出勤簿
夜明け前、新宿のビルへ規制線が張られた。分析官の三上奈緒が、消えた社員全員に共通する勤務日数を調べる。入社日ではなく実際の出勤日に偏りがあった。 真壁は到着直後に階段とエレベーターを封鎖し、入館者名簿を確保する。班員は必ず二人一組で動いた。
消失者は勤続年数も勤務時間もばらばらだった。ただし対象フロアへ入った回数を並べると、一定の範囲へ集まり始める。
白石は出勤簿だけでなく、入館証、端末、会議記録を照合する。人事上の出勤と実際の業務参加が違う日を分けるためだった。
真壁は勤務回数の多い社員へ出勤停止を勧告した。理由を説明しきれなくても、検証のため危険へ立たせることはしない。
会議室の壁には、消えた人の写真ではなく確認済みの条件だけが貼られた。家族へ返せる答えがないことを、真壁は毎晩思い知らされる。
「何を数えているのか」三上が書いた問いには、まだ一文字も答えがない。規則らしきものさえ、次の事例で崩れるかもしれなかった。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ固定されないよう交代した。
原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために選んでいるのかという空欄だけが大きくなった。
特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため現場へ立たせることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ固定されないよう交代した。
原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために選んでいるのかという空欄だけが大きくなった。
(本文実測:703字)




