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第89話 加速する成長

 リーヴェルの冒険者ギルドは、朝から多くの冒険者で賑わっていた。


 依頼掲示板の前では数人の男たちが報酬について話し合い、受付には魔物の討伐証明を提出する者たちが列を作っている。酒場を兼ねた休憩所からは焼きたてのパンの香りが漂い、奥の厨房では食器の触れ合う音が響いていた。


 そんな喧騒の中、ユウキは受付の前に立っていた。


「第二層の階層主まで討伐したんですか?」


 セシリア・アルノーが目を丸くする。


「はい。大苔背獣という魔物でした」


 ユウキが答えると、隣にいたトーマが胸を張った。


「しかも、第三層の入口まで見つけたんだぜ!」


「それはすごいですね。第二層の階層主は、Eランクの冒険者でも十分に注意が必要な相手なんですよ」


 セシリアは提出された記録に目を通し、ドランが描いた地図と照らし合わせていく。


「水路の奥にある池……なるほど、こちらの区域ですね。情報を更新しておきます」


「第三層について、何か注意することはありますか?」


 ユウキが尋ねると、セシリアは少し考えてから答えた。


「第三層には、古い地下施設の跡が残されています。魔物の強さも少しずつ上がりますが、それ以上に気をつけていただきたいのが足場です」


「足場?」


「はい。長い年月で床や壁が傷んでいる場所もありますので、見た目だけで安全だと判断しないでください」


 トーマが腕を組む。


「なるほどな。魔物だけ見てりゃいいわけじゃないってことか」


「そのとおりです」


 セシリアは微笑み、最後に四人を見渡した。


「皆さん、探索の速度がかなり上がっていますね。ただ、怪我だけはしないようにしてください」


「ありがとうございます」


 ユウキは頭を下げた。


 ギルドを出ると、朝の冷たい風が頬を撫でた。


 第三層。


 昨日は入口を確認しただけだったが、今日はその先へ進む。


 まだ見ぬ魔物や景色への期待が、胸の奥で静かに膨らんでいた。


     ◇


 迷宮へ向かう途中、ドランがふと思い出したように口を開いた。


「そういえば、最近ちゃんとステータスを確認してなかったな」


「あっ、俺もだ!」


 トーマが声を上げる。


「新しいジョブを取ってから、ずっと迷宮に潜ってたもんな」


「戦闘も増えたし、何か変わってるかもしれないね」


 ユウキが言うと、バルドも頷いた。


「確認しておくか。自分の成長を把握するのも冒険者の仕事だ」


 四人は街道脇の平らな岩場で足を止め、それぞれ自身のステータスを開いた。


 最初に声を上げたのはトーマだった。


「……えっ?」


「どうしたの?」


「ちょ、ちょっと待ってくれ」


 トーマは目の前に浮かぶ表示を、何度も確かめるように見つめている。


「俺……レベル12になってる!」


「本当?」


「ああ! 前に見たときは10だったのに!」


 トーマは興奮した様子で拳を握った。


 ユウキも自分のステータスへ目を向ける。


 そこに表示されていた数字を見て、思わず息を呑んだ。


【ステータス】


名前:ユウキ・コバヤシ


レベル:12


ジョブ:剣士・魔法剣士


HP:122


MP:54


STR:33


VIT:27


AGI:32


MAG:24


MND:34


DEX:35


「……僕も、12になってる」


「おおっ! ユウキもか!」


 トーマが嬉しそうに肩を叩いてきた。


 ユウキは表示された数値を見つめた。


 以前のHPは108、MPは46。


 それが今では、それぞれ122と54に増えている。


 筋力や敏捷性、魔力も上昇していた。


 数字の変化は決して小さくない。


