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第35話 打ち上げと喜び

文化祭が終わり、園芸部全員で食べ放題のレストランに向かう。1人2500円だから全員で合計二万円也。いやー楽しみだ。ガッツリ食うぞ。


自転車を押しながら歩く。徒歩で15分くらいの場所だ。雑談しながら歩いていたがやはりあのことの話になる。


「大変なことになったらしいね。久川君かなり怒ったって聞いたけど。」

「私も聞いたわ。とんでもない連中よね、他校に来て昔のことを馬鹿にして言いふらすなんて。」

「ほんとだよね〜。私でも許せないよ。早坂さん、よく我慢したね。」


先輩方達も不快感を露わにしている。平本先輩は早坂さんをコケにされたと聞いた時目つきがかなり鋭くなったほどだ。あの場にいたら毒舌と皮肉をかましてただろう。


「その学校が停学か退学にしなかったら抗議するわ。あぁ言う人間ってつけあがるから。」

「…お、落ち着いてください。」

「まぁまぁ。僕も腹立ってるけど打ち上げは楽しくやろう!中に入るよ。」


瀬戸口先輩が宥めて店内に入る。家族連れ、スポーツ関係のクラブだろうか、監督らしき人と親子連れで30人くらいきて並んで料理を摂りまくっている。おれたちもしっかりと8人座れる席で、食べ物を撮りに行き選びまくる。

唐揚げ、寿司、カツ、ピザ、パスタ、ポテトとにかく選びまくる。


「お前凄いな。めっちゃ食うじゃん。」

「食べ放題ですから。食いますよ俺は!」

「野菜がないよね!?」


バランスを選んだ中村は驚き清水先輩も流石に頭を抱えている。なにをいうか、野菜あるじゃん!ジャガイモが!


「野菜あるじゃん。ジャガイモという名の。」

「その理屈はおかしいよ!?青野菜も食べなよ!」

「食べ放題じゃい!俺の好きなものを食べる!肉は心の癒しであろうよ!」


ええい、好きなものを選んで何が悪い!瀬戸口先輩が笑顔で問答無用でキャベツの千切りとレタスのサラダを持ってきました。そんな理不尽な。


食べ物を選び終わった後ドリンクバーでジュースを取って席に座り、瀬戸口先輩が乾杯の音頭を取る。


「文化祭お疲れ様!乾杯!」

「「「「「「「乾杯!」」」」」」」


全員でグラスを掲げ、軽くぶつけるとカチャン!と音を立てる。キンキンに冷えたコーラを喉に流し込む。うん、美味い!最高だ。


やはり唐揚げとポテトの組み合わせは最高だ。


「うーん、このジャンキーな組み合わせがたまらん!ビールが飲めりゃ最高なんだがな。」

「未成年だよね!?」

「な、何を言ってるんだお前!?」

「大人になったらわかる味ってやつですよ。間違いなく最高ですわ。」

「俺は後3年後だもんな〜。飲んでみたいっちゃ飲んでみたいけど。」

「僕は再来年か、父さんが飲んでるから興味あるんだよね。」


真面目だな。まぁ俺もそんなに飲まないけど。たまーに居酒屋に行って飲むくらいだったけど。会社の忘年会とかな。


「本当に楽しかったね!」

「ええ、早坂さんも山口さんもお疲れ様。初めてだから大変だったでしょ?」

「…はい。だけど良い経験になります。」


女子達も盛り上がる。部活の事、文化祭の話というのは会話に花を咲かすのだろう。食べ、飲み、笑い合いながらの会話は楽しいものだ。


「お化け屋敷怖かったね!本格的だったよ!」

「私のクラスは創作物を売ってたのよ。美術科は毎年それだから。陶芸品とかね。」

「私のクラスもです!部活優先でしたので制作だけでしたけどね。絵や漫画とかは先輩方のが展示されたそうですけど。」


そういやこの部活美術科が多かったな。絵画の展示や陶芸の販売か、面白そうだな。


「本当にすげえ盛り上がりだったもんな。高校の文化祭って楽しいわ。」

「半分くらいが出店したらしいからね。来年の文化祭も楽しみだなぁ。」

「僕と園山さんは卒業だけどね。そろそろ受験だよ。」


受験か、大学か専門か短大か、瀬戸口先輩は園芸学部に行きそうな気がする。園山先輩はどうするんだろうか。


「…園山先輩はどうするんですか?」

「私は進学だよ〜。デザイナー関係の専門学校に受けるんだ〜。早坂さんは考えてるの?」

「…私は大学に進学しようと思っています。」


園山先輩はデザイナー関係か、部長副部長の2人ともライフデザイン科だからな。進路を決めるのも大変だからな。就職、進学のどっちかだからだ。進学してもいずれは必ず就職だけど。


