも、そもそもどういった観光地があるかも知らなければ、観光地まで行く方法もわからないという状況では、お手上げ状態という意味だ。
『探知』の能力値が低いままゲームを楽しむためには、上記の例えでいえばツアーに参加したり、現地ガイドを雇ったりする必要があるのだが、これには当然お金がかかる。
動画配信サイトやブログなどでは『探知ゼロでいくミッドガルド攻略』などという無謀極まりない企画が投稿されていたりするが、興味本位でそれを見たところ、探知の能力値が低いままミッドカルドの世界を十分に楽しむためには月30万円ほど追加で課金する必要があるそうだ。
ガチャでもないのに1カ月分の手取りをそのまま課金するとか恐ろしすぎる!!
このようなミッドカルドのシステム上、パーティーを組む際に真っ先に重視されるのは『探知能力をどう稼ぐか』という点になる。
仮に6人パーティー全体で総計100の探知ポイントが必要な場合、誰が何ポイント引き受けるかという問題が発生するのだ。
探知が高いクラス構成となると、どうしても戦闘能力を犠牲にせざるおえないため、探知能力が低いプレイヤーが多いんだよな…オレも人のことは言えないけど。
オレは基本ソロプレイで妹NPCとプレイをしていたため、自分の探知能力こそ低いものの妹達にカバーしてもらっているが、対人でパーティーを組む場合は当然探知能力が高いプレイヤーに優先的に声をかけることになる。
そんなわけで、探知能力が高いプレイヤーはメチャクチャ重宝され、真っ先にスカウトされるというのが実情だ。
ゲームをやる上で自分は強くありたいと思うのは当然なことで、そういった欲望を抑えてパーティーに貢献するようなクラス構成にしているプレイヤーは、人気が高くなるのも当然と言えるだろう。
そういう意味では、他のMMORPGでヘイト管理の上手いタンク職が人気になるのと似ているかもしれない。
探知能力を一人だけで100ポイント稼ぎきるのか、全員16~17ポイントづつ受け持つのか、それとも6人それぞれが10ポイントずつ受け持ち、残りの40ポイントを課金で補うのか…。
まあ、自分以外NPCのオレ達のようなパーティーならともかく、対人パーティーで探知に課金するのは誰がどれだけ課金アイテムを使ったかで必ず揉めることとなり、100%パーティーが崩壊するためオススメはできないな。