「……いつの間に、こんなに」


「戦闘を重ねたからだろうな」


 バルドが答えた。


「黒震狼との戦い以降も、迷宮で何体も魔物を倒している。階層主も二体討伐したんだ。経験が積み重なっていてもおかしくねえ」


 続いてバルドも自身のステータスを確認した。


「……俺は15だな」


「バルドも上がってる!」


「ああ。若いお前らほど一気には上がらんが、十分な成長だ」


 最後にドランが表示を確認する。


 その顔に、ゆっくりと笑みが浮かんだ。


「……俺は14になってるな」


「えっ、ドランも二つ上がったのか!?」


 トーマが驚く。


「どうやらそうらしい。戦闘だけじゃなく、採取や素材の調査も続けていたからな」


 四人は顔を見合わせた。


 全員が成長している。


 しかも、想像していたよりも速い。


「……なんか、すごくないか?」


 トーマが呟いた。


「俺たち、最近かなり強くなってる気がする」


 バルドは腕を組み、しばらく考え込んだ。


「確かに早いな。だが、実戦経験が増えたのも事実だ。特に強敵との戦いは、身体の使い方を変えるきっかけになる」


「それに、今は四人の連携もよくなってるからな」


 ドランが続ける。


「以前より効率よく魔物を倒せている。それだけ経験を積む機会も多いんだろう」


 ユウキは静かに頷いた。


 だが、心の中では別の可能性を考えていた。


 ――成長促進。


 黒震狼から奪った固有権能。


 その力が、パーティー全員の成長に影響しているのかもしれない。


 ユウキは自分のステータスに表示された、仲間には見せていない情報を意識した。


【固有権能】


略奪 Lv.2


成長促進 Lv.1


 この権能がなければ、今ほど速く成長できていなかった可能性がある。


 しかし、それを確かめる術はない。


 少なくとも、トーマたちに説明することはできなかった。


「……ユウキ?」


 トーマの声に、ユウキは顔を上げた。


「あ、ごめん。ちょっと考え事をしてた」


「何だよ、難しい顔して。せっかくレベルが上がったんだから喜ぼうぜ!」


「……うん、そうだね」


 ユウキは笑った。


 秘密を抱えていることに、少しだけ胸が痛む。


 それでも、仲間たちが強くなることは嬉しかった。


 強くなれば、それだけ危険な場面でも生き残れる可能性が高くなる。


 そして、いつかリナを救うための力にもなるはずだ。


     ◇


 ステータス確認を終えた四人は、続いてスキルの変化を調べた。


「おっ、こっちも上がってる!」


 トーマが嬉しそうに声を上げる。


「短剣術がLv.4、足捌きもLv.4になってる!」


「それだけ使っていたからな」


 バルドが頷いた。


 トーマは最近、魔物の動きを見極めながら足場を選び、攻撃の隙を狙う戦い方を身につけつつある。


 単純な速さに頼らず、相手の重心や視線を読むようになったことが、技能の成長につながったのだろう。


「影纏いはまだLv.1だけど、前より扱いやすくなってる気がする」


「スキルレベルが変わらなくても、慣れは積み重なるからね」


 ユウキが答えた。


 バルドも自身のスキルを確認する。


「俺は盾術がLv.5になってるな。盾斧連携もLv.2だ」


「おお、やっぱり盾斧士になってから伸びてるな!」


 ドランが感心する。


「実戦で使う機会が増えたからな。ただ、まだ改善できるところは多い」


 続いてドランが自身の表示を見つめた。


「俺は鎚術がLv.4、素材鑑別がLv.2になってる」


「素材鑑別も?」


「ああ。第一層で拾った鉱石や魔物の素材を調べていたのが、少しは役に立ったんだろう」


 ドランは嬉しそうに笑った。


 戦闘だけが成長につながるわけではない。


