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プロローグ
『今月のメレー、優勝者はーーー』
実況の声に合わせて、大型モニターに1人の青年が映し出された。
少し癖のある黒髪に、使い込まれた装備を身につけている。
激しい乱戦を勝ち抜いたはずなのに、目立った傷は見当たらない。
ただ息だけが少し上がっていて、本人は状況が分かっていないかのようにきょとんとしていた。
『ーーー120番!!ロック・レオンハート選手ぅぅ!!』
声が弾ける。
その瞬間、観客席が一斉にどよめいた。
青年は歓声に驚き、少し遅れてぺこりと頭を下げる。
それがまた、観客の笑いと歓声を呼ぶ。
この日、メレーを制した青年の名は一夜にして広まることになる。
だがーー
ほんの数日前まで。
ロック・レオンハートは山奥で1人暮らす無名の青年だった。




