序章 一話『たとえ天使であろうとも、好きなものを拒むことはできない。』
「フェイン!フェインはどこにいる!」
天上の世界、神が住まう新世界とは違い神に仕えることが許されている者たちの住まう場所その中心にある国、聖都ホーリベルク、そこにある王城の長く続いた廊下をある天使が激昂しながら歩いていた。
「グ、グリーティア様落ち着いてください!フェイン様は現在自室でお休みになられております…」
「戯け《たわけ》が!なぜ起こさんのじゃ!今は下界の歴史を学んでいる時間であろうが!」
「そ、それが、またお力を使われたようで部屋に直接入れないのです…」
「おのれフェインめ…!今日という今日は説教じゃ!」
そして立ち止まったグリーティアと呼ばれた天使はある扉の前で怒鳴り声をあげ拳を構える。そして何かを纏わせたこぶしで扉を開け、
「フェぇイィぃン”ン”!出てこおぉぉぉぉい!」
るのではなくぶん殴って粉々にしてしまった。
「な、なんだ!?…げっ!おじい様!?なんで!?扉は空間を変化させて切り離しておいたのに…」
「フェイン!そこに正座じゃ!今日という今日は説教してやる!大体いつまで寝ておるんじゃ!今は歴史を学ぶ時間であろうが!」
「え、ええとですねおじい様歴史は少々つまらn、コホン!少々考えるためのまとまった時間が欲しいのでベットに横になって考えてたらいつの間にか目を瞑っていたんです!決して、ええ決して!さぼっていたわけでは、ない…です。」
(あ、これはだめだな)
必死に言い訳を考えたがどうも無理くりなようだ。おじい様の機嫌は言い訳一つではどうにもならなかった。
「今日はそれだけではない。フェイン、お前また立ち入ることが禁止された庭園に、禁忌の庭園に入ったそうじゃな。」
「…ッ!?」
(な、なぜばれている…いや、少なくとも証拠は消していたはず…ばれる要因がない。いったいどうやって!?)
内心焦りに焦っていたフェインだが、グリーティアは言い訳を考えさせてくれる余裕すら与えてくれなかった。
「な、何のことかわからないよおじい様。」
「わしらは、前回お前が庭園に侵入してから、新たに庭園に足を踏み入れる者が現れないように天使に宿る聖なる力の根源、その宿主、源を特定する装置を作ったんじゃ。」
「で、でも!そんな奇妙な物は全く見てない!そんなものがあるなら僕が気づかないわけない!」
「あぁ、そうだろう。だからわしらはその装置を新たな力として変換し庭園にいる動物たちの魂に宿した。お前は動物たちとは仲が良いからのぉ…それを利用させてもらった。」
「な、なんてことを…」
「安心せい、動物たちには害はない。ただの探知するだけの力じゃからな。」
「天使には生まれつき神から自身の権能を一部与えられる。その聖なる力は様々、中でもフェインそなたたに与えられた時間と変化を自ら創造する権能の一部はとても稀有な力。もっと言うと強すぎる力は簡単に言えば目立つ!」
まさか自身の力がばれる要因になるとは思っていなかったフェインは苦虫を噛んだかのような顔をしていた。
「し、仕方ないのです、おじい様!あそこの果物が美味しすぎるのです!好きなものをは止めようがありません!動物たちと遊ぶのも僕にとっては至福の時間…友達と遊ぶことは、そんなにもいけないことなのですか!?」
フェインにとって庭園にいる動物たちは初めてできた友達であった。しかしその友達と遊ぶためには庭園に侵入する他ない、罪を犯すしか方法がないのだ。
「フェイン、わしらの家系は代々すべての天使をまとめ上げる熾天使を担ってきた。そなたもそう遠くない未来この立場を受け継いでいかないといけない。まして、わしらのこの聖都ホーリベルクは熾天使達がこの天上の世界で運営する国の中でも特に重要な役割を任されておる。」
「知ってる。下界とつながっている門があるんでしょ?」
「そうじゃ。その門の管理とあと一つ、フェイン、そなたがこれまで立ち入った庭園の監視じゃ。」
「ぁ…」
「わしは、そなたが動物たちと会いたいのをわかっておるからこれまで罰を軽くしてきた。目を背けておったんじゃ。しかし、立場上もう無理がある。フェイン明日の朝、謁見の間へ来ることを命ずる。そなたに罰を与えなくてはならない。」
「ま、待っておじい様!これまでの罰はわざと軽くしてくれてたってこと?な、なんでそこまで…」
グリーティアはフェインの質問に軽くうなづいた後部屋を立ち去って行った。
フェインは力を使い粉々になった扉を元に戻した後またベットに横になった。だがいくら目を瞑っても眠れそうにはなかった。脳は完全に起きていて先ほどの会話のことで頭がいっぱいだった。
これまでの受けた罰は、謹慎三年やグリーティアからのげんこつなど。これまで庭園に赴くことがそれほど重い罪だとはフェインは思っていなかった。ましてや熾天使の役目など初めて聞いたのである。それもそのはずその役割は公にしてはいけないもの。フェインが知らないのも無理はない。
(では僕以外に庭園に侵入した者は…)
フェイン以外にもたびたび庭園に侵入者が入ったという情報は耳にしたことがあった。しかしその者達ががどうなったかなど聞いたこともなかった。
(僕はずっとおじい様に守られていたのか…)
フェインは考えれば考えるほど祖父に対する罪悪感と自分が受けるであろう罰への恐怖から一日中ベットで縮こまっていた。
書き直しました。だいぶ前と内容変わりましたが。
ここから進めていきたいと思います。




