表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
20/24

ミーシャ②

遅くなりましてすみません汗


「えっ? 待ってくださいシャロンさん、それはおかしいですよ」


 先に反応したのはルチアだった。

 私がミーシャと呼んだことに不審げに眉を顰めている。


「だってこの二人ってその、仲間、だったんですよね? こんな意味の分からないことするわけないと思うんですけど……」


 そしてミーシャはオーディンを振り返る。ルチアの目には死んだような目付きの彼が映っている。

 この状況をミーシャが作り出しているのはおかしいと、そういうことだろう。それは私も同じ意見だ。  

 だが目の前の女は確かにミーシャ本人だ。

 そして私達を……正確には私を狙って誘い込んだ。


(アルファルドの時も思ったけど……やっぱ ()()()()()んだな……)


 目が似ている。彼女はそう言った。それはつまり私が妹だと知っていた、ということだ。

 兄貴が喋ったか。それとも。


「絶対に来るって言ってたもの。エルザちゃんは」


 はっとなってミーシャを振り向く。


「絶対にあなたは来るって。お兄ちゃん大好きだったんでしょ?」

「……」

「だから私達、待つことにしたの。あの下宿屋に行くためには絶対ここを通らなきゃならないから、通るならここだろうって待ち伏せしてね」

「……なんのために」


 訊くと、ミーシャは嗤った。


「私達がこのままで終わらせると思ってる?」


 悪辣な笑みを浮かべる。そこで私は今更のように気付いた。

 私達が彼女の嘘に気付けなかったのは、その中に真実も含まれていたからだ。つまり、傷という名の真実が。

 自分で自分を傷つけたのではない。そもそもきっとそんな性質たちじゃない。


「私達だけこんなひどいことされて。悔しいじゃない。そもそも悪いのはあいつなのに。なんでその妹のあんたがのうのうとしてるわけ?」

「そんなのただの逆恨みじゃ――」

「だって私何も悪いことしてないのに」


 ミーシャは言い切った。階段の上で、香を纏わせながら、顔つきだけが幼い。 


「だって悪いのはあいつとエルザちゃんじゃない。あの魔術を作ったのも、あいつの死体を捨てようって最初に言い出したのも全部エルザちゃんなのよ? ほら――私何か悪いことした? してないよね」

「おいおい……」

「そりゃあオーディンとかはしょうがないと思うわよ? 実際に殴ったりしてたわけだし――でも私止めたもの。そういうことはしない方がいいって」  


 不愉快に眉をひそめる。

 どうもこいつは本気で言っているらしい。

 ここで私を挑発する理由が一切ないからだ。


「兄貴が惚れた女だっていうからどんなのだと思ったら……」

 

 遺書の言葉は正しかったようだ。

 空っぽな女。確かにそんな印象を受ける。

 

「アンタの逆恨みなんか知らないよ。というか、悪いのはそもそもアンタだろうが。エルザだけが悪いなんてことはありえない」

「だからぁ、それが理不尽だって言ってんの! 私、本当にあいつのこと殴ったりしてないのよ? いつも殴ってたのはオーディンとかアルファルドとかだし。計画したのはエルザちゃんだし。私関係ないもん」

「へー。で、アンタはのんびり見てたのか?」

「……だってしょうがないじゃない」


 何がしょうがないんだ。


「でもあいつは私のこと好きだったし、きっと怨んでないし……それなのに皆私のこと――」

「なんかアンタさっきからずーっとそればかりだな」


 正直相手にするのもどうでもよくなってきていたが、言葉にしてやることにする。言わなきゃすまないことというのも中にはある。


「『私は悪くない』って、それしか言えないのか? そりゃあアンタは手出しはしてないんだろうよ、アンタは自分じゃ殴らないタイプだ――でも兄貴が殴られてるのを()()()()()()んじゃないのか?」

「別に……笑ってとかじゃないけど」

「どっちでもいいよ。……兄貴も女を見る目が無いね。確かに空っぽには間違いないが」

「――ッ! ちょっと! 何よその言い方! 私――」


 何か叫んでいるミーシャを無視して、その横を通り過ぎようとする。妨害されかけたが、まあ、彼女程度に捕まるほど弱くはない。


「私は悪くないのに!! なんでみんなして――」


 後から追いかけて来たルチアは少し笑っていた。明らかな嘲笑の部類だった。


「……あの人、一生あんな感じなんでしょうねえ」

「そうだね。これまでもそうだったんだろうし、これからもずっとそうなんだろう。……兄貴は優しいから、あんな女でもどうにかしようと頑張ったんだろうけど」


 遺書を少しだけ思い出す。


「私は優しくない。あんな奴どうなろうとどうでもいい」

「そうですねえ。シャロンさん、結構ドライなところがありますから」


 こんなところ早く出るに越したことはない。臭いし。

 ここから出たら美味いものでも適当に食べよう。そうだこの石造りの街は、ダンジョン前の冒険者街だからか食べ物も美味いと聞く――そう思って入口に向かう。


 その背後から悲鳴が聞こえた。

 無視したかったがルチアが振り向いたので振り向く。

 その先にあるものを見て舌打ちをしかけた。ここから出るのはもう少し先になりそうだ。











⭐︎読者のみなさまへ大切なお願い⭐︎


お読みいただきありがとうございます。


拙作を面白かったと思っていただけたら、画面下部の☆☆☆☆☆を星で評価いただけるととてもうれしいです!!


まあ評価してやってもいいか、と思っていただける方。2、3秒で終わりますので、どうかお時間をいただけると幸いです!


今後作品を作っていく上での大きなモチベーションにもなります!


また、ブクマしても良いぞ、という方がいらっしゃいましたら是非いただけると幸いです!

これからも作品づくり頑張ってまいります。

よろしくお願い致します。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押していただけると作者への応援になります!

執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼▼▼元々の短編こちらです。是非どうぞ▼▼▼

あるギルドメンバーの遺書


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