表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
93 アヴァロン改革篇
3702/4344

93-23 小型ゴーレム

 『ピスティ』と『フレール』が取り押さえたのは、身長40センチほどのゴーレム。


「これは……」

「見たことがない型だな」


 危機感のない2人を見てマキナは、


「ちょっと待て、2人とも。……『魔法障壁(マジックバリア)』『物理障壁(ソリッドバリア)』」


 と、2重の結界を展開したのである。

 この『魔法障壁(マジックバリア)』は、マキナを操縦する周波帯以外はシャットアウトするものだ。

 エネルギーについても、今のマキナは自由魔力素(エーテル)だけでなく(サブ)自由魔力素(エーテル)でも動いているので動力源は問題ない。


「この2体の目的や所属がわからない以上、厳重な警戒が必要だろう」

「は、はい」

「……そして、こいつらの解析を行うから、引き渡してくれるか?」


 『アヴァロン』への無断侵入は間違いなく、ここに潜んでいたということは、情報を集めていたと推測される。

 つまり『スパイ』である。

 なのでマキナが調査することに何の問題もない。


「あ、はい」

「むしろ、お願いします」

「よし」


 マキナは2体に『魔力素除去器(エーテルエリミネイタ)』の波動を浴びせ、完全停止したことを確認してから結界を解除した。


「それじゃあ、持っていくから」

「よろしくお願いします」

「ああ」


*   *   *


 2体をその手に抱えたマキナは、従騎士レイに扮した『第5列(クインタ)』の『スピカ9』=『リラ』と共に最高管理官トマックス・バートマンの執務室を訪れていた。

 そして念入りに室内を確認してから『魔法障壁(マジックバリア)』と『物理障壁(ソリッドバリア)』を展開。


「これでまず盗聴はできないだろう」

「一体何ごとですか?」

「盗聴の危険があったから、結界を張った。これで、尋常な手段ではここでの話は盗聴できない」


 と前置きをしたマキナは、ゴウとルビーナの第5工房で小型のゴーレム2体を捕らえたことを説明した。


「なるほど、そこにかかえてらっしゃるのがそれですね」

「そうなんだ」


 マキナは執務室の予備テーブルに2体の小型ゴーレムを横たえた。


「ふむ」

「かなり精巧な作りですな、マキナ殿」

「まあ、そうだな」


 トマックス・バートマンは精巧な作りと言ったが、マキナの目にはいろいろとアラが見て取れた。

 4分の1サイズのゴーレム。人間が作れる最小サイズに近いだろう。

 精巧とは言っても、仁が作った『リトル職人(スミス)』には比ぶべくもない。


「とりあえず、ざっとばらしてみるぞ」


 と告げたマキナは、トマックス・バートマンの返事を待たずに小型ゴーレムの1体を分解し始めた。

 4分の1サイズなら十分に対処できるのだ。


「お、おお!」


 トマックス・バートマンの口からそんな声が漏れるほど、マキナの手際はよかった。

 みるみるうちに胴体部の外装が外され、内部があらわになった。


「アドリアナ式でも球体関節式でもないな。……だが、まあ理に適った構造だ」


 マキナはそう評した。


「小型化するために簡略化したのだろうな」


 人の手で可能な加工精度には限界がある。

 無理に縮小しようとせずに、省略できるところは省略することで、作りやすさと性能を両立させることもできるのだ。


「とはいえかなり無理をしている部分もあるな」

「私には見分けが付きませんが、マキナ殿には見えているのでしょうなあ」

「うむ。……このゴーレムを作った技術者は『アヴァロン』のトップレベルと同等くらいだな」

「そんなに!」

「こういう奴がまだ市井しせいにいるとはな」


 賊に加担している、あるいは賊の中枢にいるとしたら惜しい、とマキナはつぶやいた。


「さて、『制御核(コントロールコア)』を調べれば、少しは情報を得られるだろう」


 マキナは腹部に収められていた『制御核(コントロールコア)』を取り出した。

 こちらは4分の1サイズとはいかず、2分の1くらいの大きさである。


「『分析(アナライズ)』……『読み取り(デコンパイル)』……む?」

「どうしました、マキナ殿?」

「……『製作主(クリエイター)』の名前が入っていない。それに『主人マスター』も決められていない」

「どういうことです?」


 技術者ではないトマックス・バートマンには、マキナの言葉の背景までは読み取れなかった。


「『製作主(クリエイター)』の名前はまあいい。そういう情報を消去すればいいからな」


 調査・追跡から逃れるために、そうした処理をするのは理解できる。

 だが『主人マスター』がいない、ということは通常ではありえないのだ。


「おまけに、基本的な動作シーケンスしか持っていない。これで動けるというのが不思議なくらいだ」

「なんと?」

「誰かに命令されて動いているわけではない。自分の意志で動いているわけではない。これをどう思う?」

「私にはわかりかねます……」

「つまりこいつは『ダミー』あるいは『スレーブ』なんだ」

「えっ?」


 マキナの言葉に、トマックス・バートマンは驚愕した。


「ダミーはわかりますが、『スレーブ』とは?」

「『マスター』によって動かされる魔導機(マギマシン)のことだが、この場合は『操縦される側』くらいの意味だ」

「つまり『マスター』……操縦する側がいる、と?」

「おそらくは近距離にな」

「なんと、なんと……!」

「こいつらを操っていた真の敵がどこかにいる。おそらくは『アヴァロン』内に」


 マキナは小型ゴーレムをじっと見つめ、つぶやいた。


「狡猾そうな相手だな……」

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20230616 修正

(旧)のんきな2人を見てマキナは、

(新)危機感のない2人を見てマキナは、


(誤)こちらは4分の1サイズとはいかず、2分の1くらいの大きさである・

(正)こちらは4分の1サイズとはいかず、2分の1くらいの大きさである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] >「『マスター』によって動かされる魔導機マギマシンのことだが、この場合は『操縦される側』くらいの意味だ」 >「つまり『マスター』……操縦する側がいる、と?」 >「おそらくは近距離にな」 >…
[一言] >>危機感のない ハ「大事に懐で囲ってきてたから・・・・」 エ「今からでも千尋の谷から突き落とす?」 ルビ・豪「えっ!?」(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル >>捕らえたことを説明 …
[良い点] アヴァロン内部に犯人がいるなら、今度こそヤリ逃げは赦す訳には。 [一言] >この『魔法障壁』は、マキナを操縦する周波帯以外はシャットアウトするものだ。 つまり、ゴーレムは別の周波帯で操縦さ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