 鍛冶や修理、採掘、研究。


 それぞれの経験が、本人の技能として積み重なっていく。


 ユウキも自分の保有スキルを確認した。


【スキル更新】


剣術 Lv.4 → Lv.5


身体強化 Lv.3 → Lv.4


魔力付与 Lv.1 → Lv.2


魔力制御 Lv.1


 表示を見た瞬間、胸の奥に熱いものが込み上げた。


 剣術がLv.5。


 身体強化がLv.4。


 そして、魔力付与もLv.2へ上昇していた。


 昨日の階層主との戦いで、魔力を剣へ流す感覚が確かに変わった。


 魔法書によって魔力制御を習得したことで、力の扱い方を理解しやすくなったのだろう。


 だが、魔力制御自体はまだLv.1のままだった。


 新しく覚えた技能には、これから積み重ねる経験が必要なのだ。


「……僕も、いくつか上がってる」


「何が上がったんだ?」


 トーマが尋ねる。


「剣術と身体強化、それから魔力付与」


「すげえ! 魔法剣士っぽくなってきたじゃん!」


 ユウキは思わず笑った。


「まだまだ練習は必要だけどね」


 バルドが満足そうに頷いた。


「よし。成長したのは分かった。だが、数字が増えたからって油断するなよ」


「もちろん!」


 四人は装備を整え直し、迷宮へ向かった。


     ◇


 灰脈の迷宮第三層。


 昨日確認した入口から奥へ進むと、古い石畳の通路がまっすぐ伸びていた。


 壁面には規則的な石材が積まれ、ところどころに風化した装飾が残されている。


 天井は第二層ほど高くないが、通路の幅は十分に広い。


 長い年月の間に砂や土が入り込んだのか、床の隙間には細かな砂利が溜まっていた。


「……静かだな」


 トーマが小声で呟く。


 第二層では水音が絶えず響いていたが、ここでは四人の足音だけが通路へ反響している。


「だからこそ、音には気をつけろ」


 バルドが答えた。


「向こうにも俺たちの足音が聞こえるかもしれん」


 トーマは頷き、歩幅を少し小さくした。


 しばらく進むと、通路の先で何かが石を擦るような音が響いた。


 カリ……カリ……。


 ユウキは足を止め、仲間たちへ合図する。


「……いるね」


「ああ。奥の曲がり角だ」


 トーマが短剣を抜いた。


 四人が慎重に近づくと、石壁の陰から奇妙な魔物が姿を現した。


 人の腰ほどの高さがある、細長い四足の獣。


 灰色の身体には石のような硬い鱗が並び、前脚の先には鋭い爪が伸びている。


 頭部は平たく、細い口の隙間から小さな牙が覗いていた。


 その魔物は床の石材を爪で引っ掻きながら、周囲の匂いを嗅いでいる。


「……初めて見る魔物だ」


 ユウキは鑑定を発動した。


【鑑定結果】


名称:石鱗獣《ストーンスケイル》


種族:魔獣・爬虫型


魔物ランク:1


レベル:7


HP:68


MP:10


STR:18


VIT:20


AGI:13


MAG:3


MND:7


DEX:11


【保有スキル】


硬鱗 Lv.2


爪撃 Lv.2


壁面移動 Lv.1


「石鱗獣……ランク1、レベル7!」


 ユウキが伝えると、バルドが頷いた。


「防御が少し高い程度だな。今のお前らなら十分対処できる」


「じゃあ、俺が行く!」


 トーマが低い姿勢で駆け出した。


 石鱗獣はその動きに気づき、鋭い爪を振り上げる。


 だが、トーマは攻撃が届く直前で身体を沈めた。


 爪が頭上を通り過ぎる。


 次の瞬間、短剣が魔物の脇腹へ走った。


「……よし!」


 石鱗獣が振り返ろうとしたところへ、ユウキが踏み込む。


 剣術Lv.5。


 以前よりも自然に、剣の重さと身体の動きが噛み合っていた。


 無駄な力を入れず、刃を正確に振り下ろす。


 ガキンッ!


