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童話

見えない目

作者:
掲載日:2018/01/30

 読みにくいとは思いますが、児童向けにあまり漢字は使わず、漢字全てにルビが振ってあります。ご了承下さい。


「はぁー、ちっとも(ねむ)れないや。」


 ここは、ある(やかた)()ども部屋(べや)。そのベッドの(うえ)で、もうすぐ十歳(じゅっさい)になるホトリが、ため(いき)をつく。


 ただ(いま)時刻(じこく)は、真夜中(まよなか)〇時五分前(れいじごふんまえ)


 たいていの十歳(じゅっさい)()どもならば、この時間(じかん)(ゆめ)(なか)。しかし、ホトリは昼間(ひるま)()ているため、まったく(ねむ)くならない。それというのも、ホトリは()()えないので、昼間(ひるま)でも()暗闇(くらやみ)(ねむ)たいときに()ているといったふう。(ひる)(よる)かは、(おと)やにおいで判断(はんだん)していた。

 この(ひろ)(やかた)に、ホトリは母親(ははおや)二人(ふたり)だけで()んでいる。ホトリにとって母親(ははおや)だけがたよりだった。


 大広間(おおひろま)にある柱時計(はしらどけい)〇時(れいじ)をつげる。


 その(おと)(かさ)なって、部屋(へや)()(ひら)(おと)()こえた。


(かあ)さん?」

「ホトリ、()きてる?」

「うん。どうかしたの?」

「お誕生日(たんじょうび)おめでとう、ホトリ。十歳(じゅっさい)になったのね。」

「うん。」

「はい。(かあ)さんからのプレゼントよ。」

「ありがとう。」


 手渡(てわた)されたのは、ただの(ちい)さな木箱(きばこ)だった。


()けてみて。」


 ホトリは、母親(ははおや)()われたとおりにフタを()けた。しかし、(なか)には(なに)(はい)っていなかった。


(かあ)さん、(なに)(はい)っていないよ?」

「いいえ。その(なか)には、魔法(まほう)(はい)っていたのよ。さぁ、()()けてごらんなさい。」

「ムリだよ。(なに)()えないのにどうやって()()けるの?」

「まぶたを()げてごらんなさい。(いま)まで()えなかった世界(せかい)()えるでしょう?」

「むずかしいよ。()()けたことなんてないもの。」

「こわがらないで。世界(せかい)(うつく)しいものでいっぱいよ。さぁ、ゆっくりと()()けて。」

 

 (いま)まで一度(いちど)()いたことのなかった、ホトリの()自然(しぜん)(ひら)かれていった。


(かあ)さん。()えるよ。ぼく、()()えるよ。」

 

 ホトリの()から、(おお)つぶの(なみだ)があふれ()てきた。


「あれ、せっかく()えたのに、ぼやけてうまく()えないよ。……(かあ)さん?」


 突然(とつぜん)母親(ははおや)はホトリを()きしめた。ホトリはおどろいて(なみだ)()まった。


(かあ)さん、()いているの?」


 母親(ははおや)(なみだ)水晶(すいしょう)のつぶになって、(ゆか)へとおち、ちらばった。


「ホトリ。(かあ)さん、もう()かないといけないの。」

「どうして? どこに()くの? ぼくはいっしょに()けないの?」

「ごめんなさい。」

「いやだよ。」

「ホトリ、(つよ)()きなさい。どこにいても見守(みまも)っているから。」


 そのことばと水晶(すいしょう)のつぶとなった(なみだ)をのこして、母親(ははおや)()えた。

 ホトリは、()かなかった。かなしさよりも、なぜ母親(ははおや)()えてしまったのかという、疑問(ぎもん)のほうが(おお)きかったからだ。ホトリは()見開(みひら)いて、母親(ははおや)がくれた木箱(きばこ)をじっと()ていた。そうしながら、むかし、母親(ははおや)()っていたことを(おも)()した。


『ホトリ。(かあ)さんね、あなたが()まれたとき、魔法使(まほうつか)いに()ったのよ。その魔法使(まほうつか)いがふしぎな(はこ)をくれたの。いつかその(はこ)()せてあげるわね。』


 その(はなし)()いたとき、ホトリは(はこ)よりも魔法使(まほうつか)いに興味(きょうみ)をもち、その魔法使(まほうつか)いに()ってみたいと(おも)った。そのときの(はこ)(いま)()(まえ)にある。ホトリは、その魔法使(まほうつか)いに()えば、母親(ははおや)()えてしまった理由(りゆう)()かるかもしれないと(おも)った。

 さっそく、ホトリは水晶(すいしょう)のつぶをひろい(あつ)めて木箱(きばこ)にしまい、(たび)支度(したく)をはじめた。




 支度(したく)()わったホトリは、魔法使(まほうつか)いをさがすたった(ひと)つの()がかりである木箱(きばこ)を、大事(だいじ)そうに(かか)えて()()がった。


