あの日の記憶
このステージに立ったからには絶対勝つ
ずっと立ちたかったこのステージに、私たちは今いる
思えばここまで大変だった。私たちのスクールアイドル部は、決して強豪というわけではない。でもだからこそ勝って、このステージで結果を残したい。センターを任された私はそう思っていた
「よし、みんないくよ!」
「「「おー!」」」」
私たちスクールアイドル部は、重ね合った手を天高く上げた
そして迎えた本番
大丈夫、ただいつも通り完璧に踊ればいいだけ
そのはずだった
(あれ?)
どういうわけか、自分のステップがおかしくなっていく感覚に襲われる
どうしてこうなってるのか、自分でもよくわからない
段々、観客の目線が自分に集中するのを感じる
(なんで、ただ完璧に踊れば、そうすれば上手くいくのに)
あれ、
(次の動きってどうだったっけ)
そしてとうとう、体が言うことを聞かなくなった
泣いた。ただただ、泣いた
勝てば、何も取り柄がない私も、きっとみんなから認めてもらえると、信じていたから
でも、ダメだった
しかも、大事な最後の大会で、私は大きな失敗を犯したのだから
きっともう、私には輝く資格がない
それから私は部活の連絡を見なくなり
気づけば制服に袖を通すことも出来なくなっていた
…
「佐倉さん」
あれからどれくらいの月日が流れたのだろう。暑かった窓からの日差しも、気づけば冷たい季節になっていた。私は久しぶりに聞く声に顔を上げる
「あ、」
そこには、担任の先生がいた
「大丈夫?」
私はその優しい表情に再び泣き崩れてしまった
「せんせい!せんせい!わだじ、わだじぃ」
「ごめんね、何もしてあげられなくて」
謝りながら私を抱き、頭を撫でられる
「だいじょうぶでず、わだじがわるいがらぁー!」
「ううん、あなたは悪くないよ」
「でも、でも〜!!!!」
「佐倉さんは、歌うのはまだ好き?」
「ずぎでず!だいずぎにきまってるじゃないでずが〜!!」
私は先生の胸元で大声で叫んだ
「ほら、そうじゃん。あなたは歌が嫌いになった訳じゃないんでしょ?」
グスッ、グスッ
私は無言で頷いた
「佐倉さん、大きなお世話かもしれないけど、先生から提案があるんだ」