 剣が硬い鱗へ当たり、乾いた音を立てた。


 だが、衝撃に負けることなく刃が鱗の隙間へ入り込む。


 石鱗獣は大きく身体を震わせ、そのまま倒れ込んだ。


「……おおっ!」


 トーマが声を上げる。


「今の、すごく綺麗に入ったな!」


「……うん。自分でも少し驚いた」


 ユウキは剣を見つめた。


 力任せに振るったわけではない。


 身体の動きに合わせ、自然に刃が走った。


 スキルレベルが上がるというのは、こういうことなのかもしれない。


「いい一撃だったぞ」


 バルドが笑う。


「だが、次も同じように決められるかが大事だ」


「……うん!」


 ユウキは頷き、剣を鞘へ戻した。


     ◇


 第三層の探索は、順調に進んでいた。


 石鱗獣は複数の通路で確認されたが、ネクシアの四人が苦戦する相手ではなかった。


 トーマが先行して魔物の位置を探り、バルドが必要に応じて盾で動きを止める。


 ユウキが剣で急所を狙い、ドランが鎚で硬い鱗を砕く。


 それぞれが得意な役割を果たすことで、一体の魔物に長く足を止められることはなかった。


「……本当に強くなってるな、俺たち」


 トーマが呟く。


「以前だったら、あの硬い鱗にもっと苦戦してたと思う」


「そうだな」


 ドランが鎚を肩へ担ぎ直した。


「攻撃そのものも強くなってるが、どこを狙うべきか分かるようになったのが大きい」


 バルドも頷いた。


「それに、互いの動きが見えてきている。誰かが無理に前へ出なくても、自然に攻撃がつながるようになった」


 ユウキは仲間たちを見渡した。


 確かに、戦闘中に細かな指示を出す機会が減っている。


 それは誰かが勝手に動いているからではない。


 互いに相手の考えを理解し始めているからだった。


 そんなことを考えながら進んでいると、先頭のトーマが突然足を止めた。


「……待ってくれ」


「どうした?」


 バルドが尋ねる。


 トーマは足元の石畳をじっと見つめていた。


「……ここだけ、何か違う」


 ユウキも近づき、床へ視線を落とす。


 見た目は周囲とほとんど同じ石畳だった。


 だが、よく観察すると、一枚の石材だけ継ぎ目がわずかに広くなっている。


 表面にも、ほかの石とは違う擦れた跡が残されていた。


「……確かに」


 ユウキが呟く。


「この石だけ、少し浮いてる?」


「そうなんだよ。何か変な感じがしてさ」


 トーマはしゃがみ込み、石の端へ指先を近づけた。


「触るな」


 バルドの低い声が響いた。


 トーマがすぐに手を引く。


「……罠か?」


「可能性はある」


 バルドは盾を構え、周囲の壁と天井を確認した。


 ドランも慎重に近づき、石畳の隙間を覗き込む。


「……下に空間があるようだな。何かの仕掛けかもしれん」


「……じゃあ、踏まない方がいいね」


 ユウキが答える。


 四人は問題の石材を避け、壁際の安全そうな場所を一人ずつ通り抜けた。


 幸い、仕掛けが作動することはなかった。


「……危なかったな」


 トーマが息を吐く。


「でも、よく気づいたな」


 ドランが感心したように言う。


「いや、何となく違和感があっただけなんだけど……」


「その違和感が大事なんだ」


 バルドが答えた。


「罠ってのは、見つけられなきゃ対処もできねえ。今のうちに、こういう場所をよく覚えておけ」


「……ああ!」


 トーマは真剣な表情で頷いた。


 ユウキも石畳を振り返る。


 魔物だけでなく、地形や仕掛けにも注意しなければならない。


 第三層は、そんな当たり前のことを改めて教えてくれる場所だった。


     ◇


 さらに奥へ進むと、通路は大きな広間へつながっていた。


 天井を支えるように太い石柱が並び、床には崩れた石材がいくつも転がっている。


 壁には古い装飾が残されていたが、その大半は風化しており、何が描かれていたのか分からない。


「……広いな」


 トーマが周囲を見渡す。


「休憩できそうな場所もあるね」


 ユウキが言うと、バルドが頷いた。


「まずは安全確認だ」


 四人は広間を一周し、魔物の気配や不自然な仕掛けがないことを確かめた。


 その後、崩れた石柱の近くで短い休憩を取る。


