出勤簿・映像の間
新宿の現場は、机上の端末だけが動いていた。分析官の三上奈緒が、消えた社員全員に共通する勤務日数を調べる。入社日ではなく実際の出勤日に偏りがあった。 三上は映像を一コマずつ確認し、停電、通信切断、編集痕を調べる。何も起きていない部分も時刻ごと保存した。
一日の勤務時間を軸にしても共通点はない。短時間勤務と残業者の両方が含まれ、時刻より出勤した日そのものが疑われた。
まだ境目の数字は確定できない。欠けた入館記録を推測で埋めれば、都合のよい規則を作ることになる。
三上は入社日ではなく、入館記録と端末起動時刻から実出勤日を作り直した。残った社員の多くは休暇や在宅勤務を挟んでいる。
廊下の時計が日付を越えても、通報は止まらなかった。班員は現場滞在と担当作業を互いに確認し、同じ役割へ固定されない交代を続ける。
「何を数えているのか」三上が書いた問いには、まだ一文字も答えがない。規則らしきものさえ、次の事例で崩れるかもしれなかった。
原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために選んでいるのかという空欄だけが大きくなった。
特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため現場へ立たせることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ固定されないよう交代した。
原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために選んでいるのかという空欄だけが大きくなった。
特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため現場へ立たせることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。
(本文実測:711字)




