↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
96 アカデミー発展篇
3905/4414

96-07 試作、成功

 デウス・エクス・マキナ3世が持ってきた試作1号機。

 それはティッシュの箱くらいの大きさだった。

 上部には小さな『魔導投影窓(マジックスクリーン)』……モニターが付いており、横には『魔導監視眼(マジックアイ)』……つまりカメラのレンズが付いていた。


「動作解析用だ。このレンズ部分を動作解析したい対象に向け、こっちのスイッチを押す。押している間の動作が入力され、解析されていくことになる。最大入力時間は試作なので10秒だ」

「なるほど。1秒あたりのレートは?」

「今回は10枚だ。高速度撮影的な使い方をするなら200くらいは欲しいけどな」


 試作としては十分な性能だ、と仁は言った。


「早速試してみよう」

「何を写す?」

「そうだなあ……誰か歩いてみてくれないか」

「じゃあ、僕が」


 仁の求めに応じ、ゴウが手を挙げた。


「よし、じゃあゴウ、こっちから向こうへ歩いてみてくれ」

「はい」


 一同の目の前を、右から左へとゴウは歩いてみせた。

 マキナ3世はそれを試作1号機で撮影。


「よし、もういいぞ」


 そして、早速再生してみる。


「お、なるほど」


 ゴウの歩行の様子がコマ落としで解析できている。

 動作途中で停止させれば、特に膝と足首の関節の曲がり方がよくわかる。


「これはいいですね。実に素晴らしい。……僕らもこれがあれば、馬の動作解析はもっと楽だったろうと思いますよ」

「いやいや、君たちの功績があったから、これを開発することができたんだ。順番が逆だよ」


 グローマの賛辞を聞いたマキナ3世は、むしろ彼らの功績をたたえた。


「とにかくこれで、動作解析の目処めどは立ったわけだ」


 マキナ3世が宣言した。


「『魔導監視眼(マジックアイ)』からの情報を画面に表示できたからには、次は『分析(アナライズ)』の結果を画像にすることだな」

「そうだよな……『分析(アナライズ)』の結果って視覚情報があるのかな?」

「うん、エイラ、いい質問だ。あるな……」

「なら?」

「うまく取り出せればいいんだが」


 ということで、『分析(アナライズ)』の効果について分析が始まった。


「視覚情報にしても、『知らない』ことについては曖昧あいまいなことしかわからないんだろう?」

「そういうことになるな……」

「『分析(アナライズ)』以外で、形状を『見る』魔法ってないのかな?」

「心当たりはないな……」

「そうか……残念」

「『分析(アナライズ)』を発する『魔導頭脳』が、人間の内臓の様子を知っていればいけるんじゃないか?」

「お、そうだな」


 そこはエルザなりリシアなりに、『知識転写(トランスインフォ)』で内臓の情報をコピーさせてもらえばいけそうだと仁は考えた。


「よし、今度は俺が試作してみよう。30分待っててくれ。マキナ、工房を借りるぞ」

「おう」

「また30分か……」


 そういうわけで、仁もまた30分の予告をし、礼子を伴ってマキナ3世の工房へと向かったのである。


*   *   *


 仁が席を外したあと、マキナ3世は残った者たちに『分析(アナライズ)』の魔法について講義を行った。


「この魔法は物質、物体の解析をするわけで、自分の知らない内容は理解できない。……が、理解できないだけで、場合によっては『知る』ことだけはできるんだ」

「どういうことです?」

「ゴウ、そうせっつくな。順を追って説明するから」

「はい……」


 はやるゴウをなだめ、マキナは解説を始めた。


「『分析(アナライズ)』は、例えるなら『魔力による手探り』だ。実際の手探りとは違って、物体の内部まで探ることができる」

「ああ、なるほど」

「物質名とか、組成を知ることができるのも『手探り』なんですか?」

「そうだと思う。……この場合は分子や原子まで『手探り』しているということだろう」

「あ、そうか」

「もちろん『手探り』というのはたとえだからな?」

「わかってます」


 実際には『魔力波』で対象をスキャンする、ということなのだろうとマキナ3世は(つまり蓬莱島では)考えていた。


「実際に目で見ても、初めて目にする物は、外見はわかっても、それが何だかわからないだろう? 同じことが『分析(アナライズ)』でも言えるわけだ」

「あ、だから、『情報を共有』できれば、知っている人がいれば、わかってもらえるということですね?」

「それを期待しているわけさ」


*   *   *


「待たせたな」


 そこへ仁が戻ってきた。

 手にしているのはマキナ3世が作ったものとよく似た大きさと形の魔導具。

 ただし、こちらは聴診器のような付属物が付いていた。

 所要時間は25分。


「は、早い……」

「さすがジン様」


 仁は手にした試作の魔導具の説明を行う。


「これは、この『測定端子(プローブ)』を対象物に接触させればいい。誰か、手か腕でいいから当てさせてくれないか? 痛みはまったくないから心配はいらない。くすぐったくさえないはずだ」

「じゃあ、僕の腕で試してください」


 今回もゴウが立候補した。


「わかった。ありがとう」


 仁は右手でプローブを持ち、ゴウの手の平に当てた。


「スイッチを入れて、こうしてプローブを当てる。最初は表面の分析が行われる。そこからこのダイヤルを回していくと、より深い部分の分析が行われるわけだ」

「ああ、なるほど」

「これは試作なので深度は表面から5センチくらいまでしか探れないけどな」


 そして仁はプローブを離した。

 使うさまは『エコー』によく似ていた。


「これでいわゆる『スキャン』を行ったことになる。『魔導頭脳』がその情報を統合して画像にしてくれるんだ。……できたようだな」


 膨大な情報の統合なので5秒ほど掛かってしまったな、と仁は言い、表示画面を示した。


「ここに、ゴウの手の情報が出る。骨格を見たければ、キーボードで『kokkaku』と入力すればいい」


 この操作法については要検討事項だな、と言いながら仁は魔導具上面の小型のキーボードを叩いた。


「お、これがゴウの右手の骨格か」


 いわゆる3Dデータとして保存されているので、あらゆる角度から見ることができる。


「おお!」

「こ、これは凄い……」

「血管や神経に切り替えることもできる」

「素晴らしい!」


 今回の試作も成功であった。

 これで『アヴァロン』の技術力は、また大きな進歩を見ることになるだろう……。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >「動作解析用だ。このレンズ部分を動作解析したい対象に向け、こっちのスイッチを押す。押している間の動作が入力され、解析されていくことになる。最大入力時間は試作なので10秒だ」 >「なるほど。…
[気になる点] 体内3Dスキャン用の魔導具は何てお名前なのでしょう? [一言] これで定期健診してたらアグッハなんてすぐ見つかったのに…… (私どんだけアグッハ嫌いなんやろ)
[良い点] >「また30分か……」 かくしてゴー研では、1マキナ(=30分)の時間単位が日常会話として……。 英「1ジンじゃないのな?」 鮪「ジンさんは他にも色々形容詞やら代名詞やらを抱えてるし、何よ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。