別会社の朝・夜の記録
渋谷の朝、特別班へ一本の通報が入った。二十日勤務後に退職し、翌日から別会社へ入った社員が五日目に消える。会社を越えて日数が引き継がれた。 会議の最後に確定、推定、不明を三列へ分ける。現象へ名前を与えず、見た事実だけを次の班へ残す。
二十日を越えた後の転職では、同じ業務へ入った日だけが続けて数えられた。会社間に資本関係がなくても結果は変わらない。
仕事内容がまったく違う者は残る。顧客、資料、工程、成果物のどれが一致すれば同じ業務になるかを班は比較した。
二十日という数字は消失の境目ではなく、別会社へ移った後も追跡を確認できた最小の旧勤務数だった。
一度消えた者から連絡はない。声、映像、位置情報、遺留物のどれも戻らず、行方不明者名簿だけが長くなった。
会議室の壁には、消えた人の写真ではなく確認済みの条件だけが貼られた。家族へ返せる答えがないことを、真壁は毎晩思い知らされる。
特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため勤務させることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ二十五日固定されないよう交代した。
原因を示す物質も装置も信号もない。規則らしきものが増えるほど、それを誰が何のために数えているのかという空欄だけが大きくなった。
特別班は現象を再現する実験を行わない。危険が疑われる人を検証のため勤務させることは、捜査ではなく犠牲を選ぶ行為になる。
消失者はチームの外にいる。班員は現場へ入るたび滞在と作業内容を記録し、同じ役割へ二十五日固定されないよう交代した。
(本文実測:680字)




