あの日の恐怖
気づけば、曲が終わっていた
「ふ〜、疲れた」
エルナ先輩が額の汗をタオルで拭う
「……」
私は、何も言えずに立ち尽くしていた
「まあ、まだ本番まで時間あるから」
俯いている私に、しおり先輩が声をかける
「ゆっくり、みんなで良くしていこ」
「……はい」
自信のない声が、自分でもはっきりと分かるほど小さく響いた
...どうして、あんなふうになってしまったんだろうか
部活が終わって家に帰り、制服のままベッドに倒れ込む
ボフッ
シーツに顔を埋めると、微かに洗剤の匂いがした
それだけで、胸の奥がキュッと縮まる
(...ちゃんとやらなきゃ)
そう思っていた
みんなみたいに、楽しそうに踊りたかった
足を引っ張りたくなかった
なのに
曲が流れた瞬間頭の中が真っ白になって、体が固まってしまった
間違えたらどうしよう
リズムを外したら、みんなの足並みを乱してしまう
自分のせいで、誰かの努力が台無しになるかもしれない
その考えが、足を縛った
(……また、だ)
布団の中で、小さく息を吸う
胸の鼓動がうるさい
視界の奥で、別の光景がちらついた
——暗い会場
——張り付いたような静けさ
次のステップをしようとした瞬間、足が固まって、喉が詰まり、息だけが漏れる
客席がザワつく
(誰かを不安にさせている)
そう思った瞬間、呼吸が浅くなり、胸の奥がざわざわして落ち着かない
目を閉じても、あの頃の映像は消えてくれなかった




