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99-99 相談いろいろ

 さて、仁がマリッカ工房に向かったあと、エルザはシオンと雑談を続けている。


「そういえば」


 シオンが、ふと気づいたことを口にする。


「『鉛白』だけど、輸入は大丈夫なのかしら?」


 公国あたりから、顔料として輸入されていないか、とシオンは言った。


「ん、それについては各国の運輸省や厚生省が調査してる」

「どうだったの?」

「公国では、一部の塗料に使われていたけど、『理事国』では流通して、いない」


 この『理事国』とは、『世界会議の理事国』である。

 この場合の『理事国』は、会議での『決定権』を有し、決議の際に投票できる国々、ということになる。

 メルカーナ公国を含む5公国は、意見を述べることはできても投票はまだできない(あと数年内に可能になると思われる)。


「それはよかったわ。……もっとも、公国の方からそうした工業製品を輸出する余裕はまだないでしょうしね」

「ん、それもあると、思う」

「いずれにしても、民間レベルでそうした有害物質への注意をしていかないとまずいわね」

「同感」


 これで雑談というのだから、2人ともワーカホリックと言われても仕方ないだろう……。


*   *   *


 そして夕刻、仁たちは合流し、夕食のテーブルを囲んでいた。


「こちらでは久しぶりね、ジンさん」

「お元気そうで」

「ご無沙汰してます」


 ロロナとロードトス、それにリュドミラもやって来ていた。

 もちろんマリッカDも参加している。


「お会いできて嬉しいです」


 ロードトスは『こちら』で仁たちと会えたことが嬉しいようだ。


「リュドミラも、元気そう」

「はいエルザ様、おかげさまで」


 そんなロードトスとリュドミラを見て、シオンがぽつりと言った。


「そろそろ挙式、と思っているのよね」

「そうだろうな」


 ロードトスは今年で137歳、リュドミラは107歳。

 ローレン人換算だと、それぞれ25〜30歳と18〜21歳、となる。

 もちろん、『ノルド人』としても適齢期といえた。


「仲人はジンたちにお願いしようと思っているんだけど」

「もちろんいいぞ」

「ん、引き受ける」

「ありがとう!」

「ありがとうございます!」

「あ、ありがとうございます!!」

「ジンさん、エルザさん、ありがとうございます」


 快く引き受けた仁とエルザに、当のロードトスたちだけでなく、シオンやロロナたちも礼を述べる。


「で、式の日取りは?」

「まだ何も」

「おいおい」


 少し気が抜ける仁たち。

 が、


「『ファミリー』のみんなにも披露宴には出てもらいたいのよね」


 というシオンの言葉に、少し納得する。


「今度は……9月21日がヴィヴィアンの誕生日か、その時に発表するのか?」

「それでいいと思うわ」

「次がトアさん……28日で、シオンとマルシアが同じ10月10日だな」

「ええ。……とすると、『ファミリー』への披露宴はその日がいいわね」


 挙式は前日に親族だけで行うことになる。

 その時に仁とエルザに仲人をしてもらいたい、というわけだ。

 その後、ノルド連邦での披露宴となり、そのまま(時差があるので)『ファミリー』への披露宴になだれ込むことになる。


「……ハードだな……いやそれほどでもないのか?」


 移動時間……は『転移門(ワープゲート)』を使うとして、時差を考えると『ノルド連邦』で挙式、その後蓬莱島へ、となると休憩時間がどのくらい取れるか。


「時差は2時間半くらいだから、まあ睡眠時間はあるな」


 そうでなければハードスケジュールすぎる、と仁は思った。


「まあ、うまくスケジュール調整すれば大丈夫だろう」

「そのへんは大丈夫よ。こっちの挙式は基本のんびりだから」


 長寿の民らしく、あくせくはしないのだという。


「そのへんは、老君にも手伝ってもらおう」

「それはありがたいわ」


 老君なら、数千万通りの組み合わせを秒単位で検証できるだろうから、どういうスケジュールが最も効率がいいか、あっという間に結論を出してくれるだろうから。


*   *   *


 詳しい話はまたのちほど、ということで、仁とエルザはロロナにちょっとした相談をする。


「ロロナさん、『アヴァロン』で牧場を営むとして、適した牧草は何でしょうかね?」


 食料の自給自足を目指し、牛・豚・羊・鳥(カウブル、グラスボア、ムトン、コカリスク)などを将来的に飼育するつもりなのだが、その際に必要なのが牧草である。

 再生力が強く、栄養も豊富、というものが知りたい仁たちなのである。


「そうですね……マメ科ではサイニカス(レンゲソウ)、クローバ(シロツメクサ)などがいいでしょうね。高タンパク質、高ミネラルで栄養価が高いのでおすすめです」

「なるほど」

「イネ科でしたらオーチャードグラスやチモシーでしょうか。栄養価はマメ科に負けますが、食物繊維が豊富で、家畜の胃腸にいいと思います」

「それはいいですね」

「参考になります。ありがとう」

「どういたしまして」


 こんな感じで、ノルド連邦の夜は更けていった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 次回更新は2月3日(火)12:00の予定です。


 20260201 修正

(誤)決議の際に投票できる々、ということになる。

(正)決議の際に投票できる国々、ということになる。

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― 新着の感想 ―
遂に幾度目かの99-99話に達してしまいましたが……。 >公国あたりから、顔料として輸入されていないか、とシオンは言った。 各国では既に400年前から輸入禁止法or条例を施行してそう……と思いまし…
>「『鉛白』だけど、輸入は大丈夫なのかしら?」 あ~そんな↑心配も出てくる訳n >「公国では、一部の塗料に使われていたけど、『理事国』では流通して、いない」 > > この『理事国』とは、『世界会議の理…
>「いずれにしても、民間レベルでそうした有害物質への注意をしていかないとまずいわね」 有害物質チェッカーを開発して各国の税関に配備したり、民間でも購入orレンタルできるようにするとか。 >「そのへ…
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