 ドランは地図を広げ、これまでに歩いた通路を記録していた。


「……思ったより進めたな」


「そうだね」


 ユウキは水を飲みながら答える。


 第三層に入ってから、すでに複数の魔物を討伐している。


 それでも、体力にはまだ余裕があった。


 以前よりHPが増え、身体強化の技能も向上している。


 その変化が、探索中の疲労にも影響しているように感じられた。


「そういえばさ」


 トーマが突然口を開いた。


「俺たち、このまま行けば結構早くDランク冒険者になれるんじゃないか?」


「どうだろうね」


 ユウキは首を傾げた。


「冒険者ランクは、レベルだけで決まるわけじゃないから」


「そうなんだよなぁ」


 トーマが残念そうに肩を落とす。


 バルドが小さく笑った。


「焦るな。実力が上がっても、依頼の達成実績やギルドからの評価は必要だ」


「でも、いつかは上がれるんだろ?」


「ああ。地道に実績を積めばな」


「よし! じゃあ、どんどん依頼も受けようぜ!」


 その言葉に、ドランが苦笑する。


「迷宮探索だけでも忙しいのに、まだ増やすつもりか?」


「だって、強くなってるって分かると楽しいじゃん!」


 トーマは笑った。


 ユウキも、その気持ちはよく分かった。


 成長することは嬉しい。


 数字が増えることも、新しい技能が使えるようになることも。


 だが、それ以上に嬉しいのは、昨日できなかったことが今日できるようになる瞬間だった。


 剣が以前より自然に振れること。


 魔力が思いどおりに流れること。


 仲間の動きに合わせ、迷わず踏み込めること。


 その積み重ねが、確かな力になっていく。


「……僕も、もっと強くなりたい」


 ユウキが小さく呟いた。


 トーマが顔を上げる。


「ん?」


「ううん。何でもない」


 ユウキは笑った。


 だが、胸の奥では一つの決意が静かに燃えていた。


 リナを救う。


 そのためには、まだまだ力が足りない。


 黒震狼のような魔物でさえ、あれほどの脅威だった。


 帝国へ向かうことを考えれば、今の実力では到底足りないだろう。


 それでも、前へ進むしかない。


 強くなるための道があるのなら、一歩ずつ歩いていく。


     ◇


 休憩を終えた四人は、広間の奥にある通路へ向かった。


 そこには、左右へ分かれる二つの道があった。


 左側は石畳が比較的綺麗に残っている。


 右側は壁の一部が崩れ、床には細かな瓦礫が散らばっていた。


「……どっちに行く?」


 トーマが尋ねる。


 ドランは地図を広げ、方角を確認した。


「左は迷宮の中心部へ向かっているように見えるな。右は少し外側へ逸れている」


「じゃあ、左からかな」


 ユウキが言うと、バルドが頷いた。


「そうだな。ただし、さっきみたいな床の仕掛けがあるかもしれん。トーマ、よく見て進め」


「任せろ!」


 トーマは短剣を握り直し、慎重に歩き出した。


 その足取りは、以前よりも落ち着いていた。


 速さだけを頼りに進むのではなく、床の継ぎ目や壁の傷、石材の配置まで確かめている。


 ほんの少し前まで、こうした細かな違いには気づかなかったかもしれない。


 だが、今は違う。


 戦闘も、探索も。


 経験を積むほどに、見えるものが増えていく。


 四人は薄暗い通路の奥へ進んでいった。


 やがて前方から、石が擦れ合うような小さな音が聞こえてくる。


 カリ……カリ……。


 ユウキは剣の柄へ手を伸ばした。


 石鱗獣だろうか。


 それとも、まだ見たことのない魔物だろうか。


 どちらにしても、進むべき道は一つだった。


「……行こう」


 ユウキが静かに告げる。


 三人は頷き、歩幅を合わせた。


 第三層の探索は、まだ終わっていない。


 そして、ネクシアの成長もまた、ここからさらに加速していく。


――第89話 完。

ネクシア最新ステータス一覧


第89話『加速する成長』終了時点


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【ユウキ・コバヤシ】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━


