届かなかった日・聞き取り
雨の残る新宿で、真壁は入館記録を受け取った。休暇や在宅勤務を挟んだ社員だけが同じ部署に残っていた。暦日ではなく、フロアで業務に就いた日を数えている疑いが生まれる。 刑事の久世晃が上下階の勤務者へ同じ順番で質問する。音、光、振動、臭いの証言はどれも一致しない。
白石は出勤簿だけでなく、入館証、端末、会議記録を照合する。人事上の出勤と実際の業務参加が違う日を分けるためだった。
真壁は勤務回数の多い社員へ出勤停止を勧告した。理由を説明しきれなくても、検証のため危険へ立たせることはしない。
消失者は勤続年数も勤務時間もばらばらだった。ただし対象フロアへ入った回数を並べると、一定の範囲へ集まり始める。
真壁は明日の対象階を予告できなかった。できるのは現場への立入時間を抑え、発生後の記録を失わないことだけだった。
窓の外には、夜勤の明かりを残すビルが無数に並んでいた。そのどこが次に空白になるのか、班には見当もつかなかった。
特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため現場へ立たせることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ固定されないよう交代した。
原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために選んでいるのかという空欄だけが大きくなった。
特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため現場へ立たせることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ固定されないよう交代した。
(本文実測:697字)