「さぁ、出発(しゅっぱつ)するか。」


 (まど)からうす()がさしてきた。


「もう(あさ)か。」


 するとそのとき、(きゅう)にホトリの()(まえ)()(くら)になった。ホトリの()は、また()えなくなってしまったのだ。


「どうして?」


 ホトリは、()きたいのを必死(ひっし)にこらえた。(あたま)(なか)はグチャグチャで、「真夜中(まよなか)にあったことは、すべて(ゆめ)だったのではないだろうか?」と、そう(おも)いながら(ゆめ)(なか)へとおちていったのだった。




 ホトリが()をさますと、部屋(へや)(くら)くなっていた。


「もう(よる)か。」


 ホトリは(おお)きく()びをして、あたりを()まわした。すると(まど)からキラキラとかがやく星空(ほしぞら)()えた。


「あれ? ()()える!? (ゆめ)じゃなかったんだ……。」


 まだ十歳(じゅっさい)のホトリは、必死(ひっし)()がっていた。けれど、ひとりぼっちのさびしさに、とうとうたえきれなくなってしまった。(こえ)()なくなり、(なみだ)()まらない。

 ホトリが()いていると、()(まえ)にふしぎな光景(こうけい)(ひろ)がった。(なみだ)銀色(ぎんいろ)にかがやき空中(くうちゅう)(ひろ)がった。まるで(ほし)のようにキラキラと(ひか)っている。()がつくと(なみだ)()まっていた。


()()んだようね。」


 突然(とつぜん)、ホトリの(まえ)一人(ひとり)少女(しょうじょ)があらわれた。


「あら、おどろいた(かお)をしてどうしたの? わたしに()いたかったのでしょう? もっとうれしそうな(かお)をしたらどう?」

 

 ホトリは(くち)(おお)きく()けたまま、(こえ)()せないでいた。


(こえ)()せないみたいね。それ。これで(こえ)()せるようになったでしょう?」


 少女(しょうじょ)は、小枝(こえだ)魔法(まほう)をかけた。


「あなたは、もしかして魔法使(まほうつか)い?」

「ええ、そうよ。()調子(ちょうし)はどう?」

「それよりも(かあ)さんは? (かあ)さんにはもう()えないの?」

「あなたのお(かあ)さんは、あなたの(なみだ)みたいにお(そら)でかがやいて、ずっとあなたを見守(みまも)っているわ。」


 二人(ふたり)(まど)(そと)(ひろ)がる星空(ほしぞら)()()けた。


「ごめんなさい。わたしの魔法(まほう)未熟(みじゅく)だったから、あなたの()(ひる)()えなくなってしまったの。そのかわりに(よる)になれば、ほかの(ひと)には()えない(こころ)(なか)まで()えるはずよ。」

「そんなのいらないよ! お(ねが)い、(かあ)さんを(かえ)して!」

「それはできないわ。あなたのお(かあ)さんは、あなたを()んだときにはもう(ちから)つきていたのよ。それをまだ魔法使(まほうつか)いの見習(みなら)いだったわたしがたまたま()つけて、あなたのお(かあ)さんの希望(きぼう)をできるかぎりかなえてあげたの。あなたの()とひきかえに十年分(じゅうねんぶん)(いのち)をあげるという約束(やくそく)でね。十年(じゅうねん)たったら()はそっくりそのまま(かえ)すはずだったけど……。ほんとうにごめんなさい。」

「そんな……。」

()ちこんじゃダメよ。お(かあ)さんのことばを(わす)れたの? あなたにはたくさんの可能性(かのうせい)がひめられているのよ。それを(わす)れないで。もうすぐ(あさ)()るわ。わたしは(かえ)るけど、あなたはひとりじゃないからね。その()世界(せかい)()てごらんなさい。きっとすばらしい世界(せかい)(ひろ)がっているから……。それじゃあ、バイバイ。」


 (まど)からうす()がさしこんできた。

 ホトリの()は、また()えなくなった。

 (つか)れきっていたホトリは、()さぐりでベッドへ()き、木箱(きばこ)(かか)えて(よこ)になった。そして、小鳥(ことり)のさえずりを子守(こもり)(うた)にして、(ちい)さな希望(きぼう)(むね)(ゆめ)世界(せかい)へと旅立(たびだ)っていった。


 

 






 


 おみくださり、ありがとうございます。


 十年以上前に書いた作品です。

 児童に分かりやすい表現を考えるのは、思った以上に難しかったです。未熟な証拠ですね。

 

 この作品は、続きが思いつかず強引に終わらせてしまったので、リサイクルに出そうか悩んでいます。

 リサイクルにご興味のある方は、↓までどうぞ。

 https://ncode.syosetu.com/n0888en/

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