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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
97 ゴウとルビーナ成長篇
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97-78 試作機のテスト

 『思考会議』用の試作機が完成した。

 当然、試験をしてみようとなるわけだが……。


「まずは2人から始めたほうがいいだろう」


 と仁は言う。

 万が一、億が一のことがあった場合、助けやすいからだ。


「それなら、僕とルビーナがやります」


 ゴウが名乗り出た。


「いいよね、ルビーナ」

「ええ、もちろんよ」


 仁は少し考え、他のメンバーを見やる。


「いや、僕らがやるよ」

「うん、やらせてくれ」


 エイラとグローマもやりたいと言った。


「うーん……」


 仁は『複体』、エルザは『人造人間(ホムンクルス)』なので、テストに適しているとはいえない。

 また、アーノルトもチェルも『自動人形(オートマタ)』である。

 ゴウ、ルビーナ、エイラ、グローマの4人しか適任者はいないのである。


「よし、くじ引きで決めよう」

「それがいいでしょうね」


 ということになり、礼子が手にコインを1つ持ち、それを左右にシャッフルした。

 『自動人形(オートマタ)』のアーノルトにも見えない速さで、である。


「どちらの手にコインがあるでしょうか?」


 2つに1つ。

 ゴウ&ルビーナ、エイラ&グローマの2組が、それぞれ示したのは……。

 右がゴウ&ルビーナ、左がエイラ&グローマであった。


「では」


 両手のひらを上に向け、礼子は手を開いてみせた。


「右だ!」

「当たったわね、ゴウ」

「あー……外れたかあ」

「残念……」


 ということで、テストを行うのはゴウとルビーナ、ということになった。


「気を付けてくれよ。万に一つもないと思うが」

「はい、アーノルト主任」

「おかしいと思ったら、こっちで接続を切るからな」

「ジン様にお任せするわ」

「任せておけ」


 そんな事前打ち合わせを経て、ゴウとルビーナは『思考会議装置(仮称)』の前に座り、ヘッドセットをかぶった。

 形は『ジェットヘル』タイプ。ほんとうの意味でのヘルメットではないのできつくはない。ゆるゆるである。

 そこから『ミスリル製の魔導線』が何百本も出て、本体に繋がっている。

 ゴウとルビーナは、ゆったりした椅子に腰掛け、背もたれに身体を預けていた。


 そして視界はヘルメット前面に取り付けられているシールドの内側に投影されるようになっていた。


「準備はいいか?」

「はい」


 外部で『思考会議装置(仮称)』をオン・オフできる。

 仁と礼子はいつでもスイッチを切ることができるのだ。


「では、始めます」


*   *   *


 起動スイッチを入れたのはゴウ。

 そして、一旦目を閉じ、再び目を開けると……。


「これは……」


 ゴウの視界に、広い会議室が映った。

 『バーチャル(仮想)』の部屋だ。

 中央には円卓があり、向こう端にルビーナが座っているのが見えた。


 そのルビーナは手を振ってみせる。

 ゴウも手を振り返した。

 相手に見えているかはまだわからないが……。


《ルビーナ、聞こえるかい?》

《ええ、ゴウ。聞こえるわ》

《僕が何を考えているかわかる?》

《……わからないわ。あなたは?》

《うん、僕も、ルビーナが何を考えているのかはわからない》

《ということは、言葉にしようと考えた思考だけが相手に送られているということね》

《そうなるね》

《この点は成功だ》

《ええ。……じゃあ、動作はどうかしら? 私は今、何をしているかわかる?》

《右手を挙げているね》

《指は?》

《3本立てている》

《見えているみたいね。今度はゴウがやって見せてよ》

《うん。……どうだい?》

《両手を挙げているわね。で、右手の指は1本、左手の指は4本を立てているわ》

《こういうポーズをしよう、という思考がちゃんと反映されているみたいだ》

《そのようね。あと、表情はどうかしら? ……今、あたしはどんな表情をしてる?》

《笑ってるね。……僕は?》

《ゴウも笑ってるわ》

《成功だね》

《うん。……一旦、切ってみよう》

《ええ》


 そして2人は思考を切り替え、『現実』の身体を強く意識した。

 すると、椅子に座ってヘッドセットを被っている自分に気が付く。

 そこでゴウは起動スイッチをオフにした。


「……どのくらいの時間が経ちました?」

「ゴウさんがスイッチを入れてから切るまで、およそ7秒です」


 チェルが答えた。


「そうですか。僕の体感では20秒から30秒くらいだと思っていました」

「あたしも」

「とすると、3倍から4倍か……嬉しい誤算だな」


 アーノルトも仁も、ほっとしている。

 仁としては、『分身人形(ドッペル)』の操作に通じるものがあるため、ゴウとルビーナなら、と信頼してはいた。が、成功したことがわかるとやはりほっとする。


「それじゃあ今度は僕らがやりましょう」

「そうだよな、グローマ」

「あ、それでしたら、スイッチを入れたら一度目をつむるといいですよ。意識を切り替えやすくなります」

「お、なるほどね。アドバイスありがとう」


 ということで、ゴウとルビーナに代わり、グローマとエイラがシートに座った。

 そしてスイッチオン。


*   *   *


《……これが思考の会議室か……》

《本当に、会議室っぽいな》

《エイラ、僕が見えるか?》

《見えるとも。そっちは?》

《よく見えるぞ》


 ……と、こちらも十分な機能を確認できたのである。


 試作は大成功といえた。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
まるで現実の会議室にいるように感じられて、普段通りの行動をしたり表情を見せながら会話出来る、さらに仮想世界で体感した時間は現実の三分の一から四分の一しか経過していない…… 完璧な仮想会議システムが完…
>《ルビーナ、聞こえるかい?》 >《ええ、ゴウ。聞こえるわ》 >《僕が何を考えているかわかる?》 >《……わからないわ。あなたは?》 >《うん、僕も、ルビーナが何を考えているのかはわからない》 >《と…
[一言] >リハビリ  今の設定では実際の身体は動きませんので変更が? これについては怪我の後遺症という不安から動かないのではという自己暗示で動かせない人が意外といます、通常のリハビリはあくまで…
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