年齢:17歳

冒険者ランク:E

レベル:12(旧Lv.10)

ジョブ:剣士・魔法剣士


【基本ステータス】


HP:122

MP:54

STR(筋力):33

VIT(耐久):27

AGI(敏捷):32

MAG(魔力):24

MND(精神):34

DEX(器用):35


【保有スキル】


剣術 Lv.5(UP)

身体強化 Lv.4(UP)

治癒魔法 Lv.4

鑑定 Lv.3

採掘 Lv.1

掘削 Lv.2

振動感知 Lv.2

嗅覚強化 Lv.2

聴覚強化 Lv.1

霧中感知 Lv.1

魔力付与 Lv.2(UP)

MP回復速度上昇 Lv.1

光魔法 Lv.1

魔力制御 Lv.1


【習得武技:剣術】


Lv.1:二段斬り

Lv.2:斬り返し

Lv.3:三連斬

Lv.4:飛燕斬

Lv.5:五連絶刃(NEW)


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【秘密情報:読者向け】

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※以下は読者向けの公開情報。

※作中では仲間たちに明かしていない情報。


【固有権能】


略奪 Lv.2

成長促進 Lv.1


成長促進は、ユウキ本人だけでなく、同じパーティーに所属するトーマ・バルド・ドランにも適用されている。


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【トーマ】

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冒険者ランク:E

レベル:12(旧Lv.10)

ジョブ:斥候・影刃士


【基本ステータス】


HP:108

MP:31

STR(筋力):26

VIT(耐久):23

AGI(敏捷):46

MAG(魔力):9

MND(精神):22

DEX(器用):40


【保有スキル】


短剣術 Lv.4(UP)

足捌き Lv.4(UP)

気配遮断 Lv.2

影纏い Lv.1

急所看破 Lv.1


【習得武技:短剣術】


Lv.1:双牙突き

Lv.2:影刺し

Lv.3:連影突き

Lv.4:瞬影歩(NEW)


【成長の特徴】


敏捷性と器用さを中心に成長。


第三層の探索では、床の不自然な継ぎ目を発見するなど、斥候としての観察力も向上している。


※罠探知・罠解除は現時点では未習得。


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【バルド】

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冒険者ランク:E

レベル:15(旧Lv.14)

ジョブ:守護者・盾斧士


【基本ステータス】


HP:178

MP:36

STR(筋力):44

VIT(耐久):55

AGI(敏捷):18

MAG(魔力):7

MND(精神):38

DEX(器用):25


【保有スキル】


盾術 Lv.5(UP)

防御姿勢 Lv.3

採掘 Lv.3

斧術 Lv.1

盾斧連携 Lv.2(UP)

衝撃緩和 Lv.1


【習得武技:盾術】


Lv.1:堅守

Lv.2:流盾

Lv.3:盾撃

Lv.4:鉄壁

Lv.5:不動守護(NEW)


【成長の特徴】


HP・VIT・STRを中心に成長。


盾術は基本技能の上限であるLv.5に到達。


今後は上位技能への発展と、盾斧士としての攻防一体の戦闘技術が成長の中心となる。


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【ドラン】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━


冒険者ランク:E

レベル:14(旧Lv.12)

