短時間勤務・名簿の差
正午、品川の現場写真が会議室へ届いた。一日二時間のアルバイトも二十五回目の勤務後に消える。労働時間の長さではなく、一日を一回として数えるようだった。 労務担当の白石理沙が出勤簿と契約書を照合し、消えた者と残った者の違いを一項目ずつ外していく。
白石は対象者という言葉を慎重に使った。二十四日以下が永続的に安全なのではなく、現時点で残ったという事実にすぎない。
三上は入館記録と端末起動時刻から実出勤日を作り直した。消えた者は二十五日へ達し、残った者は二十四日以下だった。
一日の勤務時間は関係しない。数分の引き継ぎでも業務へ参加した日は一日となり、長時間の残業でも加算は一回だった。
窓の外には、夜勤の明かりを残すビルが無数に並んでいた。その一つ一つに、誰にも数え切れない出勤日が積もっている。
一度消えた者から連絡はない。声、映像、位置情報、遺留物のどれも戻らず、行方不明者名簿だけが長くなった。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ二十五日固定されないよう交代した。
原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために数えているのかという空欄だけが大きくなった。
特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため勤務させることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ二十五日固定されないよう交代した。
原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために数えているのかという空欄だけが大きくなった。
(本文実測:693字)




