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女神と転生〜ポンコツ女神と父娘が最強へと至る道〜  作者: 荒頭丸


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52話

もうすぐ定刻、あとはまわりを信じてゴーだ。


「ローザ」

俺の声に頷き、最後の仕上げにかかる。

これから起こることの引き金を自分で引くことになるローザは怖れるように制御盤に触れる。


気休めになるかわからんけどもう一度……肩に触れる。


うしろから空気の漏れるような音が聞こえたから、振り返ると扉の中からジルベロが出てくる。


「なんじゃ、その格好! それがあれか、噂の魔導兵装か! 思ったよりゴツいな!」

異世界ファンタジーらしからぬスチームパンクな世界観の魔導兵装。

鈍重なイメージだったけど移動は滑らか。

だけど足音だけが兵装の重みを表していて、底知れぬパワーを感じる。


男の子ってこういうのが好きなんでしょ?を詰め込みやがって!

あとでお願いして乗せてもらおう。


「あぁ、さっき言うてたイレギュラーの対策や、気にせんといて。 それよりもほら、上見てみ。」


もっと自慢するかと思ったら、ジルベロは案外あっさりと話題転換。

イレギュラーとやらが関係してるのか?


ジルベロの言うとおりに見上げると自分にはそこには割と見慣れたものがあった、所謂モニターだ。


「これも最近作られた映像を再生する技術やねん、リアルタイムで起こってることを映し出せたりするんやで。」

そこは自慢気なのかよ、意味わからんな……


モニターには軍事演習の様子が表示されていた。


魔導兵装の隊列が仮定の戦場を飛び回り、爆撃したりクソデカい斧を振り回したりとその様子を映し出している。


ローザは無言で祈るようにそのモニターを見つめている。

兄貴のことが心配で最新技術とかどうでもいいんだろう。

俺は軍事演習には心動かされるものがあったが、モニターは見慣れているからそれ自体はどうでもいい。


「なんや自分ら…素っ気ないなぁ。 これから一大スペクタクルショーが見られるっちゅーのに……」


ジルベロの声が少し上ずる。

その表情は外装ごしに一部しか見えないが、何やら楽しそうだ。


「さぁ、時間や。 やったって!」

高鳴る気持ちが抑えられないのか上ずった声が一段と大きくなる。


ローザが制御盤に魔力をしばらく走らせたあと、そっと手を離す。

「終わりました。」


特に見た目上の変化はない。

まさか失敗か? レティんとこがめちゃくちゃやってたからあり得ない話ではないが……


けどアイツはこういうところしっかり締めるから大丈夫だとは思うんだけど。


そんなことを考えていたらモニターの向こうに動きが!


いや、違う。

動いていないんだ……


魔導兵装が!


土煙やら炎は映像の中で動いていることからリアルタイムのものだと認識出来る。

その中を魔導兵装だけがまったく動くことなく静止している。


「成功やな!」

ニヤリと笑うジルベロ。

ホッとするローザ。


メイんとこもちゃんと作戦を遂行出来たようで父としては一安心だ。


他の魔導兵装よりも先んじて中から兵士が出てくる一団があった。

手には盾と剣、背中には銃を背負い、一目散に一つの場所を目指して走っている。


「始まったで!」

彼らが目指しているのは演習を見に来ていた軍と政府のお偉方がいるブース。


護衛の魔導兵装は沈黙したままで役に立たず兵士たちはあっという間にその場を制圧した。


モニターの映像がブースへと切り替わる。


剣を構えた一人の兵士が一歩前に進み、何やらお偉方に向かって話している。


感情に任せることもなく、ただ淡々と語るその姿には確固たる意志が宿っているように見える。


「ここからが見せ場や……」

コンソールを操作しているジルベロの横、ローザが震えている。


「兄さま……」


彼がティアーゴか。

ローザの兄らしく、金髪で背が高い。

角度的にに顔は見えないけど、ローザにはわかるらしい。


彼女の表情から感情を読み取ることが難しい……


喜んでいるのか懐かしんでいるのか、ひたまた心配なのか、あまりに複雑なそれはローザの表情を奪ってしまっているようだった。


雑音混じりのティアーゴたちの音声が室内に流れる。


「法とは、すべての人々に平等なものです。


けれど今、この国の法はどうなっているでしょうか。

力なき者を苦しめる刃となり、金と権力を持つ者を守る盾となっている……


私は軍人です。

法に従い、命令に従い、国を守る立場にありました。


けれど、その命令の先にあったのは、 民を守るための戦場ではなく、権力者の都合を守るための死地でした。


求められているのは平等な法と税制度です。


兵は使い捨てられ、平民は数字にされ、

富は循環せず、上へ上へと吸い上げられる……

今の環境は間違っています。


私は法の中で正そうとしました。 何度も、何度も。


だが、法そのものが腐敗している以上、法に従う限りにおいて、何も変えられなかった。」


「だから暴力で私たちを糾弾すると言うのか。 それでは我々と何も変わらないのではないのかね?」


「その指摘は正しい、だから私は兵たちから賞賛されるような英雄ではないのです。 ただの反逆者です。」


「その反逆者さんは、これからどうするのかね?」

「あなたたちから国を盗る。」

「ははは、それは大変だ。 ひょっとして我々は危ない立場にいるのではないかね?」


お偉方たちはティアーゴに向けて冷たい笑いを向ける。

妙に冷静だ。

状況的にはすでに敗北、詰んでいる状態のはず。

それなのにコイツラの落ち着き方は腑に落ちない。


「そうやって人を見下し、その人の道すら己のものと考える! 私はそんなあなたたちが許せないのですよ!」


今まで冷静であったティアーゴが感情を爆発させる。

モニター上ではその表情は確認出来ない。


だが、そこには彼がここに至るまでの経緯と覚悟が滲み出ている……そんな風に感じた。


「連行しろ!」

「はっ!」


ティアーゴの命令で兵士たちが動き出しお偉方にその手をかけようとした時……


銃声が鳴り響いた。




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