「瀬戸口先輩も?」

「僕は園芸の専門学校を受けるよ。父さんの跡も継ぐから資格をとって役立てたいんだ。」

「頑張ってください!応援してます!」


親父さんの跡を継ぐ道を選ぶか。自営業って大変だからなぁ。立派すぎるよほんと。

自営業って本当に大変だもの。借金、価額競争、利益の計算、仕入れ、そして業種にもよるがイベントにより変動する売り上げ、会社を経営するというのは大変なのだ。さらに会社員を雇わなければならないのなら尚更である。人件費が一番金がかかるのだ。


「ありがとう。国立を受けるから落ちないように勉強を頑張るよ。私立は高いからね、父さんにも苦労をかけたくないし。」

「クソ高いっすもんね。俺なんて免許代とバイク代貯めるつもりだから大変っすよ。」

「バイク買うの!?」

「あたりめえだろ。最高の乗り物だぞ。あんな楽しい乗り物ねえよ。フル装備で乗るしな。」

「乗ったことあるような口ぶりね…。いや、無免許とかじゃないわよね?」


え?前世で乗り回してましたが何か?中型乗って高速かっ飛ばしましたよ?


「ん?まぁ色々と。」

「「「「「「「色々!?」」」」」」」

「もう買うやつも決めてますんで。それに今から取っちまえば楽っすからね。車の免許を取るときに。中型とっちまえば車の免許取るときに学科をやる必要がなくなりますからね。」


これ本当に楽。俺は車の免許の後にバイクを取ったけど本当に学科免除最高だもんな。


「免許か〜。僕も取らないとなぁ。2月に取りに行くけど。」

「私も取りに行くけどね〜。オートマ限定だけどね〜。」

「まぁ女子はオートマ取る子が多いっすもんね。久川はバイクの免許、マニュアル取るのか?」

「そりゃマニュアルっすよ。」

「久川君は本当に行動力すごいよね。やることやり始めててさ。」


そりゃ経験があるからな。ある意味二度目の人生だ。やることがわかればそれをやればいい。すれば楽な道に行けるだろうよ。


「ま、やりたいことをやりたいからやるだけさ。学生のうちにバカやりたいってのもあるしな。」


とはいえ本当の久川には迷惑はかける気はないがな。


「ふ〜ん。ほんと前から思ってたけど、久川君って不思議だよね。なんか私より年上だと思ってきたよ。」

「山口さん、それみんなに言われるよ。」

「色々と年上に見えるわよ貴方は…。作業着の姿とか違和感ないもの。」


平本先輩のツッコミにみんなが笑う。まぁそこは否定できないからな。


「僕も思う時があるよ。久川君はバイトの時も最初の時からテキパキ動いてたからね。初めてだとは思わなかったよ。入部した時も教わったことすぐ覚えたし。」

「作業着には驚いたけどね〜。」


初日のあれか。だってジャージを汚したくなかったんだもん!便利なんだぞ作業着!頑丈だぞ!


「しかし今年はほんと売れ行き良かったっすよね!去年も全部売れましたけど1日かかりましたからね。」

「うん、僕たちは今年で卒業だから来年もみんなよろしくね。これからは受験勉強があるからそろそろ部活には出れなくなるから、花と野菜の世話をよろしくね。」

「だね〜。私も受験勉強頑張らなきゃね〜。」


もう10月、はっきり言ってしまえば卒業まであっという間だ。3年生はもう次の段階に入らなければならない。就職活動か、進学か、それを決めたとしても就職する者は履歴書を書き、面接、そして筆記試験、進学も面接や試験がある。完全に進路が決まるまで休まることはないだろう。進路が決まれば楽なのだが。


「堅苦しい話はここまでにして…どんどん食べよう!時間は無制限だからね!」


瀬戸口先輩が笑顔で言う。確かに堅苦しい話はなしだ。今日は楽しくやりたいからな。打ち上げをとことん楽しもう。

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