止まらない暦・夜の記録
渋谷の朝、特別班へ一本の通報が入った。休職期間も退職期間も日数を消さない。数えているのは連続勤務ではなく、同じ業務へ参加した日の累積だった。 会議の最後に確定、推定、不明を三列へ分ける。現象へ名前を与えず、見た事実だけを次の班へ残す。
一年の空白も記録を消さない。退職期間中は増えなかったが、同じ仕事へ戻った日から残りの日数が再開した。
休職、退職、海外滞在の間に消失は起きていない。現象は人を追い続けるのではなく、業務参加を再開した時だけ数える。
白石は過去の勤務履歴を破棄しないよう企業へ求めた。忘れた日数が、復帰した本人へ予告なしに戻ってくる。
会議室の壁には、消えた人の写真ではなく確認済みの条件だけが貼られた。家族へ返せる答えがないことを、真壁は毎晩思い知らされる。
廊下の時計が日付を越えても、通報は止まらなかった。班員は勤務回数を互いに確認し、同じ業務へ固定されない交代を続ける。
特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため勤務させることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ二十五日固定されないよう交代した。
原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために数えているのかという空欄だけが大きくなった。
特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため勤務させることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ二十五日固定されないよう交代した。
(本文実測:687字)