ジョブ:技工士・錬金術師


【基本ステータス】


HP:136

MP:64

STR(筋力):29

VIT(耐久):32

AGI(敏捷):18

MAG(魔力):31

MND(精神):51

DEX(器用):63


【保有スキル】


修理 Lv.4

精密作業 Lv.4

魔導具知識 Lv.4

鎚術 Lv.4(UP)

錬金術 Lv.1

素材鑑別 Lv.2(UP)

MP回復速度上昇 Lv.1


【習得武技:鎚術】


Lv.1:重打

Lv.2:破砕打

Lv.3:震鎚

Lv.4:連鎚撃(NEW)


【成長の特徴】


DEX・MND・MAGを中心に成長。


戦闘による鎚術の熟練に加え、迷宮での素材調査や分析経験が素材鑑別の成長につながっている。


今後は錬金術の習熟と魔導具に関する知識を活かした戦闘支援も期待される。


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【第89話 成長記録】

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■ ユウキ


レベル:10 → 12


剣術:Lv.4 → Lv.5

身体強化:Lv.3 → Lv.4

魔力付与:Lv.1 → Lv.2


新武技:五連絶刃


■ トーマ


レベル:10 → 12


短剣術:Lv.3 → Lv.4

足捌き:Lv.3 → Lv.4


新武技:瞬影歩


■ バルド


レベル:14 → 15


盾術:Lv.4 → Lv.5

盾斧連携:Lv.1 → Lv.2


新武技:不動守護


■ ドラン


レベル:12 → 14


鎚術:Lv.3 → Lv.4

素材鑑別:Lv.1 → Lv.2


新武技:連鎚撃


【魔物図鑑】

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【基本情報】

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名称:石鱗獣《ストーンスケイル》


種族:魔獣・爬虫型


魔物ランク:1


レベル:7


出現場所:灰脈の迷宮・第3層


分類:通常魔物


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【基本ステータス】

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HP:68


MP:10


STR(筋力):18


VIT(耐久):20


AGI(敏捷):13


MAG(魔力):3


MND(精神):7


DEX(器用):11


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【保有スキル】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━


硬鱗 Lv.2


爪撃 Lv.2


壁面移動 Lv.1


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【外見・特徴】

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人の腰ほどの高さを持つ、細長い四足歩行の爬虫型魔物。


灰色の身体には石のように硬い鱗が並び、前脚には鋭い爪が伸びている。


頭部は平たく、細い口の隙間から小さな牙が覗く。


灰脈の迷宮・第3層に存在する、古い石畳の通路や地下施設跡に生息している。


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【戦闘特性】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━


石のように硬い鱗による防御力と、鋭い爪による近接攻撃を特徴とする魔物。


硬鱗 Lv.2によって通常の斬撃をある程度防ぎ、爪撃 Lv.2で敵を攻撃する。


また、壁面移動 Lv.1を持ち、壁面を利用した移動が可能。


ただし、鱗の継ぎ目や関節部分は防御が比較的薄く、正確な攻撃を受けると弱い。


第1層や第2層の通常魔物より耐久力は高いものの、ネクシアの現在の戦闘能力なら十分対処できる相手である。


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【ドロップアイテム】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━


未確認。


※第89話では具体的なドロップアイテムの描写なし。


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【初登場】

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第三章『リーヴェル迷宮探索編』


第89話『加速する成長』


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【討伐記録】

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討伐パーティー:ネクシア


討伐結果:成功


第3層の石畳の通路で遭遇。


トーマが爪撃を回避し、短剣で側面を攻撃。


続いてユウキが剣術 Lv.5による正確な剣撃を繰り出し、硬い鱗の隙間を斬り裂いて討伐した。


その後も第3層の複数の通路で同種の個体と遭遇したが、大きな苦戦なく討伐している。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【備考】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━


・灰脈の迷宮・第3層で初登場。


・第2層の苔背獣よりもHPとVITが高い。


・新たにレベルアップしたユウキたちの実力を示す相手として登場。


・第89話時点で上位種や階層主個体の存在は未確認。


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