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第28話 話したいこととある少女の思い part1

部員達が俺と早坂を見てくるが気にせず部室を出て駐輪場にむかう。夕日を背景に運動部の掛け声、野球部のボールを打つ音などが響いている。

駐輪場について自転車に跨る。帰宅部の奴らは帰ったから誰もいないしのんびり話せるだろう。


「それで…話したいことってなんだ?」

「…ずっと先の事ですけど…文化祭の事なのですがもしよければ一緒に歩きませんか?」

「……え?」


少し顔が赤くなりながら、だが俺をしっかりと見つめて言ってくる。おいマジか。ちょっと待てマジか。俺前世で彼女いない歴=年齢の虚しい奴だったんだぞ。本気でマジかよ!?


「えっ…え!?いきなりどうした!?」

「フフッ…内緒ですよ。」


人差し指を口に当て悪戯な笑みを浮かべて俺を揶揄う。だが本心も混ざっている感じの、一緒にいて欲しいと…そんな雰囲気がある。大人しめで、少し地味だった早坂さんが年頃の女の子のような笑みを浮かべ…。俺も笑みを浮かべて軽口を叩く。


「早川さん、俺を揶揄ってるのかい?」

「…そんなことありませんよ?」


少し揶揄ってますけど‥本心では嫉妬ですよ久川君。山口さんを見て、あなたを見て微笑む山口さんを見て…負けたくないって思ったんです。変な所はあるけど知識は豊富でいろんなことができる。凄い人なんです。山口さんには…負けられないんです。山口さんは君のことを好きになったかも知れない、興味を持ったのかも知れない、だけど私は…久川君のことが好きなんですから。

内心を隠し、早坂は真剣な目で久川を見つめる。


「そうか…なら良いさ。文化祭の時よろしくな。」

「はい…。よろしくお願いしますね。」


互いに頷き、笑う。

それじゃ帰りますか。


俺と早坂が駐輪場を出る。俺たちは気付かなかった。2人の生徒が見ていたことに。


「ふ〜ん。早坂さん大胆だね。」

「覗き見するのは良くないよ…。いや、そんな事より久川君の事諦めちゃうの?」

「良いんだよ。私、久川君の事興味あったけど、早坂さんを見て…ね。」


あーあ、久川君に一目惚れしちゃったのにな。あそこまで好意を持ってる子には勝てないよ。

苦笑いしながら中村に諦めることを認める。


山口綾乃が久川に興味を持ってたのは告白の時だけではなかった。

それは夏休みにまで遡る。


夏休み、課題の絵を教室で描いていた。別にバイトしているわけでもなく、期限も全然あるのだが友達と集まって描いていたのだった。


「そういやさ、園芸部の同級生なんだけどさ、また凄いことやったんだよ。」

「へ〜今度は何をやったの?」


中村が笑いながら数日前に起きたことを話す。デッサンをしながらいつもの雑談だ。授業中じゃないし、部活も休みだから気楽にやっている。


「うん、いきなり植木鉢の台座を作るとか言い始めてさ、慣れた手つきで長さを測り始めて図面まで書いたんだよ。」

「普通科の生徒だよね、なんでできるの?おかしくない?」

「うん僕もそう思う。みんな驚いてたもん。先輩も先生もさ。」


絵の具を取り色を塗っていく。中村の話す生徒は美術科の3組ではちょっとした有名人だったからみんな興味津々だ。


「そしたら溶接部のところに行って捨ててある材料で台座を作っちゃったんだよね。」

「はぁ!?なんで普通科の生徒が作れるんだよ!!マジですげえなそいつ!」

「え、金属加工したの…?習ってないのに!?」


ざわめきが広がる。中村がコクコクと頷く。流石に全員の手が止まり、愕然とした表情で中村を見る。疑う目線だ。まぁ普通なら習ってもない、工業科でもない生徒が金属加工をして溶接したなんて言ったらまともな人間は信じないだろう。


「うん、信じられないと思うけど嘘じゃないんだよ。実はこっそり動画を撮ってたんだけどさ、これ見てよ。」


スマホで動画を見せる。学校指定のではない作業着を着た男子が手慣れたように金属を曲げたりリングを作ったりグラインダーで削っている。素人目線でもわかる。明らかに慣れている。


「こいつやべえな…。」

「すご…職人みたい。」


山口が口元を抑えて驚く。本当に同級生なのか。と言うか作業着が似合いすぎではないか。溶接機を慣れた手つきで操作する姿に興味を持つ。


「同級生にこんな凄い人がいるんだ‥。」

「うん、僕も驚いたよ。たまに本当に同級生なのかな?って思うくらいの時があるけど、これはね…」


その後溶接部に強制入部させられて絶叫している姿に全員が爆笑する。


「この人ほんと面白いね!強制的に入部だなんて…!」

「なんか、ほんとバカというか変人というか…ここまでやったらそりゃ入れられるって!」

「多分今頃勉強受けさせられてると思うよ。」


特別教育というものを取らせるって言ってたよと説明する。その時、久川は頭を抱えて「またこれやるのかよ…めんどくせえよ!」と内心ぼやきながら受けていた。


この時は技術のある面白いやつ。くらいの評判だったが、その評価は2学期が始まって変わることになる。

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