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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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54話

「はぁ? 何が小レティちゃんやねん。 そんなアホみたいなこと……」

「何いってんだ、アホそのものがレティだろ。」

「うむうむ。 はぁ?」

驚愕なのか困惑なのかジルベロの表情はさっきまでの余裕を浮かべるものではない。

レティのノリツッコミも良い塩梅だ。


わかる、わかるよ、ジルベロ君。

だが、コイツはこういうやつなんだわ。


「人間が小さくなってえぇわけないやろ!」

「小さくはなっとらんよ、分けただけじゃ。 ちゃんと本体の方は6/8サイズのレティちゃんじゃよ。 気付かんかったかのぅ。」

「約分ぐらいしろや、この低能が!」

「まぁ、そんなイラつくなよ。 今までみたいにヘラヘラしとけって、小物君。」

「のぅのぅ、約分って?」

レティが小声で聞いてくる。

ちょっと、今、カッコいい流れなんだから少し黙っときなさいよ。

馬鹿がバレるでしょ!

「最初から全面的にお前を信じてはいなかったんだよ、顔が悪いからな。 あ、別にブサイクとは言ってねぇぜ?」

「作戦の決行まで時間があったからの、色々と仕込んでおいたのじゃ。 まぁ、全てワシという全知全能の神がいてこそじゃがの。」

約分を知らないんじゃなかったっけ?

蒙昧って言葉も知らんし、とりあえず全知さんに謝っとけよ。


「神……やと?」

「まぁ、お前の言う通り、少なくとも人間は1/8サイズのなったりしねぇよ。 良かったな、正しい見識をお持ちのようで。」

「じゃが、その見識ではワシという器を測りきれんかったようじゃ。」

「残念だな。」

「うむ。」


自分の計画が崩れはじめる音を聞いているのかこっちの言葉を拾う耳はないらしい。

ジルベロはしばらくの逡巡のあと、ようやく気を取り戻したのか自分の手に持つ武器をこちらに向ける。


「お前らに付き合う方がアホらしいな。 ここで処理すればえぇだけの話や、なんも変わらん。」

「お、やっと思考が回ってきたな、偉い偉い。

だけど、まだまだ追いついていないぜ?」

「回転力をあげるのじゃ!」

レティが胸の前で腕をクルクルと回している。

人を逆上させるダンスだ。

いいね!


「後ろ髪を引かれるところだが、俺たちは御暇するわ。」

「予定が詰まっとるからの。 ローザ、ワシらがついとる、大丈夫じゃ!」

「だから逃さんって言ってるやろが!」


ジルベロの銃からグレネードが発射される。

音と光が唸りをあげ、爆煙があたりを覆う。


立ち籠める粉塵の中から声が響く。

「お前とのやり取りは割と気に入ってたんだぜ。 今度会うときは敵でないことを祈るわ。」


視界が戻り、ジルベロが目にしたものは破壊された金属片が散らばる床だけ。

そこにはミルズたちの姿はなかった。


その光景を、ジルベロはただ見つめていた。


「どうなっとるんや……」

逃げられたのか? 姿を隠しているだけか?

魔導兵装の索敵機能は沈黙している。

それは彼らがすでにここにいないことを示していた。


すると今度はモニターからけたたましい戦闘音が鳴り響く。

そこにはさっきまで目の前にいた3人とバラバラに行動していたはずの残りのメンバーが映っていた。

彼らは魔導兵装を蹴散らし掻き分けながらティアーゴの元へと一直線に進んでいた。

「どうなっとるんや……」


ジルベロは思わず笑ってしまう。

自分の想像の範疇を超えためちゃくちゃな展開に計画を台無しにされたことなど、どうでも良くなってしまった。


「兄さんら、それはないで、ほんま……」

魔導兵装の座席の中で胡座をかき肘を立てるジルベロ。

呆れながらも紫炎の誓いとの戦いで彼らのポテンシャルを見誤っていたことを認識する。


小レティちゃんのことは置くとして、このままミルズと戦闘になっても結果が厳しいことは理解していた。

この新型の魔導兵装を以てしてもミルズとの勝敗は良くて五分といったところだろう……


「敵でないことを祈る……か。 僕も兄さんのことはわりかし好きやったで。」


ジルベロの人生は裏切りの連続だった。

結果、ありとあらゆる罵詈雑言を浴びせかけられ怨嗟を向けられてきた。


今回のも件も酷い裏切りだ。

人として許されない行為であるにもかかわらず、ミルズは怒るでもなく変わらずにいた。


おかしな人間もいたもんや、そうジルベロは独白しモニターを見つめていた。


「ただまだ終わってはおらんのやで、兄さん。 帝国と共和国の戦争は今から始まるんや。 国境にはアレが配備されとるからな……」


敵と味方、立ち位置は変わりそうもない。

そんなもんやとため息とともにジルベロは自分の中に芽生えた新たな気持ちを押し流したのだった。




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