93-31 ゴーレム完成と『アヴァロン』内探索
「よーし、これで作業が捗るぞ」
2体の技術系ゴーレム『テクノ』01と02を完成させた仁は、次に汎用ゴーレムの製作を開始した。
これはゴウとルビーナが作った『助手ゴーレム』の『設計基』をベースに使う。
「うん、わかりやすくできているな」
今回はそこに、仁独自の工夫と改良を加えた『設計基』を新たに作成して使うことにする。
『設計基』を技術系ゴーレムに読み込ませることで、必要な素材や加工方法等が全てインストールされる。
黙っていても素材を用意し、加工し、組み立ててくれるのだ。
だが仁はもちろん任せっきりにはしない。
自分主導で作業を進めていく。
これにより、旧『職人』となら1体あたり5分で一般的なゴーレムを組み上げることができるのだ。
『テクノ01』と『テクノ02』の性能は旧『職人』の4分の1、ゴーレム1体を20分で組み上げてくれる。
これでも破格の生産速度である……。
そしてできあがった汎用ゴーレム……名付けて『アジュート』……を助手に使うことで、生産速度は少しずつ上がっていくわけだ。
最初は『テクノ01』と『テクノ02』しかいなかったので20分で2体。
次は『アジュート』2体も助手として使ったので20分で4体。
その次は20分で8体。
またその次の20分で16体。
そのまた次の20分で32体。
……を作ったところで素材がほぼなくなってしまった。
「汎用ゴーレム『アジュート』62体と技術ゴーレム『テクノ』2体……で打ち止めか」
計64体を2時間で作り上げた仁は一仕事終えたことを最高管理官トマックス・バートマンに報告する。
「……ええと、64体ですか? 2時間で?」
「すみませんね、素材がなくなったので……」
「い、いえ、文句を言っているのではなく、驚いているだけですので」
「それならいいのですが……ええと、64体は誰に引き渡せばいいでしょうか?」
「あ、それでしたら『総務局』へ。……今、連絡します」
トマックス・バートマン自ら総務局へ連絡してくれた。
2分ほどで2人、やって来た。
「総務局局長シーム・ハイソ・ソガーです」
「総務局副局長テルヨ・ザ・ツウシです」
「シーム、テルヨ、この度ジン殿が技術系ゴーレム2体と汎用ゴーレム62体を作ってくださった。引き渡すので管理を頼む」
「ろ、64体ものゴーレムを……さすがジン殿ですね」
「ありがたく管理させていただきます」
「では、工房へ来てください」
仁たちは共に第6工房へ向かった。
「お、おお、これだけゴーレムが並んでいると壮観ですね」
「動作チェックは終わっています」
「素晴らしいです。ありがとうございます。大切に使わせていただきますね」
「テルヨ君、台帳管理は任せるよ」
「はい、局長」
そういうわけで、完成した64体のゴーレムは、無事総務局へ引き渡すことができ、仁も大仕事を1つ終えたのであった。
* * *
さて、仁がゴーレムを作り始めたのと同じ頃、デウス・エクス・マキナ3世は『アヴァロン』内の内部情報がどうして漏れたのか、その調査を行っていた。
「盗聴器、といっても長距離を超えられるわけじゃないだろうがな」
とはいえ、そうしたものが重要な部署にあるというのはいただけない。
なのでマキナは内蔵魔素通信機を使い、老君と連絡を取った。
「……というわけで、今回は特例として蓬莱島で解決してもいいと思っています」
『確かに。今回、後手後手に回っていますし、そうした不利な状況はできるだけ早く解決したほうがいいでしょう』
「では、『アヴァロン』全体をスキャンしてもらえますね?」
『やりましょう。御主人様の心労軽減のためにも』
パワーアップした老君の性能は途轍もない。
『覗き見望遠鏡』を使って『アヴァロン1』と『アヴァロン2』に本来あってはならないものがないかどうか……それを2時間で確認してしまったのである。
その内容は魔素通信機によってマキナに送られた。
『スキャン終了。3箇所に『小型ゴーレム』発見。4箇所に『盗聴器』発見。1箇所に『通信装置』発見。以上』
「ありがとうございます」
得たデータを元に、マキナは行動を開始した。
助手には従騎士レイ……ではなく変装した『第5列』の『スピカ9』=『リラ』を伴っている。
従騎士レイよりは劣るものの、『第5列』もまた高性能な自動人形揃いであるから、助手として何の不足もない。
「まずは『通信装置』を押さえてしまおう」
「はい、マキナ様」
老君とマキナの考えによれば、『小型ゴーレム』や『盗聴器』では長距離の通信はできない。
ゆえに、得た情報は一旦『通信機』に集め、データを圧縮してから外部……おそらく『黒幕』……に送っているのだろうと推測。
つまり、この『通信機』を確保、無力化してしまえば『黒幕』は情報を受け取れなくなるはずなのだ。
その『通信機』は大会議室の裏手、控室に隣接する倉庫に隠されていた。
ご丁寧に空箱が被せてあり、ぱっと見た目には『通信機』がそこにあるとは誰も思わないだろう。
「まずは機能を停止させる前に、老君に頼んで受信先がどこにあるのか調べてもらおう」
マキナは即連絡を行った。
『なるほど、わかりました。待ち時間がもったいないので、強制的に発信させてください』
「了解」
手動なのか自動なのか不明なので、作動を待っていてはいつ動作するか見当がつかないため、操作して魔力波を発信させようというわけだ。
こうした魔導機を操作するのは『スピカ9』=『リラ』。
繊細な操作を行い、送信機の機能をあらわにしていく。
「では、ダミーデータを送信してみます。……スイッチオン……スイッチオフ」
約1秒間だけダミーデータ……最初から最後まで数字の『0』で満たしたデータ……を送った。
『わかりました。受信機はエゲレア王国西部、『アンダーギ鉱山』にあります』
「『第5列『レグルス17』=『ビクトル』』にも伝えてください」
『大丈夫、送信済みです』
その後、『通信機』の機能は停止させておく。
が、本体はそのまま残しておくことになった。
撤去してしまうと内通者に警戒されるおそれがあるからだ。
こうして、1つ1つ確実に、謎の黒幕の正体に近付いていくのだ……。
いつもお読みいただきありがとうございます。
本日は 異世界シルクロード(Silk Lord) も更新しております。
https://ncode.syosetu.com/n5250en/
お楽しみいただけましたら幸いです。




